グラフで解く連立方程式 
中学校では、2年生で、
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のような、2元連立一次方程式を学ぶ。代入法とか加減法により、その解き方が指導され
る。
グラフを用いた次のような解法もよく知られている。

時間数削減の影響からか、もしかしたら、授業では扱われていないかもしれないが...。
このページで取り上げる解法は、実は、上記のものとは全く異質なものである。あまりに
複雑で、「実用性」に疑問符を打ちながら、「こんな解法もあるのか?」位のスタンスでご覧
いただけたら幸いである。
ただ、上記の鮮やかな解法は、残念ながら、未知数の個数が2の場合のみ有効である。
未知数の個数が3以上の場合は、途方に暮れてしまう。
ところが、これから紹介する方法は、複雑ではあるが、基本的に未知数の個数に制限は
ない。グラフを用いた一般の連立方程式の解法を与えているという意味で、大変素晴らし
いと思う。
実は最近、当HPに掲載している「計算する図」に興味を持たれた方がいられて、いろい
ろとメールでお話を伺う機会がありました。このページは、その方を意識して作成しました。
先の連立方程式において、推論の明確化のために、文字を使って表すことにする。
すなわち、連立方程式
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において、 ![]()
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である。
これらの
の値を数直線上に次のように目盛る。

2つの数直線は互いに平行で、同じ目盛りで目盛られている。O1、O2 はそれぞれの原点
で、直線O1O2 は数直線と垂直に交わる。
数直線 O1 上に3点 A1、B1、C1 を、O1A1=a1、A1B1=b1(いま、b1<0 なので、B1は、
A1 の左側に配置される!)、B1C1=c1 となるようにとる。
同様に、数直線 O2 上に3点 A2、B2、C2 を、O2A2=a2、A2B2=b2、B2C2=c2 (いま、
c2<0 なので、C2は、B2 の左側に配置される!)となるようにとる。
さらに、A1 と A2、B1 と B2、C1 と C2 を、それぞれ結んで、上記の図を得る。
いま、数直線と平行な直線 L を任意に引き、各線分との交点を、それぞれ A
、B 、C とおく。
また、直線 L と直線O1O2 の交点を、O とおく。

このとき、次の事実が知られている。
連立方程式
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の解を、x0 、y0 とおくと、直線 L をどこに引いても、
が成り立つ。
ただし、OA=a 、AB=b 、BC=c ( 上図の場合、c <0 )である。
実際に、下図のように、点 P、Q、R、S、T をとり、直線 L と数直線
O1 、数直線 O2 との
間の距離を、それぞれ m 、n とおく。
ただし、直線 L が数直線 O1 、数直線 O2 の間にあるときは、m>0、n>0
とし、直線 L が数直線 O1 の上方にあるときは、m<0、直線 L が数直線 O2 の
下方にあるときは、n<0 と考えることにする。

(上図で、B1T と C1C2 は平行である。)
このとき、QA2=O2A2−O2Q=O2A2−O1A1=a2−a1
同様にして、
QB2=QA2+A2B2=B1A1+A2B2=A2B2−A1B1=b2−b1
B2T=B2C2+C2T=B2C2+C1B1=B2C2−B1C1=c2−c1
が成り立つ。
また、△A1PA∽△A1QA2 、△B1RB∽△B1QB2 、△B1SB∽△B1TB2
で、相似比は、何れも、m : m+n である。
したがって、簡単な計算により、
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であることが分かる。
このことから、連立方程式の解を、x0 、y0 とおくと、
が成り立つ
ことは明らかである。(証明終)
このとき、次のような場合が注目すべき点である。

上図が示すことは、連立方程式の解 x0 、y0 に対して、
が成り立つということ
である。
|
このことは、連立方程式において、 |
|
と変形し、 |
に代入して、
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となることに対応している。
連立方程式の解法のポイントは、変数の数を減らして、最終的には、上記のような1次方
程式に帰着させることである。
一般に、

の形の連立方程式は、三角形をなすといわれる。この形の連立方程式では、x がまず求
められ、その結果を用いて、y が求められる。
(求め方)
(1)BC=A’C’となるように
C’をとる。
(2)OC’に平行にEXを引く。
このときの目盛3がXの値。
(3)OC’の延長線上にA2”を
とる。A2”と同じ高さにB2”
をとる。
(4)B2C2=B2’C2’となるよ
うにC2’をとる。
(5)A2”C2’に平行にEYを引
く。このときの目盛−2が
Yの値。
読者のために、練習問題を残しておこう。
問題 上記のような解法で、次の連立方程式を解いてください。
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(参考文献:マルグリス 著 松野 武・山崎 昇 訳 連立方程式 (東京図書))