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019 平成21年度前期 横浜国立大学 工学部 ・・・ 微分積分(数学V)  標準

 横浜国立大学入試問題の特徴は、これでもかというくらいに計算量に圧倒されることだろ
う。したがって、見通しを持って計算しないと青木ヶ原樹海を彷徨う心境になること必定であ
る。


横浜国立大学 工学部前期(2009)

 xy 平面上に曲線 C : y=x2 がある。C 上の点P( t , t2 )を次の条件(*)を満たすよう
にとる。

(*) P以外のC上の異なる2点Q、Rがあり、そこでのCの法線がともにPを通る

Q( α , α2 )、R( β , β2 ) (α<β)とするとき、次の問いに答えよ。

(1) t のとりうる値の範囲を求めよ。
(2) t が(1)で求めた範囲を動くとき、線分QRの中点Mが描く軌跡の方程式を求めよ。
(3) β を t の式で表し、極限    を求めよ。

(解)(1) y’=2x より、点Qにおける法線の方程式は、

    y=−{1/(2α)}(x−α)+α2=−{1/(2α)}x+α2+1/2

    この法線は、点Pを通るので、 t2=−{1/(2α)}t+α2+1/2

  同様にして、点Rでの法線の方程式を考えて、 t2=−{1/(2β)}t+β2+1/2

 よって、α 、β は方程式 t2=−{1/(2x)}t+x2+1/2 の異なる2つの実数解である。

 分母を払って整理すると、 2x3+(1−2t2)x−t=0

 この3次方程式は因数分解されて、 (x−t)(2x2+2tx+1)=0

 Q、RはPと異なる点であるので、α 、β は方程式 2x2+2tx+1=0 の異なる2つの

実数解である。よって、判別式をDとすると、

   D/4=t2−2>0 より、 t<− 、 <t

   (別解) C上の点( s , s2 )と点Pを結ぶ線分の傾きは、 s+t

     また、点( s , s2 )における接線の傾きは、 2s

    よって、これら2つの線分は垂直なので、 2s(s+t)=−1

      すなわち、 2s2+2st+1=0

    このとき、2次方程式 2x2+2tx+1=0 は異なる2つの実数解 α、β を持つので、

    判別式をDとすると、 D/4=t2−2>0 より、 t<− 、 <t (別解終)

(2) 2x2+2tx+1=0 において、解と係数の関係から、

      α+β=−t 、 αβ=1/2

  M( x , y )とおくと、 x=(α+β)/2=−t/2 より、 t=−2x

  y=(α2+β2)/2={(α+β)2−2αβ}/2=(t2−1)/2=(4x2−1)/2

  すなわち、軌跡の方程式は、 y=(4x2−1)/2 (x<−1/ 、 t>1/

(3) tβ=−(2β2+1)/2 において、 t → ∞ のとき、β → 0 なので、

   tβ → −1/2 である。

(コメント) 2x3+(1−2t2)x−t=0 が因数分解できることに最初気がつかなくて、3次関
      数の極値の積が異符号から t の範囲を求めました。ただ、計算途中で偶然に因
      数分解できることが分かり、それまでの計算量の多さに辟易していたところなので、
      何となく救われた気持ちになりました!こんな問題を出題された横国の先生は心
      憎いですね...。