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082 令和6年度前期  東京大学   理系 ・・・  確率・数列(数学A・B)  標準

東京大学 前期理系(2024)

第3問 座標平面上を次の規則(@)、(A)に従って1秒ごとに動く点Pを考える。

(@) 最初に、Pは点(2,1)にいる。
(A) ある時刻でPが点(a,b)にいるとき、その1秒後にはPは
 ・確率1/3で x 軸に関して(a,b)と対称な点
 ・確率1/3で y 軸に関して(a,b)と対称な点
 ・確率1/6で直線 y=x に関して(a,b)と対称な点
 ・確率1/6で直線 y=−x に関して(a,b)と対称な点
にいる。

 以下の問いに答えよ。ただし、(1)については、結論のみを書けぱよい。

(1) Pがとりうる点の座標をすべて求めよ。
(2) nを正の整数とする。最初からn秒後にPが点(2,1)にいる確率と、最初からn秒後に
  Pが点(−2,−1)にいる確率は等しいことを示せ。
(3) nを正の整数とする。最初からn秒後にPが点(2,1)にいる確率を求めよ。


#動点Pが点(2,1)にいるときの移動の状況を図示してみた。

  

(解) 下図より、Pがとりうる点の座標は、

(2,1)、(1,2)、(−1,2)、(−2,1)、(−2,−1)、(−1,−2)、(1,−2)、(2,−1) の8点

  

(2) Pの移動状況を精査すると、Pの1秒後にいるのは、{B1,B2,B3,B4}の何れかで、

さらにその1秒後にいるのは、{A1,A2,A3,A4}の何れかで、以後、{B1,B2,B3,B4}、

{A1,A2,A3,A4}にPがいる状況が交互に現れる。

  

 最初からn秒後にPが点(2,1)にいるためには、

 n−1秒後に、B2、B4から確率1/3でA1に移り、B1、B3から確率1/6でA1に移る

 最初からn秒後にPが点(−2,−1)にいるためには、

 n−1秒後に、B2、B4から確率1/3でA1に移り、B1、B3から確率1/6でA3に移る

よって、最初からn秒後にPが点(2,1)にいる確率と、最初からn秒後にPが点(−2,−1)に

いる確率は等しい。

(3) 最初からn秒後に、A1,A3にいる確率をa 、B1、B3にいる確率をb

 A2,A4にいる確率をc 、B2,B4にいる確率をd

とおくと、 an+1=(1/3)b+(2/3)d 、bn+1=(1/3)a+(2/3)c

 cn+1=(1/3)d+(2/3)b 、dn+1=(1/3)c+(2/3)a

ただし、初期条件は、 a0=1 、b0=0 、c0=0 、d0=0 なので、

 a1=0 、b1=1/3 、c1=0 、d1=2/3

このとき、 an+1+cn+1=b+d 、bn+1+dn+1=a+c から、

 an+1+cn+1=an-1+cn-1 なので、 a+c=an-2+cn-2=・・・

よって、

 nが偶数のとき、 a+c=a0+c0=1 、nが奇数のとき、 a+c=a1+c1=0

同様にして、 an+1−cn+1=−(1/3)(b−d) 、bn+1−dn+1=−(1/3)(a−c

から、 an+1−cn+1=(1/9)(an-1−cn-1) なので、 a−c=(1/9)(an-2−cn-2

よって、

 nが偶数のとき、a−c=(1/3)(a0−c0)=(1/3) 、nが奇数のとき、 a−c=0

以上から、nが偶数のとき、 a=(1+(1/3))/2 、nが奇数のとき、 a=0 なので、

求める確率は、(2)より、

nが偶数のとき、 (1/2)a=(1+(1/3))/4 、nが奇数のとき、 (1/2)a=0  (終)


(コメント) 確率と漸化式、十分楽しめました!



  以下、工事中!