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037 平成28年度前期  東京大学   文系 ・・・ 整数問題(数A)  やや難

 今年度の東京大学の入試問題は標準的な問題の出題が多く、昨年度に比して若干易化し
たように見える。


東京大学 前期文系(2016)

 以下の問いに答えよ。ただし、(1)については、結論のみを書けばよい。

(1) nを正の整数とし、3を10で割った余りをaとする。aを求めよ。

(2) nを正の整数とし、3を4で割った余りをbとする。bを求めよ。

(3) 数列{x}を次のように定める。 x1=1 、 xn+1=3 (n=1,2,3,・・・)

  x10 を10で割った余りを求めよ。


(解)(1) 31=3 、32=9 、33=27 、34=81 、35=243 、・・・ なので、

     n≡1 (mod 4) のとき、 a=3
     n≡2 (mod 4) のとき、 a=9
     n≡3 (mod 4) のとき、 a=7
     n≡0 (mod 4) のとき、 a=1

  (注) 3n+4−3=80・3≡0 (mod 10) なので、 3n+4≡3 (mod 10)
      したがって、n=1、2、3、4について調べれば十分である。


(2) 31=3 、32=9≡1 (mod 4) 、33=27≡3 (mod 4) 、・・・ なので、

 n≡1 (mod 2) のとき、 b=3 、n≡0 (mod 2) のとき、 b=1

と類推される。この類推が正しいことを数学的帰納法により示す。

 まず、n=2m−1 (m=1、2、・・・) のとき、 b=3 であることを示す。

 m=1のとき、n=1で、31=3 より b1=3 で、m=1のとき成り立つ。

 m=k(k≧1)のとき成り立つと仮定する。即ち、b2k-1=3 である。

 このとき、32k+1=9・32k-1≡1・3=3 (mod 4) なので、b2k+1=3 である。

 このことから、m=k+1のときも成り立つ。

 したがって、全ての自然数mに対して、 b2m-1=3 が成り立つ。

 すなわち、n=2m−1 (m=1、2、・・・) のとき、 b=3 である

 同様にして、 n=2m (m=1、2、・・・) のとき、 b=1 であることも示される。

  (注) 3n+2−3=8・3≡0 (mod 4) なので、 3n+2≡3 (mod 4)
      したがって、n=1、2について調べれば十分である。


(3) 定義より、 x10=39 、x9=38 、x8=37 である。

  x7は自然数なので、x8=37 は奇数である。

  よって、 x9=38≡(−1)8=−1 (mod 4) より、x9≡3 (mod 4)

  このとき、(1)より、 x10=39≡7 (mod 10)  (終)


(コメント) この問題をどこかで見たよな〜と思って資料を調べたら、平成27年11月21日
      に筑波大学附属駒場高校で行われた教育研究会の数学Aの授業問題の類似問
      題であった。

  2を2乗、3乗、・・・ していったときの下1桁は?とか7を2乗、3乗、・・・ していったとき
 の下1桁は?とかを考えさせ、110+210+310+・・・+4110の下1桁を求める問題で、一
 般の高校ではまずやらない課題に取り組ませるなど「筑駒、恐るべし」という印象を持ったこ
 とを今更ながら思い出された。