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035 平成27年度前期  東京大学   文系 ・・・ 2次関数(数TU)  やや難

 今年度の東京大学の入試問題は全般的に難しかったと言われる。特に、文系がその傾向
だったように感じる。理系並みの数学の力が要求されているようだ。


東京大学 前期文系(2015)

 座標平面上の2点A(−1,1)、B(1,−1)を考える。また、Pを座標平面上の点とし、その
x座標の絶対値は1以下であるとする。

 次の条件(@)または(A)をみたす点Pの範囲を図示し、その面積を求めよ。

(@) 頂点のx座標の絶対値が1以上の2次関数のグラフで、点A、P、Bをすべて通るもの
   がある。
(A) 点A、P、Bは同一直線上にある。

(解) 3点A、P、Bが同一直線上にあるとき、点A、P、Bをすべて通る2次関数のグラフは
   存在しないので、(@)をみたす点Pの範囲を求める場合、3点A、P、Bは同一直線上
   にないものとしてよい。

 題意より、点P(s,t) (−1≦s≦1) とおける。

 点Pが条件(A)をみたすとき、 t=−s が成り立つ。

 点Pが条件(@)をみたすときを考える。3点A、P、Bをすべて通る放物線の方程式を

  y=ax2+bx+c

とおくと、a−b+c=1 、a+b+c=−1 より、 b=−1、 c=−a となる。すなわち、

  y=ax2−x−a

 頂点のx座標は、 1/(2a) なので、題意より、 1/(2a)≦−1、1/(2a)≧1

 すなわち、 −1/2≦a<0、0<a≦1/2

 ここで、 as2−s−a=t より、 a(s2−1)=s+t

 冒頭での確認から、 s2−1≠0 としてよいので、 a=(s+t)/(s2−1)

よって、 −1/2≦(s+t)/(s2−1)<0、0<(s+t)/(s2−1)≦1/2

 −1≦s≦1 より、 s2−1<0 なので、

  0<s+t≦−(s2−1)/2 、 (s2−1)/2≦s+t<0

したがって、 t>−s かつ t≦(−1/2)(s+1)2+1

       または、 t<−s かつ t≧(1/2)(s−1)2−1

 上記と、t=−s (−1≦s≦1) を合わせて、下図の領域が求めるものである。

   よって、求める面積は、

  (1/12)・43・(1/2)×2−4

  =16/3−4=4/3  (終)










(コメント) 予備校の難易分析では「やや難」となっているが、これは受験生が制限時間以内
      でどの程度出来るかの目安。内容的には多分「標準」レベルの問題だろうと思う。
       面積の計算で例の公式を用いたが、本番の答案では減点のリスクを避けるため
      に、素直に積分計算した方が無難だろう。