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064 令和5年度  防衛医科大学   医学部 ・・・ 種々の問題  標準

 防衛医科大学校の入試問題や模範解答はあまり公開されていない。このページでは、問題
とその解答に取り組み、防衛医科大学校の受験を検討している受験生の一助になれば幸い
である。


防衛医科大学校 医学教育部(2023)

T. xy 平面上に2つの放物線 C1:y=x2、C2:y=x2−k2 (kは正の実数) がある。
  C2上の点TからC1に2本の接線を引き、その接点をA、Bとする。
  (Aの x 座標は、Bの x 座標より小さいものとする)。

   このとき、以下の問いに答えよ。

(1) 線分ABの中点をMとし、TをC2上で動かしたときのMの軌跡の方程式C3を求めよ。

(2) C3が 3x2+2xy−y2+2x+2y≦0 を満たす領域に含まれるような k の値の範囲を
  求めよ。

(解)(1) A(α,α2)、B(β,β2) (α<β) 、T(t,t2−k2) とおくと、

 点Aにおける接線の方程式は、y=2αx−α2 なので、 t2−k2=2αt−α2

 点Bにおける接線の方程式は、y=2βx−β2 なので、 t2−k2=2βt−β2

 2式を辺々引いて、 2(α−β)t−(α−β)(α+β)=0

 α≠β なので、 α+β=2t

 2式を辺々足して、 2(t2−k2)=2(α+β)t−(α2+β2)=4t2−(α2+β2

 すなわち、 α2+β2=2t2+2k2

 M((α+β)/2,(α2+β2)/2) において、x=(α+β)/2 、y=(α2+β2)/2

とおくと、α+β=2t より、 x=t 、α2+β2=2t2+2k2 より、 y=t2+k2

 したがって、C3の方程式は、 y=x2+k2

(2) 3x2+2xy−y2+2x+2y=(3x−y+2)(x+y)≦0 より、下図の領域を得る。

  左図より、題意を満たすためには、C3が直線
  y=3x+2 の上方(接する場合も含む)
 にあればよい。

  x2+k2≧3x+2 即ち、x2−3x+k2−2≧0

 判別式をDとすると、 D=9−4(k2−2)≦0

 即ち、k2≧17/4 で、K>0より、 k≧/2

 が求める k の値の範囲である。  (終) 


U. log x(x−8)=2 、log (5x−42)=1 を同時に満たす実数 x の値を x0 とし、
  そのときの a の値を a0 とおく。このとき、次の問いに答えよ。

(1) a0 と x0 の積を求めよ。

(2) log x(x−8)=2log (5x−42) を満たす x をすべて足し合わせた値を求めよ。

(解)(1) 真数条件より、x(x−8)>0 かつ 5x−42>0 から、 x>42/5

 log x(x−8)=2log (5x−42) なので、 x(x−8)=(5x−42)2

展開して整理すると、 6x2−103x+441=0 より、 (6x−49)(x−9)=0

よって、 x=49/6 、9

 ここで、x>42/5 なので、x=49/6 は不適。 よって、x0=9

 このとき、 log 3=1 から、 a0=3 なので、 a0・x0=27

(2) (1)から、求める値は、9  (終)


V. すべての項が有理数である数列 {a}、{b}は以下のように定義されるものとする。

  ((1+5)/10)=a (n=1,2,3,・・・)

 ここで、an+1、bn+1 は、それぞれ a、b と有理数A、B、C、Dを用いて、

  an+1=Aa+Bb 、bn+1=Ca+Db

と表すことができる。このとき、次の問いに答えよ。

(1) A+B+C+D の値を求めよ。

(2) limn→∞Σi=1 の値を求めよ。

(解)(1) ((1+5)/10)n+1

  =((1+5)/10)(a)=(a+15b)/10+(5a+b)/10

 より、an+1=(a+15b)/10 、bn+1=(5a+b)/10 なので、

 A=1/10 、B=3/2 、C=1/2 、D=1/10

 よって、 A+B+C+D=11/5

(2) an+1n+1=((1+5)/10)(a) より、

  a=(a11)((1+5)/10)n-1

 ここで、a1=1/10 、b1=1/2 なので、 a11=(1+5)/10

 よって、 a=((1+5)/10)n

 また、an+1n+1=(a+15b)/10−(5a+b)/10 を整理して、

 an+1n+1=((1−5)/10)(a) となる。

よって、 a=(a11)((1−5)/10)n-1=((1−5)/10)n より、

 a=(1/2)(((1+5)/10)n+((1−5)/10)n

  無限等比級数 limn→∞Σi=1 において、

 公比について、−1<(1−5)/10<(1+5)/10<1 なので、収束する。

よって、limn→∞Σi=1

=(1/2)((1+5)/10)/(1−(1+5)/10)+(1/2)((1−5)/10)/(1−(1−5)/10)

=(1/2)(1+5)/(9−5)+(1/2)(1−5)/(9+5

=((1+5)(9+5)+(1−5)(9−5))/12

=168/12=14  (終)


W. 複素数平面上に異なる3点P1(z1)、P2(z2)、P3(z3)がある。複素数 z1、z2、z3
  次の条件を満たすとする。

 条件1: z12+z22−z12=0
 条件2: |z1|=
 条件3: z3= z1+z2

 このとき、次の問いに答えよ。

(1) |z2|の値を求めよ。

(2) △z123 の面積を求めよ。

(解)(1) z13+z23=(z1+z2)(z12+z22−z12)=0 より、 z13=−z23

 よって、|z1|=|z2|なので、|z2|=

(2) z12+z22−z12=0 より、(z1/z22−z1/z2+1=0 を解いて、

 z1/z2=(1±)/2 から、 ∠z2Oz1=±π/3 (Oは原点)

 よって、△Oz12 は一辺の長さがの正三角形となる。

 z3= z1+z2 から、四角形Oz132は平行四辺形かつひし形となるので、△z123

 一辺の長さがの正三角形となる。

 よって、 △z123=(1/2)2sin(π/3)=/2  (終)


X. 白玉3個、黒玉6個の計9個の玉全てを3つの箱A、B、Cに分けることを考える。分け
  方の数え方については同じ色の玉は区別せず、箱は区別するものとする。また、玉が入
  らない箱がある場合も分け方として数えるものとする。このとき、次の問いに答えよ。

(1) 分け方の総数を求めよ。

(2) どの箱にも少なくとも1個以上玉が入る分け方の数を求めよ。

(3) どの箱にも白玉が2個以上または黒玉が2個以上入る分け方の数を求めよ。

(解)(1)白3個を3つの箱A、B、Cに分ける方法の数は、

(A,B,C)=(3,0,0)、(2,1,0)、(2,0,1)、(1,2,0)、(1,1,1)、(1,0,2)、
  (0,3,0)、(0,2,1)、(0,1,2)、(0,0,3) の10通り

このうちの1通りに対して、黒6個を3つの箱A、B、Cに分ける方法の数は、

(A,B,C)=(6,0,0)、(5,1,0)、(5,0,1)、(4,2,0)、(4,1,1)、(4,0,2)、
  (3,3,0)、(3,2,1)、(3,1,2)、(3,0,3)、(2,4,0)、(2,3,1)、(2,2,2)、
  (2,1,3)、(2,0,4)、(1,5,0)、(1,4,1)、(1,3,2)、(1,2,3)、(1,1,4)、
  (1,0,5)、(0,6,0)、(0,5,1)、(0,4,2)、(0,3,3)、(0,2,4)、(0,1,5)、
  (0,0,6) の28通り

 よって、分け方の総数は、 10×28=280(通り)

(別解) 白3個を箱Aに入れる方法は、3、2、1、0 の4通り

 それらに対して、残りの玉を箱B、Cに入れる方法の数は、1、2、3、4(通り)の計10通り

 黒6個を箱Aに入れる方法は、6、5、4、3、2、1、0 の7通り

 それらに対して、残りの玉を箱B、Cに入れる方法の数は、

 1、2、3、4、5、6、7(通り)の計28通り

 よって、分け方の総数は、 10×28=280(通り)

(別解) 33×36=10×28=280(通り)

(2) 2つの箱が空になる場合

 白(3,0,0)に対して、黒(6,0,0)
 白(0,3,0)に対して、黒(0,6,0)
 白(0,0,3)に対して、黒(0,0,6)

 1つの箱が空になる場合

 白(3,0,0)に対して、黒(5,1,0)、(5,0,1)、(4,2,0)、(4,0,2)、(3,3,0)、
  (3,0,3)、(2,4,0)、(2,0,4)、(1,5,0)、(1,0,5)、(0,6,0)、(0,0,6)
 白(2,1,0)に対して、黒(6,0,0)、(5,1,0)、(4,2,0)、(3,3,0)、(2,4,0)、(1,5,0)、
  (0,6,0)
 白(2,0,1)に対して、黒(6,0,0)、(5,0,1)、(4,0,2)、(3,0,3)、(2,0,4)、
  (1,0,5)、(0,0,6)
 白(1,2,0)に対して、黒(6,0,0)、(5,1,0)、(4,2,0)、(3,3,0)、(2,4,0)、(1,5,0)、
  (0,6,0)
 白(1,0,2)に対して、黒(6,0,0)、(5,0,1)、(4,0,2)、(3,0,3)、(2,0,4)、
  (1,0,5)、(0,0,6)
 白(0,3,0)に対して、黒(6,0,0)、(5,1,0)、(4,2,0)、(3,3,0)、(2,4,0)、
  (1,5,0)、(0,5,1)、(0,4,2)、(0,3,3)、(0,2,4)、(0,1,5)、(0,0,6)
 白(0,2,1)に対して、黒(0,6,0)、(0,5,1)、(0,4,2)、(0,3,3)、(0,2,4)、
  (0,1,5)、(0,0,6)
 白(0,1,2)に対して、黒(0,6,0)、(0,5,1)、(0,4,2)、(0,3,3)、(0,2,4)、
  (0,1,5)、(0,0,6)
 白(0,0,3)に対して、黒(6,0,0)、(5,0,1)、(4,0,2)、(3,0,3)、(2,0,4)、
  (1,0,5)、(0,6,0)、(0,5,1)、(0,4,2)、(0,3,3)、(0,2,4)、(0,1,5)

 よって、3つの箱のうちで何れかが空になる場合の数は、 3+78=81(通り)

 以上から、どの箱にも少なくとも1個以上玉が入る分け方の数は、

  280−81=199(通り)

(別解) 箱Aが空で、BとCには少なくとも1個以上玉が入る分け方の数は、

 23×26−2=4×7−2=26(通り)

 箱Bが空で、AとCには少なくとも1個以上玉が入る分け方の数は、26(通り)

 箱Cが空で、AとBには少なくとも1個以上玉が入る分け方の数は、26(通り)

 箱AとB、BとC、AとCが空になる場合は、3通り

 したがって、どの箱にも少なくとも1個以上玉が入る分け方の数は、

  280−26×3−3=199(通り)

(3) どの箱にも白玉が2個以上または黒玉が2個以上入る分け方は、

 白(3,0,0)に対して、黒(2,2,2)、(1,3,2)、(1,2,3)、(0,4,2)、(0,3,3)、
  (0,2,4)
 白(2,1,0)に対して、黒(2,2,2)、(1,3,2)、(1,2,3)、(0,4,2)、(0,3,3)、
  (0,2,4)
 白(2,0,1)に対して、黒(2,2,2)、(1,3,2)、(1,2,3)、(0,4,2)、(0,3,3)、
  (0,2,4)
 白(1,2,0)に対して、黒(4,0,2)、(3,1,2)、(3,0,3)、(2,2,2)、(2,1,3)、
  (2,0,4)
 白(1,1,1)に対して、黒(2,2,2)
 白(1,0,2)に対して、黒(4,2,0)、(3,3,0)、(3,2,1)、(2,4,0)、(2,3,1)、
  (2,2,2)
 白(0,3,0)に対して、黒(4,0,2)、(3,1,2)、(3,0,3)、(2,2,2)、(2,1,3)、
  (2,0,4)
 白(0,2,1)に対して、黒(4,0,2)、(3,1,2)、(3,0,3)、(2,2,2)、(2,1,3)、
  (2,0,4)
 白(0,1,2)に対して、黒(4,2,0)、(3,3,0)、(3,2,1)、(2,4,0)、(2,3,1)、
  (2,2,2)
 白(0,0,3)に対して、黒(4,2,0)、(3,3,0)、(3,2,1)、(2,4,0)、(2,3,1)、
  (2,2,2)

 以上から、求める場合の数は、 9×6+1=55(通り)

(別解) 予め箱Aに白2個、箱BとCに黒2個ずつを入れておくとき、

 残り白1個の入れ方は、3通りで、

 その1通りに対して、残り黒2個の入れ方は、32=6(通り) なので、3×6=18(通り)

同様に、予め箱Bに白2個、箱AとCに黒2個ずつを入れておくとき、18(通り)

 予め箱Cに白2個、箱AとBに黒2個ずつを入れておくとき、18(通り)

 予め箱A、B、Cに白1個ずつ入れた場合は、黒6個を箱A、B、Cに黒2個ずつ入れる必要

があるので、これが1通りある。

 よって、求める場合の数は、 3×18+1=55(通り)


Y. xy 平面において、曲線 y=sin x と y=a・sin(x/2) がある。ただし、a は実数の定数
  であり、x の取り得る範囲は、0≦x≦2πである。この2曲線は、0<x<2πの範囲にお
  いて、ただ一つ交点を持つものとし、その交点の x 座標を x0 とする。このとき、この2曲
  線で囲まれる図形は2つあり、y 軸と直線 x=x0 で挟まれる方の面積をS1、もう一方の
  面積をS2とする。S1=4S2 であるとき、次の問いに答えよ。

(1) a を x0 で表せ。

(2) a の値を求めよ。

(解)(1) sin x =a・sin(x/2) より、 2sin(x/2)cos(x/2)=a・sin(x/2)

 0<x<2πより、 0<x/<π なので、 sin(x/2)≠0

 よって、 a=2cos(x0/2)

(2) S1=∫00 (sin x −a・sin(x/2))dx=[−cos x +2a・cos(x/2)]00

    =−cos x 0+2a・cos(x0/2)+1−2a

    =−cos x 0+4cos2(x0/2)+1−2a

    =−cos x 0+2+2cos x 0+1−2a=3−2a+cos x 0

 S2=∫0 (a・sin(x/2)−sin x )dx=[−2a・cos(x/2)+cos x ]0

    =2a+1+2a・cos(x0/2)−cos x0

    =2a+1+4cos2(x0/2)−cos x0

    =2a+1+2+2cos x0−cos x0=2a+3+cos x0

1=4S2 より、 3−2a+cos x 0=4(2a+3+cos x0) なので、

 10a+9+3cos x0=0

 ここで、 cos x0=2cos2(x0/2)−1=a2/2−1 なので、 3a2/2+10a+6=0

 すなわち、 3a2+20a+12=0 から、(3a+2)(a+6)=0 より、a=−2/3、−6

 ここで、a=2cos(x0/2) から、 −2≦a≦2 なので、 a=−2/3  (終)


Z. xyz 空間に点Oを中心とする半径2の球面Sがあり、S上に異なる3点A、B、Cをとる。
  ここで、△ABCは xy 平面上にある正三角形で、点Aの座標は(2,0,0)であり、点Bの
   y 座標の値が正であるとする。S上にある点Pが、∠BOP=π/6 という条件を満たして
  動くとき、z 座標の値が最小であるような点PをP1とする。このとき、以下の問いに答えよ。

(1) P1の座標を求めよ。

(2) S上にある点Qが∠QOP1=π/6という条件を満たして動くとき、線分AQの長さが最
  小となる点QをQ1とする。このとき、三角錐ABCQ1の体積はいくらか。

  

(解)(1) 題意より、B(−1,,0)、C(−1,−,0)である。点Pより、線分OBに下

 ろした垂線の足をO’とおくと、 OO’= 、PO’=1 である。

 このとき、O’の座標は、(/2)(−1,,0)=(−/2,3/2,0) となる。

 題意より、 P1(−/2,3/2,−1) である。

(2) (1)と同様に、点Qより線分OP1に下ろした垂線の足をO”とおくと、

 OO”= 、QO”=1 である。このとき、点O”の座標は、

 (/2)(−/2,3/2,−1)=(−3/4,3/4,−/2) となる。

 Q(x,y,z)とおくと、QはS上の点なので、 x2+y2+z2=4

さらに、QO”=1 なので、 (x+3/4)2+(y−3/4)2+(z+/2)2=1

 このとき、 1−(x+3/4)2=(y−3/4)2+(z+/2)2≧0 より、

 −7/4≦x≦1/4 である。

 題意より、線分AQの長さが最小となる点QがQ1なので、

 AQ2=(x−2)2+y2+z2=x2+y2+z2−4x+4=8−4x は、x=1/4 のとき最小

このとき、 y=3/4 、z=−/2 より、 Q1(1/4,3/4,−/2) となる。

 従って、求める三角錐ABCQ1の体積は、

  (1/3)・△ABC・(/2)=(1/3)・(/4)(22・(/2)=3/2  (終)



  以下、工事中!