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092 令和6年度前期  東北大学   理系 ・・・  対数関数(数学U)  標準

東北大学 前期理系(2024)

第2問 以下の問いに答えよ。

(1) t を t>1 を満たす実数とする。正の実数 x が2つの条件
 (a) x>1/(√t−1)
 (b) x≧2logt
 をともに満たすとする。このとき、不等式 x+1>2logt (x+1) を示せ。

(2) n≦2log2 n を満たす正の整数nをすべて求めよ。

(解)(1) t>1 より、√t−1>0 なので、 x(√t−1)>1 すなわち、 x√t>x+1

 t を底とする両辺の対数をとって、 logt x +1/2>logt (x+1)

すなわち、 2logt x +1>2logt (x+1)

ここで、 x≧2logt x より、 x+1>2logt (x+1) が成り立つ。

# (2)を考察する前に、いくつか実験しておこう。

 n≦2log2 n を式変形して、 2≦n2 となる。左辺は指数関数で、右辺は2次関数なの

で、当然、基本的には、ほとんどの正の整数 n に対して、2>n2 が成り立つはずである。

 実際に、n=1 のとき、 21>12
  n=2 のとき、 22=22
  n=3 のとき、 23<32
  n=4 のとき、 24=42
  n=5 のとき、 25>52
   ・・・・・・・・・・・

  

 以上から、2≦n2 となる正の整数 n は、n=2、3、4 であることが推察される。

 n≧5 において、2>n2 であることを示すのに、(1)を用いよ、というのがヒントになって
いる。

(2) n≦2log2 n を式変形して、 2≦n2 となる。

 n=1 のとき、 21>12 なので、n=1 は不適
 n=2 のとき、 22=22 なので、n=2 は適
 n=3 のとき、 23<32 なので、n=3 は適
 n=4 のとき、 24=42 なので、n=4 は適
 n=5 のとき、 25>52 なので、n=5 は不適

 n=5 のとき、n>1/(−1)=+1 を満たし、かつ、5≧2log2 5 なので、

(1)より、 6>2log2 6 すなわち、 26>62 となる。

 命題「n≧5 に対して、2>n2 」が成り立つことを、数学的帰納法により示す。

 n=5 のとき、 25=32 、52=25 より、25>52 なので、n=5のとき命題は成立。

 n=k(k≧5) のとき、命題が成り立つと仮定する。すなわち、 2>k2

 このとき、 k≧2log2 k なので、(1)より、 k+1>2log2 (k+1)

 すなわち、 2k+1>(k+1)2 となるので、命題は、n=k+1 のときも成立する。

 以上から、n≧5 に対して、2>n2  が成り立つ。

したがって、2≦n2 となる正の整数 n は、n=2、3、4 である。  (終)


(コメント) 今まで、「n>5 ならば、2>n2 」は自明とすることが多かったのですが、きっち
      り示すことが出来るんですね!勉強になりました。



  以下、工事中!