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047 平成30年度前期  東北大学   理系 ・・・ 三角関数(数TU)  やや難

 計算量が多く、図示や証明を要求する問題が多かったようです。

東北大学 前期理系(2018)

 三角形ABCの内接円の半径を r 、外接円の半径をRとし、h=r/Rとする。
また、∠A=2α、∠B=2β、∠C=2γとおく。

(1) h=4sinαsinβsinγ となることを示せ。

(2) 三角形ABCが直角三角形のとき、h≦−1 が成り立つことを示せ。また、等号が
  成り立つのはどのような場合か。

(3) 一般の三角形ABCに対して、h≦1/2 が成り立つことを示せ。また、等号が成り立つ
  のはどのような場合か。

(参考) hの評価を問う同趣旨の問題が、京都大学 後期理系(2006)で出題されている。

(解) (1) 左図において、 s=(a+b+c)/2 とおくと、

 △ABCの面積Sは、S=r・s=abc/(4R) と書ける。

  正弦定理より、

  a=2Rsin2α、b=2Rsin2β、c=2Rsin2γ

  よって、 r=2Rsin2α・sin2β・sin2γ/(sin2α+sin2β+sin2γ) より、

  h=r/R=2sin2α・sin2β・sin2γ/(sin2α+sin2β+sin2γ)

   =16sinαsinβsinγ・cosαcosβcosγ/(sin2α+sin2β+sin2γ)

 ここで、 2α+2β+2γ=π なので、

 sin2α+sin2β+sin2γ=2sin(α+β)cos(α−β)+2sinγcosγ

=2cosγcos(α−β)+2sinγcosγ=2cosγ(cos(α+β)+cos(α−β))

=4cosαcosβcosγ

 よって、 h=4sinαsinβsinγ

(2) 2γ=π/2 即ち、γ=π/4 と仮定しても一般性を失わない。このとき、

 h=−2sinγ(cos(α+β)−cos(α−β))=−/2−cos(α−β))

より、 h=cos(α−β)−1≦−1

 等号成立は、α−β=0 即ち、α=β=π/8 のときに限る。

 このとき、三角形ABCは直角2等辺三角形である。

(3) 一般に、

 h=−2sinγ(cos(α+β)−cos(α−β))=−2sinγ(sinγ−cos(α−β)) より、

   h=2sinγcos(α−β)−2sin2γ

 ここで、 −π/2<α−β<π/2、0<γ<π/2 なので、

   0<cos(α−β)≦1 、 0<sinγ<1

 よって、 h≦2sinγ−2sin2γ=−2(sinγ−1/2)2+1/2≦1/2

 等号成立は、α−β=0 かつ γ=π/6 即ち、α=β=γ=π/6 のときに限る。

 このとき、三角形ABCは正三角形である。