038 | 平成28年度前期 | 京都大学 | 理系 | ・・・ | 整数問題(数A) | やや難 |
今年度の京都大学の入試問題は、昨年度に比して若干易化したようで難問と思えるものは
見当たらなかった。ただ、受験生個々の力量で解ける、解けないの2分化現象が起こりそうな
問題が目についた。
京都大学 前期理系(2016)
素数 p、q を用いて、pq+qp と表される素数をすべて求めよ。
(解) 3以上の素数 p、q は奇数なので、pq+qp は偶数となり、素数とはなり得ない。
よって、p または q は、2に等しい。
(1) p=q=2 のとき、 pq+qp=8 は素数でない。
(2) p=2 のとき、 2q+q2 が素数となるような q を求める。
q>3 とすると、q≡1 (mod 3) または q≡−1 (mod 3)
何れにしても、 q2≡1 (mod 3)
また、q=2k+1 (kは自然数)と書けるので、 2q=2・4k≡2 (mod 3)
よって、 2q+q2≡0 (mod 3) となり、素数となり得ない。
したがって、 q=3 でなければならない。
(3) q=2 のとき、(2)と同様にして、p=3 でなければならない。
以上から、求める素数は、 23+32=8+9=17 (終)
(コメント) 「条件を満たす素数をすべて求めよ。」という文言から解くことを諦めさせるような
オーラを感じさせるが、結局素数は1個だけなんですね!なんか肩すかしを食った
ような...気分。河合塾の分析では、この問題は「やや易」なのだが、本当だろう
か?
上記の類題が東北大学 前期理系(2016)でも出題された。
以下の問いに答えよ。
(1) 6以上の整数nに対して、不等式 2n>n2+7 が成り立つことを数学的帰納法により
示せ。
(2) 等式 pq=qp+7 を満たす素数の組(p,q)をすべて求めよ。
(解)(1) n=6 のとき、26=64、n2+7=43 より、 26>n2+7 なので、n=6とき成
り立つ。
n=k(k≧6)のとき成り立つと仮定する。すなわち、2k>k2+7 が成り立つ。
このとき、 2k+1>2(k2+7) において、
2(k2+7)−{(k+1)2+7}=k2−2k+6=k(k−2)+6>0
より、 2k+1>(k+1)2+7 なので、 n=k+1のときも成り立つ。
したがって、6以上の整数nに対して、不等式 2n>n2+7 が成り立つ。
(2) p、qを3以上の素数とすると、pq、qpは奇数となり、pq=qp+7 を満たす素数p、q
は存在しない。
よって、p=2 または q=2
p=2 のとき、 2q=q2+7 において、q≧6 とすると、 q2+7>q2+7 となり矛盾。
よって、 q≦5 で、qは素数より、 q=2、3、5
これらのうち、 2q=q2+7 を満たすものは、 q=5
q=2 のとき、 p2=2p+7 において、p≧6 とすると、 p2>p2+14 で不適。
よって、 p≦5 で、pは素数より、 p=2、3、5
これらは、 p2=2p+7 を満たさない。
以上から、 p=2、q=5
(コメント) 偶然にも、考え方は京都大学のものとほとんど同じですね!こんなことって、ある
んですね。驚きました。