052 | 平成31年度 | 早稲田大学 | 理工学部 | ・・・ | 整数問題(数A) | やや易 |
解くためのヒントが用意されていて設問が良心的ですね。
早稲田大学 基幹・創造・先進理工学部(2019)
自然数nについて、次のような命題を考える。
(*) n2+1、2n2+3、6n2+5 がすべて素数である
(1) n=5k(kは自然数)のとき、nは(*)を満たさないことを示せ。
(2) (*)を満たすようなnは、n=1、2のみであることを示せ。
(解)(1) n=5k(kは自然数)のとき、
n2+1=25k2+1
2n2+3=50k2+3
6n2+5=150k2+5=5(30k2+1) ・・・ 素数でない
以上から、nは(*)を満たさない。
(2) n=1 のとき、
n2+1=2 、2n2+3=5 、6n2+5=11
はすべて素数となり、(*)を満たす。
n=2 のとき、
n2+1=5 、2n2+3=11 、6n2+5=29
はすべて素数となり、(*)を満たす。
3以上のnについて、
n=5k(k≧1)のとき、(1)から、nは(*)を満たさない。
n=5k±1(k≧1) のとき、
2n2+3=50k2±20k+5=5(10k2±4k+1) ・・・ 素数でない
よって、nは(*)を満たさない。
n=5k±2(k≧1) のとき、
n2+1=25k2±20k+5=5(5k2±4k+1) ・・・ 素数でない
よって、nは(*)を満たさない。
以上から、(*)を満たすようなnは、n=1、2のみである。 (終)
DD++さんからのコメントです。(平成31年4月7日付け)
この問題の場合、
(n^2+1)(2n^2+3)(6n^2+5)
= 12n^6+40n^4+43n^2+15= (12n^6-60n^4+48n^2)+(100n^4-5n^2+15)
= 12n*(n-2)(n-1)n(n+1)(n+2) + 5(20n^4-n^2+3)
と変形することで、これらの積が常に5の倍数であること、すなわち、全て素数ならばいずれ
かが5であることを示せます。
そこで生じた疑問ですが、このようなやり方はいつでも可能なのでしょうか?
すなわち、
いくつか(有限個)の整式 P(n), Q(n), R(n), …… がいずれも任意の自然数nに対して自然
数値をとるとき、全ての整式の値が素数になるnが有限個しかないならば、
積P(n)*Q(n)*R(n)*…… がnの値によらず、ある素数pの倍数となっている。
これは真なのでしょうか。どなたか情報をお持ちでしたらご教示ください。
らすかるさんからのコメントです。(平成31年4月7日付け)
偽ですね。
nが自然数のときに自然数値をとる関数P(n)=n^3+1, Q(n)=n+1に対して、両方とも素数に
なるのは明らかに、n=1 のときのみですが、
P(1)Q(1)=2^2 、P(2)Q(2)=3^3
なので条件を満たす素数pは存在しません。
# 「各整式が既約」という条件がある場合はどうなるのでしょうね。
DD++さんからのコメントです。(平成31年4月7日付け)
あ、そうですね、「既約な」整式とつけておくべきでしたね。
らすかるさんからのコメントです。(平成31年4月7日付け)
既約な整式として、「ブニャコフスキー予想」と大いに関係ありそうですね。
DD++さんからのコメントです。(平成31年4月7日付け)
もう1つ。(n^2+n+4)/2 みたいに、係数に分数を含むが任意のnに対して自然数値をとる多
項式を含めるか否かという点も問題になる可能性がありますね。
これは……どうすべきなんだろう?