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021 | 平成21年度前期 | 横浜国立大学 | 工学部 | ・・・ | 図形と式(数学U) | 標準 |
この問題は、図形の知識、解析幾何の知識の両面からアプローチでき、良問と思う。
横浜国立大学 工学部前期(2009)
xy 平面上に円 C :
x2+y2=1 がある。C の外部の点P( s , t ) (s≠±1)からCへ
引いた2つの接線と直線
x=1 との交点をQ、R とする。次の問いに答えよ。
(1) 線分QRの長さを s , t を用いて表せ。
(2) QRの長さが 1
であるようにPが動くとき、Pの軌跡を求め、図示せよ。
(解)(1) 座標軸の原点を O
とすると、 OP2=s2+t2 である。
2つの場合に分けて考える。
(イ) 点Pが直線
x=1 の左側にあり、s<−1 の場合
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△PQR=QR(1−s)/2 また、PQ’=PR’= ![]() △PQR= ![]() よって、 QR(1−s)=2 ![]() より、 QR=−2 ![]() |
(ロ) 点Pが直線 x=1 の左側にあり、−1<s<1 の場合
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△PQR=QR(1−s)/2 また、PQ’=PR’= ![]() 四角形OQ’QH=QH より、 QR(1−s)/2=QH− ![]() =QR− ![]() より、 QR=2 ![]() |
(ハ) 点Pが直線 x=1 の右側にある場合
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△PQR=QR(s−1)/2 また、PQ’=PR’= ![]() 四角形PQ’OR’= ![]() よって、 QR(s−1)=2 ![]() より、 QR=2 ![]() |
以上から、QRの式をまとめると、
(別解) 接線PQの方程式を、y=m(x−s)+t とおくと、Q のy
座標=m(1−s)+t
接線PRの方程式を、y=n(x−s)+t とおくと、R のy
座標=n(1−s)+t
なので、 QR=|(m−n)(1−s)| となる。
また、点と直線の距離の公式より、
、
よって、 m2(s2−1)−2stm+t2−1=0 、 n2(s2−1)−2stn+t2−1=0
このことから、 m、n は2次方程式 x2(s2−1)−2stx+t2−1=0 の解なので、
解と係数の関係から、 m+n=2st/(s2−1) 、 mn=(t2−1)/(s2−1)
このとき、 (m−n)2=(m+n)2−4mn
=4s2t2/(s2−1)2−4(t2−1)/(s2−1)
=4(s2+t2−1)/(s2−1)2
これを、QR=|(m−n)(1−s)| に代入して整理すると、
となる。
(コメント) 別解の方法には「美しさ」が漂っていますね!でも、この解法を試験場で
思いつくのは大変かな?本解では、中学校の幾何レベルで泥臭く解いて見
ました!
(2) QR=1 なので、 (2)2=(s+1)2 より、
3s2+4t2−2s−5=0
ここで、s=±1 のとき、 t=0、±1 なので、
求める軌跡の方程式は、 3x2+4y2−2x−5=0
ただし、点(
1 , 1 )( 1 , −1 )( −1 , 0 ) は除かれる。
(追記) 平成21年3月4日付け
当HPがいつもお世話になっているS(H)さんが、上記の問題を次のように拡張された。
xy 平面上に楕円 C : x2/a2+y2/b2=1 ( a>b>0 )がある。
C の外部の点P( s , t ) (s≠±a)からCへ引いた2つの接線と直線
x=a との交点をQ、
R とする。次の問いに答えよ。
(1) 線分QRの長さを s , t を用いて表せ。
(2) QRの長さが d であるようにPが動くとき、Pの軌跡を求め、図示せよ。
ここでは、a=2、b=1、d=2 として解いてみよう。
(解) (1) 接線PQの方程式を、y=m(x−s)+t とおくと、Q
のy 座標=m(2−s)+t
接線PRの方程式を、y=n(x−s)+t とおくと、R のy 座標=n(2−s)+t
なので、 QR=|(m−n)(2−s)| となる。
また、直線の方程式 y=m(x−s)+t を楕円の方程式 x2/4+y2=1 に代入し
て整理すると、
(4m2+1)x2+8m(t−ms)x+4(m2s2−2mst+t2−1)=0
接する条件から、判別式をとって、
16m2(t−ms)2−4(4m2+1)(m2s2−2mst+t2−1)=0
よって、展開して整理すると、
(4−s2)m2+2mst−t2+1=0
同様にして、 (4−s2)n2+2nst−t2+1=0
以上から、m、n は2次方程式 (4−s2)x2+2stx−t2+1=0 の解となる。
解と係数の関係から、 m+n=2st/(s2−4) 、 mn=(t2−1)/(s2−4)
このとき、 (m−n)2=(m+n)2−4mn
=4s2t2/(s2−4)2−4(t2−1)/(s2−4)
=4(s2+4t2−4)/(s2−4)2
これを、QR=|(m−n)(2−s)| に代入して整理すると、
となる。
(2) QR=2 のとき、 s2+4t2−4=(s+2)2 から、 t2=s+2 なので、
求める軌跡の方程式は、 y2=x+2 となる。
ただし、点( −2 , 0 ) は除かれる。
(注意) x2+4y2=4 に、y2=x+2 を代入すると、 x2+4x+4=0 なので、
楕円と放物線は、点( −2 , 0 )のみで接している。
(コメント) 横国の問題の場合も同様だが、上図の点( −2 , 0 )の近傍の点における接
線の様子が微妙ですね!と、S(H)さんが指摘されている。
楕円に接する2接線を描いたときに、遥か彼方で直線 x=2 を切りとる線分の
長さが 2 になっている様を頭では理解できても、実際に図示するとなると至難の
技かな...?
当HPがいつもお世話になっているS(H)さんが、さらに、次のように拡張された。
xy 平面上に楕円 C : x2/a2+y2/b2=1 ( a>b>0 )がある。
C の外部の点P( s , t ) (s≠±a)からCへ引いた2つの接線と直線
x=m との交点をQ、
R とする。次の問いに答えよ。
(1) 線分QRの長さを s , t , m を用いて表せ。
(2) QRの長さが d であるようにPが動くとき、Pの軌跡を求め、図示せよ。
上記で、 a=1 、b=1 と特殊化し、
(イ) m=2 、d=7
(ロ) m=3 、d=5
などと、m、d の値をいろいろ変えて、Pが動くときのPの軌跡を求めてみることも面白いの
では?と、S(H)さんが仰っている。