012 | 平成20年度前期 | 九州大学 | 理系 | ・・・ | 三角関数(数学U) | 標準 |
予備校の判断では、「やや難」に属する問題らしいが、内容的には教科書の章末問題レ
ベルで比較的良問の範疇に入る問題だろう。
直感的には答えが類推できるが、きっちり論述するには現役の高校生には厳しいかもし
れない。その意味を込めて、「やや難」なのかな?
九州大学 理系(2008)
いくつかの半径3の円を、半径2の円Qに外接し、かつ、互いに交わらないように配置す
る。このとき、次の問いに答えよ。
(1) 半径3の円の1つをRとする。円Qの中心を端点とし、円Rに接する2本の半直線の
なす角をθとおく。ただし、0<θ<πとする。このとき、sinθを求めよ。
(2) π/3<θ<π/2 を示せ。
(3) 配置できる半径3の円の最大個数を求めよ。
長さの指定があるので、それに忠実に従って作図すると、下図のようになる。
上図から、π/3<θ<π/2 であることは十分予想されるし、配置できる円の最大個数
も4個であることが瞬時に了解されることだろう。
やはり、数学は問題の意味することを絵にすると、半ば解けたも同然ですね!
(解) (1) sin(θ/2)=3/5 なので、 cos(θ/2)=4/5
よって、 sinθ=2sin(θ/2)cos(θ/2)=24/25
(2) cosθ=2cos2(θ/2)−1=7/25 で、 0<cosθ<1/2 より、
π/3<θ<π/2 が成り立つ。
(3) α=2π/5 とおくと、 5α=2π なので、 3α=2π−2α
よって、 sin3α=sin(2π−2α)=−sin2α において、
2倍角の公式および3倍角の公式より、
3sinα−4sin3α=−2sinαcosα
sinα≠0 なので、 3−4sin2α=−2cosα
sin2α=1−cos2α なので、 4cos2α+2cosα−1=0
よって、 4cosα=−1± であるが、cosα>0 なので、
4cosα=−1+
4×(7/25)+1=53/25<55/25=11/5
(11/5)2=121/25<5 なので、 11/5<
すなわち、 4×(7/25)+1< より、 cosθ<cosα
したがって、 θ>2π/5 より、 5θ>2π
以上から、配置できる円の最大個数は、4個である。 (終)
(コメント) (3)は、(2)におけるθの評価が甘かった!という出題者の反省から生まれた
ものだろう。π/3<θ<π/2 から配置できる円の最大個数は、明らかに
4個
または 5個 であるが、そこをもう少し詳しく吟味して欲しいという問題である。
5θが2πを超えるかどうかを判断すればよいので、上記のような解答が自然
に導かれる。