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067 令和6年度前期  京都大学   理系 ・・・  確率・極限(数A・V)  標準

京都大学 前期理系(2024)

第1問 n個の異なる色を用意する。立方体の各面にいずれかの色を塗る。各面にどの色を
 塗るかは同様に確からしいとする。辺を共有するどの二つの面にも異なる色が塗られる確
 率 p とする。次の問いに答えよ。

(1) p4 を求めよ。

(2) limn→∞ を求めよ。

(解)(1) n=4 のとき、起こりうる全ての場合の数は、 46=4096(通り)

 (条件) 辺を共有するどの二つの面にも異なる色が塗られる

という条件を満たす場合の数を求める。


  

 上図のように、立方体の各面に番号@、A、・・・、D、Eを付ける。

@とAが同色のとき、塗り方は、4通り

 そのうちの1通りに対して、Bの塗り方は、3通りで、Dの塗り方は、2通り

 そのうちの1通りに対して、(条件)を満たすC、Eの塗り方を考える。

 BとCが同色のとき、 Eの塗り方は、2通り

 BとCが異なる色のとき、Eの塗り方は、Dと同じ色で、1通り

よって、この場合の数は、 4×3×2×(2+1)=72(通り)

@とAが異なる色のとき、塗り方は、4×3=12(通り)

 そのうちの1通りに対して、Bの塗り方は、2通りで、Dの塗り方は、1通り

 もう使える色はないので、BとC、DとEは同色となる。

よって、この場合の数は、 12×2×1=24(通り)

以上から、求める場合の数は、 72+24=96(通り) なので、

 確率 p4=96/4096=3/128  (終)

(2) n→∞ なので、n≧6 と仮定してよい。

 辺を共有するどの二つの面にも異なる色が塗られる確率が p なので、

 立方体を6色で塗り分ければ、(条件)を必ず満たすので、その方法の数は、

 n(n−1)(n−2)(n−3)(n−4)(n−5) 通り

なので、 n(n−1)(n−2)(n−3)(n−4)(n−5)/n6≦p≦1

ここで、 左辺=(1−1/n)(1−2/n)(1−3/n)(1−4/n)(1−5/n)→1 (n→∞)

なので、 limn→∞=1 であることが分かる。  (終)


(追記) 令和6年3月10日付け

  

 上記では、各面の色塗りに着目して、場合の数を数えたが、使う色数に着目して、場合の
数を数えることも出来る。

(別解) 4色のうち3色用いる場合 @−A、B−C、D−E がそれぞれ同色であれば、

(条件)を満たすので、この場合の数は、 43・3×2×1=24(通り)

 4色をすべて用いる場合は、@−A、B−C、D−E のうち1組は異なる色なので、

 この場合の数は、 31・4×3×2×1=72(通り)

 以上から、(条件)を満たす場合の数は、 24+72=96(通り) なので、

 確率は、 p4=96/4096=3/128 となる。  (終)


 この別解の求め方から、(2)の p を直接計算することが可能である。

(別解) n色のうち、6色を用いる場合の数は、 6・6!=6(通り)

 n色のうち、5色を用いる場合は、@−A、B−C、D−E のうち2組は同色なので、

 325=3・5(通り)

 n色のうち、4色を用いる場合は、@−A、B−C、D−E のうち1組は同色なので、

 314=3・4(通り)

 n色のうち、3色を用いる場合は、@−A、B−C、D−E がそれぞれ同色なので、

 n3・3×2×1=3(通り)

以上から、

 p=(6+3・5+3・43)/n6

 =n(n−1)(n−2)((n−3)(n−4)(n−5)+3(n−3)(n−4)+3(n−3)+1)/n6

 =n(n−1)(n−2)(n3−9n2+29n−32)/n6

 =(1−1/n)(1−2/n)(1−9/n+29/n2−32/n3

なので、 limn→∞=1 となる。  (終)


(コメント) 前期文系では、上記の問題(1)を第2問(2)として、「(1) p3 を求めよ。」とい
  う類題が出題された。

(解) 3色用いる場合 @−A、B−C、D−E がそれぞれ同色なので、

(条件)を満たす場合の数は、 3×2×1=6(通り)

 よって、 p3=6/36=2/243  (終)



  以下、工事中!