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028 平成23年度前期  東京大学   理系 ・・・ 数列(数学B)  標準

 受験場でこんな問題を見たら絶対焦るだろうな〜というタイプの問題。具体例を考えて地道
に攻めるしかないだろう。


東京大学 前期理系(2011)

 実数 x の小数部分を、0≦y<1 かつ x−y が整数となる実数 y のこととし、これを記号

<x>で表す。実数aに対して、無限数列{a}の各項a(n=1、2、3、・・・)を次のように順次

定める。

 (@) a1=<a>

 (A) a≠0 のとき、 an+1=<1/a>  、 a=0 のとき、 an+1=0

(1) a=のとき、数列{a}を求めよ。

(2) 任意の自然数 n に対して、a=aとなるような1/3以上の実数aをすべて求めよ。

(3) aが有理数であるとする。aを整数pと自然数qを用いて、a=p/q と表すとき、q以上

  のすべての自然数nに対して、a=0であることを示せ。



(解)(1) a= のとき、1<<2 より、0<−1<1 なので、y=−1 とお

  くと、0≦y<1 かつ a−y=−(−1)=1 は整数なので、 <a>=y=−1

   よって、 a1−1

  a1−1≠0 で、 1/a1=1/(−1)=+1

   2<+1<3 より、0<(+1)−2<1 なので、y=(+1)−2=−1

  とおくと、

  0≦y<1 かつ 1/a1−y=(+1)−(−1)=2 は整数なので、

  <1/a1>=y=−1 より、 a2−1

  以下同様にして、 a−1  (厳密には数学的帰納法で示す)

(2) ((1)より、条件を満たすaの一つが、−1であることは予想されるが...。)

  a1=<a>=a より、 0≦a<1 で、さらに題意より、 1/3≦a<1

  ここで、 a=1/3 とすると、 a2=0 となり、題意に反するので、 a≠1/3

  よって、 1/3<a<1 となり、 1<1/a<3 から、 1/a=1.・・・ または 2.・・・

  (イ) 1/a=1.・・・ のとき、 a=1/a−1 が成り立ち、a2+a−1=0 より、

     0≦a<1 に注意して、 a=(−1)/2

  (ロ) 1/a=2.・・・ のとき、 a=1/a−2 が成り立ち、a2+2a−1=0 より、

     0≦a<1 に注意して、 a=−1

(3) 題意より、 a=p/q (p は0以上の整数、q は自然数) と書ける。

   a1=<p/q>=p1/q1 において、pをqで割った余りがp1であり、q1=q である。

   このとき、 0≦p1<q

   p1=0 のとき、a1=0 で、このとき、帰納的に a=0 すなわち、 p=0

   p1≠0 のとき、 q=kp1+r (k、r は整数で、 0≦r<p1) とすると、

    a2=<q/p1>=r/p1 より、 p2=r、q2=p1 において、 0≦p2<q2=p1<q

   以下同様にして、

      p=0 ならば、 pn+1=0

      p≠0 ならば、 0≦pn+1<p<q で、pn+1、p は整数

  以上から、 q以上のすべての自然数nについては、p=0 でなければならず、

   a=0 となる。