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072 令和6年度前期  東京工業大学   理系 ・・・ 複素数平面(数学V)  標準

 東京工業大学は、今年の秋に東京医科歯科大学と統合予定である。
(よおすけさんからのコメント(令和6年3月14日付け))

東京工業大学 前期理系(2024)

第5問 整数の組(a,b)に対して、2次式 F(x)=x2+ax+b を考える。方程式 F(x)=0
  の複素数の範囲のすべての解αに対して、α=1 となる正の整数nが存在するような
  組(a,b)をすべて求めよ。


#問題の意味を理解するために、いくつか実験してみた。

(a,b)=(1,1) のとき、F(x)=x2+x+1 となり、方程式 F(x)=0 の解αは、

 α=(−1±i)/2 なので、α3=1 から、α=1 となる正の整数nが存在する。

 よって、(a,b)=(1,1)は、求めるものである。

(a,b)=(−1,1) のとき、F(x)=x2−x+1 となり、方程式 F(x)=0 の解αは、

 α=(1±i)/2 なので、α3=−1 から、α6=1 

 よって、この場合も α=1 となる正の整数nが存在するので、(a,b)=(−1,1)は、

 求めるものである。


(解) 方程式 F(x)=0 の2つの解をα、βとおくと、解と係数の関係から、

 α+β=−a 、αβ=b が成り立つ。

 α=1 となる正の整数nが存在するとき、 |α|=|α|=1 から、|α|=1

なので、|α|=1 、|β|=1 であることが必要条件である。

 α、βがともに実数のとき、

 (α,β)=(1,1)、(1,−1)、(−1,1)、(−1,−1)

 よって、(a,b)=(−2,1)、(0,−1)、(2,1)

 逆に、(a,b)=(−2,1)のとき、 F(x)=x2−2x+1=(x−1)2=0 から、x=1

  よって、α=1 となる正の整数n=1が存在するので、適である。

 (a,b)=(0,−1)のとき、 F(x)=x2−1=0 から、x=±1

  よって、α=1 となる正の整数n=2が存在するので、適である。

 (a,b)=(2,1)のとき、 F(x)=x2+2x+1=(x+1)2=0 から、x=−1

  よって、α=1 となる正の整数n=2が存在するので、適である。

 α、βがともに虚数のとき、α、βは互いに共役なので、b=αβ=|α|2=1

 また、判別式D=a2−4b=a2−4<0 で、a は整数より、 a=−1、0、1

 よって、(a,b)=(−1,1)、(0,1)、(1,1)

 逆に、(a,b)=(−1,1)のとき、 F(x)=x2−x+1=0 から、x3=−1 すなわち、

 x6=1 なので、α=1 となる正の整数n=6が存在するので、適である。

 (a,b)=(0,1)のとき、 F(x)=x2+1=0 から、x2=−1 すなわち、

 x4=1 なので、α=1 となる正の整数n=4が存在するので、適である。

 (a,b)=(1,1)のとき、 F(x)=x2+x+1=0 から、x3=1 なので、

 α=1 となる正の整数n=3が存在するので、適である。

以上から、求める整数の組(a,b)は、

 (−2,1)、(0,−1)、(2,1)、(−1,1)、(0,1)、(1,1)

の6組である。  (終)



  以下、工事中!