戻る
030 平成26年度前期  一橋大学   文系 ・・・ 整数問題(数学A)  やや難

 「どこから手をつければいいのだろう?」というのが率直な感想である。全5題(120分)中
の第1問で、もし私が受験生だったら多分動揺してしまうだろう。第2問以降の問題が平易な
ので、第1問に時間をかけるのは得策ではない。これは捨て問として飛ばすのが最善の策と
思う。

 実際の試験場ではそういう対応で間違いないと思うが、純粋に数学の問題を解く立場とし
ては拙かろう。

一橋大学 前期文系(2014)

 a−b−8 と b−c−8 が素数となるような素数の組(a,b,c)をすべて求めよ。


 a,b,c は素数という条件がついているので、100以下の素数について、いろいろ実験し
てみて、解法の糸口を見つけることにしよう。100以下の素数は次の25個である。

 2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、
 71、73、79、83、89、97

 a、b、c と a−b−8 、b−c−8 が素数なので、c が最小の素数2とすれば、bは13
以上の素数で、かつ、b−10は素数ということから、

  b=13、17、23、29、41、47、53、71、83、89、97

 b=13 とすると、aは23以上の素数で、a−21は素数である。

  この条件を満たすのは、a=23 のみで、それ以外のaについては成り立たないように
思われる。b=17、23、29、41、47、53、71、83、89、97 とすると、条件を満たすよ
うな素数aは存在しないような雰囲気。

 a=23、b=13、c=2 が一つの解の候補となるわけであるが、このとき、

  a−b−8=2 、b−c−8=3

となる点が興味深い。どうも、偶数の素数は2のみ、奇数の素数の最小なものが3という
ことを念頭におくと解決しそうな...予感!

 そこで、解答をでっち上げてみた。

(解) a、b、c と a−b−8 、b−c−8 が素数なので、bは13以上の素数(奇数)で、

 aは23以上の素数(奇数)であることは明らか。このとき、a−b−8は偶数の素数という

ことで、 a−b−8=2 でなければならない。このとき、 a=b+10 となる。

 ここで、b−c−8=p (pは素数) とおくと、 b−c=p+8

(1) c=2 のとき、 b=p+10 で、 a=p+20

  このとき、pを3で割った余りが1のとき、aは素数になり得ず、pを3で割った余りが2の
 とき、bは素数になり得ない。

  よって、pは3の倍数となり、そのような素数は、3のみである。

 したがって、 b=13 で、 a=23 より、 (a,b,c)=(23,13,2)

(2) cが3以上の素数とすると、cは奇数で、 b=c+p+8 、a=c+p+18

  条件より、a、b、c は奇数なので、pは偶数の素数となり、p=2でなければならない。

   このとき、 b=c+10 、 a=c+20

  (1)と同様にして、素数 c は3の倍数で、c=3 でなければならない。

   よって、 b=13 、a=23 より、 (a,b,c)=(23,13,3)

 以上から、 (a,b,c)=(23,13,2)、(23,13,3)  (終)