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027 平成24年度前期  東京大学   理系 ・・・ 整数(数学A)  やや難

 平成24年度より、数学では新学習指導要領が始まる。この問題は、その目玉「数学A 整
数問題」の行く末を暗示するような...そんな雰囲気。


東京大学 前期理系(2012)

 nを2以上の整数とする。自然数(1以上の整数)のn乗になる数をn乗数と呼ぶことにする。

以下の問いに答えよ。

(1) 連続する2個の自然数の積はn乗数ではないことを示せ。

(2) 連続するn個の自然数の積はn乗数ではないことを示せ。



(解)(1) 連続する2個の自然数の積 m(m+1) がn乗数であると仮定する。

     このとき、ある自然数 k に対して、

      m(m+1)=k  ここで、m、m+1は互いに素なので、

       m=An 、 m+1=B (A、Bは自然数) でなければならない。

      このとき、 1=B−An=(B−A)(Bn-1+Bn-2A+・・・+An-1

      B−A≧1 なので、 Bn-1+Bn-2A+・・・+An-1≦1

      ところで、 Bn-1+Bn-2A+・・・+An-1≧n なので、 n≦1 となる。

      これは、 n≧2 であることに矛盾する。

      よって、 連続する2個の自然数の積はn乗数ではない。

  (2) 連続するn個の自然数の積 m(m+1)・・・(m+n−1) がn乗数であると仮定する。

     このとき、ある自然数 k に対して、

      m(m+1)・・・(m+n−1)=k

     ここで、 m<k<(m+n−1) より、 k=m+1、・・・、m+n−2 の何れか。

     そこで、 m(m+1)・・・(m+n−1)=(m+h)  (h=1、2、・・・、n−2)

      m+2≦m+h+1≦m+n−1 より、m+h+1は、(m+h) の約数となるが、

     m+h+1とm+hは互いに素なので、m+h+1と(m+h) は互いに素である。

     これは矛盾である。

      よって、 連続するn個の自然数の積はn乗数ではない。  (終)