096 | 令和6年度前期 | 東北大学 | 理系 | ・・・ | 微分積分(数学V) | 難 |
東北大学 前期理系(2024)
第6問 xyz 空間内の xy 平面上にある円 C : x2+y2=1 および円板 D : x2+y2≦1 を
考える。Dを底面とし点P(0,0,1)を頂点とする円錐をKとする。A(0,−1,0)、B(0,1,0)
とする。
xyz 空間内の平面 H : z=x を考える。すなわち、Hは xz 平面上の直線 z=x と線分AB
をともに含む平面である。Kの側面とHの交わりとしてできる曲線をEとする。
−π/2≦θ≦π/2 を満たす実数θに対し、円C上の点Q(cosθ,sinθ,0)をとり、線分PQ
とEの共有点をRとする。
(1) 線分PRの長さを r(θ) とおく。r(θ) を θ を用いて表せ。
(2) 円錐Kの側面のうち、曲線Eの点Aから点Rまでを結ぶ部分、線分PA、および線分PRに
より囲まれた部分の面積をS(θ)とおく。θと実数hが条件 0≦θ<θ+h≦π/2 を満
たすとき、次の不等式が成り立つことを示せ。
h{r(θ)}2/(2)≦S(θ+h)−S(θ)≦h{r(θ+h)}2/(2)
(3) 円錐Kの側面のうち、円Cの x≧0 の部分と曲線Eにより囲まれた部分の面積をTとお
く。Tを求めよ。必要であれぱ tan(θ/2)=u とおく置換積分を用いてもよい。
(解)(1) 直線PQの方程式は、 x/cosθ=y/sinθ=1−z なので、平面 z=x との交
点Rの座標は、 x/cosθ=1−x より、 x=cosθ/(1+cosθ)
y=(sinθ/cosθ)x=sinθ/(1+cosθ) 、z=x=cosθ/(1+cosθ)
より、 R(cosθ/(1+cosθ),sinθ/(1+cosθ),cosθ/(1+cosθ))
このとき、
{r(θ)}2=cos2θ/(1+cosθ)2+sin2θ/(1+cosθ)2+1/(1+cosθ)2
=2/(1+cosθ)2
なので、 r(θ)=/(1+cosθ)
(2) 円錐Kの側面の展開図
において、条件 0≦θ<θ+h≦π/2 の範囲において、S(θ+h)−S(θ)は、上図の水
色部分の面積である。明らかに、
中心角α、半径ORの扇形の面積≦S(θ+h)−S(θ)≦中心角α、半径OR’の扇形の面積
が成り立つ。
α=弧QQ’の長さ=h なので、 α=h/
ここで、 中心角α、半径ORの扇形の面積=(1/2){r(θ)}2α=h{r(θ)}2/(2)
中心角α、半径OR’の扇形の面積=(1/2){r(θ+h)}2α=h{r(θ+h)}2/(2)
なので、
h{r(θ)}2/(2)≦S(θ+h)−S(θ)≦h{r(θ+h)}2/(2)
が成り立つ。
(3) (2)より、 {r(θ)}2/(2)≦(S(θ+h)−S(θ))/h≦{r(θ+h)}2/(2)
h → +0 のとき、{r(θ+h)}2 → {r(θ)}2 なので、挟み撃ちの原理により、
limh→+0 (S(θ+h)−S(θ))/h={r(θ)}2/(2)
(2)と同様にして、0≦θ+h<θ≦π/2 を満たすとき、
−h{r(θ+h)}2/(2)≦S(θ)−S(θ+h)≦−h{r(θ)}2/(2)
より、 h{r(θ)}2/(2)≦S(θ+h)−S(θ)≦h{r(θ+h)}2/(2)
limh→-0 (S(θ+h)−S(θ))/h={r(θ)}2/(2)
以上から、0≦θ≦π/2 のとき、 S’(θ)={r(θ)}2/(2) である。
−π/2≦θ≦0 のときも、同様に、S’(θ)={r(θ)}2/(2) が成り立つ。
したがって、 S(θ)=∫{r(θ)}2/(2)・dθ=(1/)∫1/(1+cosθ)2・dθ
tan(θ/2)=u とおくと、 1/(2cos2(θ/2))・dθ=1/(1+cosθ)・dθ=du より、
dθ=(1+cosθ)du で、
1/(1+cosθ)du=1/(2cos2(θ/2))du
=(1/2)(1+tan2(θ/2))・du=(1+u2)/2・du
S(θ)=(1/(2))∫(1+u2)du
=(1/(2))(tan(θ/2)+(1/3)tan3(θ/2))+C (Cは積分定数)
ここで、 S(−π/2)=(1/(2))(−1−1/3)+C=C−/3=0 より、C=/3
以上から、 S(θ)=(1/(2))(tan(θ/2)+(1/3)tan3(θ/2))+/3
よって、 S(π/2)=(1/(2))(1+1/3)+/3=2/3
また、円錐Kを頂点Pを通る平面で xy 平面に垂直に切断したときのx≧0部分の側面を展
開した扇形の中心角をβとおくと、 β=π より、 β=π/
よって、扇形の面積は、 (1/2)()2(π/)=π/
以上から、 T=π/−2/3 (終)
(コメント) 数学Vらしい、なかなかハードな計算でした!
以下、工事中!