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050 平成31年度前期  東京大学   理系 ・・・ 整数問題(数A)  標準

 互除法って、こういう出題の仕方もあるのかと勉強になりました!


東京大学 前期理系(2019)

 nを1以上の整数とする。
(1) n2+1と5n2+9の最大公約数dを求めよ。
(2) (n2+1)(5n2+9)は整数の2乗にならないことを示せ。

(解)(1) 5n2+9=5(n2+1)+4 なので、互除法より、

   n2+1と5n2+9の最大公約数dは、n2+1と4 の最大公約数に等しい。

  n≡0、1、2、3 (mod 4) に対して、 n2+1≡1、2、1、2 (mod 4)

  よって、 n≡0、2 (mod 4) すなわち、

   nが偶数のとき、n2+1を4で割った余りは1なので、

   n2+1と4は互いに素で、 d=1

 n≡1、3 (mod 4) すなわち、 nが奇数のとき、n2+1を4で割った余りは2なので、

   n2+1と4の最大公約数は2で、 d=2 となる。

(2) nが偶数のとき、n2+1と5n2+9は互いに素で、(n2+1)(5n2+9)が整数の2乗
  になるものとすると、

  n2+1と5n2+9はそれぞれ整数の2乗にならなければならないが、明らかにn2+1が
 整数の2乗になることはなく矛盾する。

 nが奇数のとき、n2+1と5n2+9の最大公約数は2なので、

  n2+1=2A 、5n2+9=2B (AとBは互いに素)

 と書ける。 このとき、(n2+1)(5n2+9)=4AB が整数の2乗になるものとすると、

  ABは整数の2乗 すなわち、 A、Bそれぞれが整数の2乗になる。

 そこで、 n2+1=2a2 、5n2+9=2b2 とおける。

 このとき、 4n2+8=2(b2−a2) より、 2n2+4=b2−a2

 4を法として、奇数nに対して、 n2≡1 なので、 2n2+4≡2 (mod 4)

 一方、 a2≡0、1 (mod 4)、b2≡0、1 (mod 4) なので、いずれにしても

  b2−a2≡0、1、3 (mod 4)

 よって、 2n2+4=b2−a2 を満たす整数は存在しないので、

nが奇数のとき、(n2+1)(5n2+9)は整数の2乗にならない。

 以上から、(n2+1)(5n2+9)は整数の2乗にならない。  (終)