関数の決定                                 戻る

 いくつかの与えられた条件から関数を決定する問題は、大学入試の頻出問題だろう。この
ページでは、そのような種々の問題を集めていこうと思う。

 次は、東北大学 文系(1971)の問題である。

問題  関数 F(x)=−x3+ax2+bx+c が、次の3つの条件を満たすとき、a、b、c を決
  定して、関数 y=F(x) のグラフの概形を描け。

 (A) 方程式 F(x)=0 の正根は x=1 だけである。
 (B) F(x) は x=1 で極値をとる。
 (C) 2直線 x=0、y=0 および曲線 y=F(x) で囲まれた部分の面積は3/4に等しい。

(解) 条件(A)(B)より、 F(x)=−(x−α)(x−1)2 (α≦0) とおける。

条件(C)より、 −∫01 F(x)dx=3/4 である。

 F(x)=−(x−α)(x−1)2=−(x−1)3+(α−1)(x−1)2 と式変形すると、

 −1/4−(α−1)/3=3/4 より、 α=−2

よって、 F(x)=−(x+2)(x−1)2=−x3+3x−2 となり、 a=0、b=3、c=−2

F’(x)=−3x2+3=−3(x+1)(x−1)=0 とおくと、 x=1、−1

増減表を調べると、

  

よって、グラフの概形は下図となる。

    (終)


(追記) 令和6年11月29日付け

 次の東北大学 理系(1987)の問題は、計算あるのみである。

問題2  a、b を正の整数とする。関数 F(x)=4x3−ax2+2bx−8 が次の3つの条件を
  同時に満たすような a、b の組をすべて求めよ。.
(@) F(1)>0
(A) F(x)は極値をもつ。
(B) c=∫02n-1 F(x)dx (n=1、2、3) で定義される c1、c2、c3 が等比数列をなす。

(解) F(1)=−a+2b−4>0 より、 a<2b−4 または、b>(a+4)/2

 F’(x)=12x2−2ax+2b=0 とおくと、極値を持つことから、 a2−24b>0

すなわち、 a2>24b または、 b<a2/24

=[x4−(a/3)x3+bx2−8x]02n-1 より、

1=−(1/3)a+b−7

2=−(8/3)a+4b

3=−(64/3)a+16b+224

条件より、c1、c2、c3 は等比数列をなすので、 c22=c13

よって、 (−(8/3)a+4b)2=(−(1/3)a+b−7)(−(64/3)a+16b+224) より、

 ab−14a−21b+294=0 すなわち、 (a−21)(b−14)=0

よって、 a=21 、b=14

a=21 のとき、 b>(a+4)/2=12.5 、b<a2/24=147/8=18.375

 よって、 (a,b)=(21,13)、(21,14)、(21,15)、(21,16)、(21,17)、(21,18)

b=14 のとき、 a<2b−4=24 、a2>24b=336 より、 a>√336=18.33

 よって、 (a,b)=(19,14)、(20,14)、(21,14)、(22,14)、(23,14)

以上から、求める a、b の組(a,b)は、以下の10個である。

(a,b)=(21,13)、(21,14)、(21,15)、(21,16)、(21,17)、(21,18)、
   (19,14)、(20,14)、(22,14)、(23,14)  (終)


(追記) 令和7年3月24日付け

 次の東北大学 後期理系(1990)の問題は、題意を把握するのに苦労するかもしれない。

問題  F(x)=x2−2x+(7/16)∫-11 |F(x)|dx ・・・ (*) を満たす関数F(x)につい
  て考える。
(1) kを負でない実数とするとき、不等式 ∫-11 |x2−2x+k|dx≧4/3+k が成り立
  つことを示せ。
(2) F(x)=x2−2x+k (k≧1) の形の(*)の解を求めよ。
(3) F(x)=x2−2x+k (0≦k<1) の形の(*)の解は存在するか。存在するならその解
  を求め、存在しないならそのことを示せ。

(解)(1) x2−2x+k=(x−1)2+k−1 より、 軸の式は、 x=1

 k≧1 のとき、 k−1≧0 で、 x2−2x+k≧0

このとき、 ∫-11 |x2−2x+k|dx=∫-11 (x2−2x+k)dx=2/3+2k

 2/3+2k−(4/3+k)=k−2/3>0 なので、 2/3+2k>4/3+k

よって、 k≧1 のとき、 ∫-11 |x2−2x+k|dx≧4/3+k は成り立つ。

0≦k<1 とする。 x2−2x+k=0 を解くと、 x=1±√(1−k)

このとき、 −1<1−√(1−k)<1 である。

よって、

-11 |x2−2x+k|dx

=∫-11-√(1-k) ((x−1)2+k−1)dx+∫1-√(1-k)1 (−(x−1)2−k+1)dx

=[(x−1)3/3−(1−k)x]-11-√(1-k)+[−(x−1)3/3+(1−k)x]1-√(1-k)1

=−(√(1−k))3/3−(1−k)(1−√(1−k))+8/3−(1−k)

 +(1−k)−(√(1−k))3/3−(1−k)(1−√(1−k))

=−2(√(1−k))3/3−2(1−k)(1−√(1−k))+8/3

=4(√(1−k))3/3+2k+2/3

0≦k<1 のとき、 √(1−k)≧1−k なので、

 4(√(1−k))3/3+2k+2/3≧4(1−k)3/3+2k+2/3

ここで、 y=4(1−k)3/3+2k+2/3−(4/3+k) とおくと、 y’=4(1−k)2+1>0

から、yは単調に増加する。 k=0 のとき、 y=4/3+2/3−4/3=2/3>0 なので、

 0≦k<1 のとき、 ∫-11 |x2−2x+k|dx≧4/3+k は成り立つ。

以上から、負でない実数kに対して、∫-11 |x2−2x+k|dx≧4/3+k が成り立つ。

(2) k≧1 のとき、 (7/16)(2/3+2k)=k を解いて、 k=7/3

 よって、 F(x)=x2−2x+7/3

(3) 0≦k<1 のとき、 (7/16)(4(√(1−k))3/3+2k+2/3)=k より、

 4(√(1−k))3/3=(2/7)k−2/3

 左辺は正で、右辺は負なので、上式を満たす実数kは存在しない。  (終)



  以下、工事中