Jordanの不等式                          戻る

 次の不等式

     のとき、   

は、Jordanの不等式(Jordan’s inequality)と言われる。

 この不等式は、図を書けば直感的に了解されるだろう。


      

解析学的には、次のように証明されるのだろう。

(証明) y=sin x とおくと、その第2次導関数は、 y”=−sin x であることから、
    0≦x≦π/2 において、 y”≦0 である。
     よって、 0≦x≦π/2 において、y は上に凸である。
    また、直線 y=(2/π)x は、(0,0)(π/2,1)を通るので、 sin x ≧ (2/π)x
     さらに、直線 y=x は、原点における y=sin x の接線で、y’=cos x ≦1 より、
    0≦x≦π/2 において、 x ≧ sin x が成り立つ。(証終)

 この証明に対して、次のような別証も当然考えられる。

(別証その1) x=0 のときは、明らかに不等式は成り立つので、以下では、0<x≦π/2
        として考える。
         F(x)=x−sin x とおくと、 F’(x)=1−cos x >0 より、
        F(x)は単調増加で、F(0)=0 より、 F(x)>0 すなわち、 x>sin x
         同様にして、 G(x)=sin x − (2/π)x とおくと、
         G’(x)=cos x − 2/π となる。 G’(x)=0 となる x の値を、α とすると、
        G(x)は、x =α で、極大かつ最大である。
         G(0)=G(π/2)=0 より、 G(x)≧0 すなわち、 sin x ≧ (2/π)x
       以上から、 0≦x≦π/2 において、(2/π)x ≦ sin x ≦ x が成り立つ。(証終)

(別証その2) x=0 のときは、明らかに不等式は成り立つので、以下では、0<x≦π/2
        として考える。
         F(x)=x−sin x とおくと、 F’(x)=1−cos x >0 より、
        F(x)は単調増加で、F(0)=0 より、 F(x)>0 すなわち、 x>sin x
         同様にして、 G(x)=(sin x )/x とおくと、
         G’(x)=(xcos x − sin x )/x2 となる。
        そこで、 H(x)=xcos x − sin x とおくと、 H’(x)=−x・ sin x <0
         よって、H(x)は単調減少で、H(0)=0 より、 H(x)<0 なので、
        G’(x)<0 すなわち、G(x)は単調減少となる。
         G(π/2)=2/π なので、G(x)≧2/π すなわち、 sin x ≧ (2/π)x
       以上から、 0≦x≦π/2 において、(2/π)x ≦ sin x ≦ x が成り立つ。(証終)

 以上3点証明を書いては見たが、やはり冒頭の図の説得力には到底太刀打ちできない。

 冒頭の図は有名なので誰でもどこかでは見ているものだろう。最近、視覚に訴える証明図
として、次のようなものもあることを知った。

        

 証明は明らかであろう。