60度の魔力
60度の角を持つ図形と言えば、直ぐに正三角形を想起される方が多いだろう。
最近、60度の角を持つ三角形について種々の経験をしたので備忘録としてまとめておこ
うと思う。
(1)
∠A=60°の△ABCが円Oに接している。
∠B、∠Cの2等分線が円Oと交わる点を
それぞれP、Qとおく。
このとき、BP=CQが成り立つ。
この事実は、△ABCが正三角形ならば自明であるが、そうでなくとも成り立つというところ
が面白い。
(証明)
左図において、 ∠B+∠C=120°なので、
∠ABP+∠ACQ=60°
円周角の定理より、 ∠ABP=∠ACP
よって、 ∠PCQ=60° である。
さらに、円周角の定理より、
∠QAB=∠QCB
なので、 ∠QAC=∠PCB が成り立つ。
したがって、 BP=CQ (証終)
(コメント) 円周角の大きさが等しいので弦の長さも等しいというのは、当たり前と言えば
当たり前ですが、証明法としては斬新ですね!
(2)
左図の△ABCにおいて、内心を I とする。
△ABI+△ACI=2△BCI が成り立つとき、∠Aの
最大値は、60°であることを示せ。
この等式も、△ABCが正三角形ならば自明であるが、
実は、正三角形に限るという点が自明ながら興味深い。
(証明) △ABCの内接円の半径を r とすると、 △ABI+△ACI=2△BCI より、
br/2+cr/2=2×ar/2 なので、 a=(b+c)/2 がなりたつ。
このとき、余弦定理より、
0°<A<180°なので、 0°<A≦60°より、∠Aの最大値は、60°である。
しかも、等号が成り立つのは、b=c のときに限るので、△ABCは正三角形となる。
(証終)