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039 | 平成28年度前期 | 京都大学 | 文系 | ・・・ | 整数問題(数A) | 難 |
今年度の京都大学の入試問題で興味・関心を引いた問題である。深みのある整数問題で
少し難しいが、解法を見れば誰でもが納得しうるレベルだろう。極端な難問ではないと思う。
京都大学 前期文系(2016)
nを4以上の自然数とする。数2、12、1331がすべてn進法で表記されているとして、
212=1331
が成り立っている。このとき、nはいくつか。十進法で答えよ。
問題の意味を確認するために、いくつか計算してみた。
n=4 とすると、 212=21・4+2=26=64 なので、1331=1・43+3・42+3・4+1
に等しくなりそうにない。
n=5 とすると、 212=21・5+2=27=128 なので、1331=1・53+3・52+3・5+1
に等しくなりそうにない。
n=6 とすると、 212=21・6+2=28=256 なので、1331=1・63+3・62+3・6+1
に等しくなりそうにない。
n=7 とすると、 212=21・7+2=29=512 で、1331=1・73+3・72+3・7+1=512
となり、 212=1331 が成り立つので、n=7 は求める解のうちの一つである。
これ以外に解があるかどうかを調べなければ完全解答とはならない。
(解) n進法を十進法に直すと、 212=21・n+2=2n+2
1331=1・n3+3・n2+3・n+1=(n+1)3
なので、 2n+2=(n+1)3 となる。
左辺は偶数なので、n+1も偶数で、 n+1=2k (kは自然数) とおける。
このとき、 22k+1=23k より、 2k+1=3k すなわち、 2k=3k−1
k=1 のとき、 21=3・1−1 で成り立つが、n=1は、n≧4に矛盾する。
k=2 のとき、 2k=3k−1 は成り立たない。
k=3 のとき、 23=3・3−1 で成り立ち、 n=23−1=7 はn≧4を満たす。
k≧4 のとき、 2k>3k−1 であることを数学的帰納法により示す。
k=4 のとき、 24=16 、3・4−1=11 で、k=4のとき成り立つ。
k=m (m≧4) のとき成り立つと仮定する。すなわち、 2m>3m−1
このとき、 2m+1>6m−2 で、
6m−2−{3(m+1)−1}=3m−4>0 より、 6m−2>3(m+1)−1
よって、 2m+1>3(m+1)−1 が成り立ち、k=m+1のときも成り立つ。
以上から、k≧4 のとき、2k>3k−1 が成り立つので、2k=3k−1を満たす解はない。
したがって、求めるnの値は、n=7 のみである。 (終)