中学入試問題に挑戦!(その2)
令和6年度灘中学の入試は、1月13日・14日の両日行われた。1日目・2日目と2日間
行われ、算数に強い小学生を集めたいという学校の思惑が十分くみ取れる入試問題となっ
ている。いくつか面白い問題を、小学生になったつもりで解いてみた。
(1日目)
第2問 太郎君は1本の値段が□円のペンを5本買う予定でしたが、所持金が120円足り
ませんでした。代わりに、1本の値段が予定していたものより100円安いペンを7本と60
円の消しゴムを1個買ったところ、ちょうど所持金を使い切りました。□に当てはまる数は
何か。
(解) 題意より、 □×5−120=(□−100)×7+60 なので、
□×2=700−60−120=520 より、 □=260 (終)
第3問 ある学校の生徒に、A、B、C の3つの町に行ったことがあるかどうかの調査をした
ところ、A、B、C に行ったことがある生徒の割合はそれぞれ全体の 2/7、5/14、1/9 で
した。AとBの両方に行ったことがある生徒の割合は全体の1/4でした。また、Cに行った
ことがある生徒は全員、AにもBにも行ったことがありませんでした。A、B、C のどの町にも
行ったことがない生徒は999人以下でした。A、B、C のどの町にも行ったことがない生徒
の人数として考えられるもののうち最も多いものは□人です。□に当てはまる数は何か。
(解) □が最大になる場合、
Aの町のみに行ったことがある生徒の割合は、1/28
Bの町のみに行ったことがある生徒の割合は、3/28
A、Bの町の両方に行ったことがある生徒の割合は、7/28
Cの町のみに行ったことがある生徒の割合は、1/9
より、A、B、C のどの町にも行ったことがない生徒の割合は、
1−(11/28+1/9)=125/252
これが999人以下となる最大値は、 (125/252)×(7×252)=875(人) (終)
第4問 A町とB町を結ぶ道があります。この道を何台ものバスがA町からB町に向かう方向
に一定の速さで、一定の間隔で走っています。
太郎君が同じ道を、A町からB町に向かう方向に一定の速さで自転車で走ると、バスに20
分ごとに追い越されました。太郎君がそのままの速さで走る方向のみを反対に変えると、バ
スに10分ごとに出合いました。その後、太郎君が速さを時速6km上げたところ、バスに9分
ごとに出合いました。バスとその次のバスの間隔を求めよ。ただし、パスと自転車の長さは
考えないものとします。
(解) バスの速さを分速u(m)、自転車の速さをv(m)とし、バスの間隔をL(m)とおくと、
時速6km=分速100m なので、題意より、
(u−v)×20=L 、(u+v)×10=L 、(u+v+100)×9=L
第1式と第2式より、 u=3v なので、 40v=9(4v+100) より、 v=225
よって、 L=40v=9000(m) から、バスの間隔は、 9km である。 (終)
(別解) バスの速さを分速u(m)、自転車の速さをv(m)とし、バスの間隔をL(m)とおくと、
時速6km=分速100m なので、題意より、
u−v : u+v : u+v+100=L/20 : L/10 : L/9=9 : 18 : 20
このとき、比例定数を k として、 u=(27/2)k 、v=(9/2)k なので、
(27/2)k+(9/2)k+100=20k を解いて、 k=50
よって、バスの間隔は、 18k×10=9000(m) すなわち、 9km である。 (終)
(コメント) 連立方程式を立てれば簡単であるが、算数的にはどう解くのだろう?
DD++ さんからのコメントです。(令和6年3月4日付け)
第4問なんですが、これ、問題として出来が悪いように思います。
(あるいは、算数のセンスがある子を選りすぐるためにわざと?)
バスと逆方向に 90 分間走ることを考えます。元々の速さだと太郎くんは 90 分後の 9 台目
のバスの位置まで進み、変更後の速度の場合は 90 分後の 10 台目のバスの位置まで進み
ます。
つまり、太郎くんが 90 分で進んだ距離の差 6km/h * (90/60)h = 9km が、9 台目のバスと
10 台目のバスの間隔ですので、答えは 9km です。
……最初の追い抜かれる話はなんだったんでしょう?
(コメント) なるほど!DD++ さんのように考えれば、「バスに20分ごとに追い越されました」
という条件は使わなくて済むんですね。しかも、連立方程式すら必要ないと...。
10分で行けたところを、速さを分速100mだけ増すと9分で行けると考えればいいという
ことで、
バスの間隔をL(m)とすると、題意より、 L/9−L/10=100 から、L=9000
すなわち、バスの間隔は、9km である。
(コメント) 数学のセンスが問われるいい問題ですね!
新しい視座を与えていただいたDD++ さんに感謝します。
DD++ さんからのコメントです。(令和6年3月5日付け)
上記コメントの解答って、筋は通ってるんでしょうか?片方は 9 分で片方は 10 分だと、バ
スの進んだ距離が変わってくるんですが……。
(コメント) バスが10分で到達した距離を速さを増した自転車が9分で到達したと考えたの
ですが...。速度は、相対速度 バスの速度+自転車の速度 で計算しています。
DD++ さんからのコメントです。(令和6年3月6日付け)
1日考えて、やっと理解しました。
バス(と自転車)が10分で到達した距離(の合計)を(バスと)速さを増した自転車が9分で
到達した(ので、それぞれの相対速度を表すことで方程式を立てた)
で、理解あってますか?
(コメント) 合っていると思います。それにしても、「バスに20分ごとに追い越されました」と
いう条件を使わずに解けてしまうのは何なのでしょうね?
バスの速さを分速u(m)、自転車の速さをv(m)とし、u、v を別個に求めるには、「バスに
20分ごとに追い越されました」の条件が必要ですが、バスの間隔 L(m)を求めるだけだっ
たら、相対速度 u+v が分かれば十分で、このことは、もしかしたら灘中学の出題者の方も
気がつかなかったのかもしれないですね!(多分、想定内かな?)
第5問 次の問いに答えよ。
(1) 4枚のカード0、2、2、4 があるとき、この4枚のカードを並べてできる4桁の数のうち
11で割り切れるものは全部で何個ありますか。ただし、「0224」は4桁の数ではありませ
ん。
(2) 5枚のカード0、2、2、4、6 があるとき、このうちの4枚のカードを並べてできる4桁の
数のうち11で割り切れるものは全部で何個ありますか。ただし、6のカードを上下逆にして
9として用いることはできません。
(解)(1) 4枚のカードを並べてできる4桁の数は全部で、 4!/2!−3!/2!=9(通り)
実際に、
2024 、2042 、2204 、2240 、2402 、2420 、4022 、4202 、4220
このうち、11で割り切れるものは、 2024 、2420 、4202 の3通り
#(1)だけだったら、虱潰しに調べるだけで解けるが、(2)を考えると、もう少し工夫が必要
である。
(別解) 「11の倍数の判定」から、次の公式が知られている。
4桁の数 ABCD が11の倍数となるためには、 A−B+C−D が11の倍数であ
ることが必要十分である。
本問の場合、A、B、C、D は、0、2、2、4 の何れかなので、A−B+C−D が、
±11、±22、・・・ となることはないので、 A−B+C−D=0 即ち、 A+C=B+D で
あることが、4桁の数 ABCD が11の倍数となるための条件である。
2+2=4+0 の組合せしかないので、求める4桁の整数は、
2420、2024、4202 の3通りである。
#(2)は、5枚のカードを並べてできる5桁の数は、5!/2!−4!/2!=48(通り) しか
ないので、虱潰しに調べることも可能であるが、時間がかかりすぎるので、(1)の別解の
ように考えた方が得策だろう。
(2) 本問の場合、A、B、C、D は、0、2、2、4、6 の何れかなので、A−B+C−D が、
±11、±22、・・・ となることはないので、 A−B+C−D=0 即ち、 A+C=B+D で
あることが、4桁の数 ABCD が11の倍数となるための条件である。
A、B、C、D が、6を含まない 0、2、2、4 で構成されるとき、4桁の数のうち、11で割り
切れるものは、(1)から、3通りある。
A、B、C、D が、6を含む4つの数で構成されるとき、4桁の数のうち、11で割り切れるた
めには、 6+0=4+2 の組合せしかないので、求める4桁の整数は、
2046、2640、4026、4620、6204、6402 の6通りである。
以上から、求める場合の数は、 3+6=9(通り) (終)
第6問 1、2、3、4、5、6、7、8 から異なる4つを選ぴ、大きい方から順にA、B、C、D とし
ました。また、選ばなかった残りの4つを並び替え、E、F、G、H としました。すると、4桁の
数ABCDから4桁の数DCBAを引いた差は4桁の数EFGHでした。4桁の数ABCDを求めよ。
(解) 題意より、
A・1000+B・100+C・10+D−(D・1000+C・100+B・10+A)
=E・1000+F・100+G・10+H
すなわち、 A・999+B・90−C・90−D・999=E・1000+F・100+G・10+H
よって、 E+F+G+H≡0 (mod 9) が成り立つ。
ここで、 A+B+C+D+E+F+G+H=1+2+3+4+5+6+7+8=8・9/2=36
すなわち、 A+B+C+D+E+F+G+H≡0 (mod 9) なので、
A+B+C+D≡0 (mod 9) 、E+F+G+H≡0 (mod 9) が成り立つ。
よって、 A>B>C>D に注意して、起こり得る場合を考えると、
(A,B,C,D)=(8,7,2,1)、(8,6,3,1)、(8,5,4,1)、(8,5,3,2)、
(7,6,4,1)、(7,6,3,2)、(7,5,4,2)、(6,5,4,3)
これらについて、実際に計算してみて、
8721−1278=7443(不適) 、8631−1368=7263(不適) 、
8541−1458=7083(不適) 、8532−2358=6174(適) 、
7641−1467=6174(不適) 、7632−2368=5264(不適) 、
7542−2458=5084(不適) 、6543−3458=3085(不適)
以上から、求める4桁の数は、 8532 (終)
第7問 下図のような、電池1個、電球1個、スイッチ@〜Fの7個を含む電気回路があり
ます。スイッチのオン・オフの仕方は全部で128通りあり、そのうち電球が点灯するような
スイッチのオン・オフの仕方は全部で何通りありますか。
(解) 電球が点灯しない場合を考える。以下で、スイッチがONを「○」、OFFを「×」で表す。
Eが×、Fが×ならば、@〜Dは任意なので、起こり得る場合は、25=32(通り)
Eが○、Fが×のとき、
@が×、Cが×ならば、A、B、Dは任意なので、起こり得る場合は、23=8(通り)
@が×、Cが○ならば、Aが×で、BまたはDが×なので、
起こり得る場合は、22−1=3(通り)
よって、起こり得る場合の数は、 8+3=11(通り)
Eが×、Fが○のとき、上と同様にして、 11(通り)
Eが○、Fが○のとき、
@とBは×で、Aが×ならば、CとDは任意なので、起こり得る場合は、22=4(通り)
@とBは×で、Aが○ならば、CとDは×なので、起こり得る場合は、1通り
よって、起こり得る場合の数は、 4+1=5(通り)
したがって、電球が点灯するようなスイッチのオン・オフの仕方は全部で
128−(32+11×2+5)=69(通り) (終)
第8問 下図のように、△ABC、△DEFがあり、点A、Dはそれぞれ辺EF、BC上にあります。
また、辺AB、DEは点Gで交わり、辺AC、DFは点Hで交わります。
AB=DE、AC=DF、AE=AF で、CD=3・BDです。また、BC‖EFです。
このとき、四角形AGDHの面積は△AHFの面積の何倍ですか。
(解) 点Aより辺BCに垂線APを下し、点Dより辺EFに垂線DQを下す。
このとき、△ABP≡△DEQ なので、∠B=∠E となる。同様にして、∠C=∠F なので、
△ABCと△DEFにおいて、 AB=DE 、AC=DF 、∠BAC=∠EDF なので、
2辺と夾角相等により、 △ABC≡△DEF であることが分かる。
このとき、 BC=EF であるので、BD=1 とすると、DC=3で、AE=AF=2 となる。
△AHF=S とおくと、FH : HD=2 : 3 なので、 △ADH=(3/2)S
また、△ADE=△ADF=(5/2)S で、EG : GD=2 : 1 なので、 △ADG=(5/6)S
よって、四角形AGDHの面積=(3/2)S+(5/6)S=(7/3)S となり、
四角形AGDHの面積は△AHFの面積の7/3倍である。 (終)
第9問 1辺の長さが8cmである2つの正方形ABCD、PQRSがあります。左下図には、点B
を中心とし点Dを通る半円と、点Cを中心とし点Aを通る半円がかかれています。右下図の
ように正方形PQRSが@の位置からAの位置まで直線アの上をすべることなく転がるとき
に辺PQが通過する黄色部分の面積と、左下図の黄色部分の面積の和を求めよ。
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(解) 2つの図形を一つにまとめ、面積の等しい部分を入れかえると、求める面積の和は
下図の黄色部分の面積となる。
よって、
{(1/4)π(8)2−(1/4)・64π}×2+(1/8)π(8
)2×2
=32π+32π=64π
π=3.14 として、 64π=200.96(cm2) (終)
第10問 下図の五角形ABCDEは正五角形で、四角形 CDFG、ADHI はどちらも正方形で
す。このとき、角θの大きさを求めよ。
(解) 下図のように補助線を引く。
正五角形の内角の大きさは、 180°×3÷5=108°なので、 ∠CAD=36°
△CAD、△FHDは2等辺三角形で、△CAD≡△FHDより、 ∠FHD=36°
よって、 ∠FHI=54°となる。
△FHI はFH=HI の2等辺三角形なので、 ∠HIF=63° である。
よって、 ∠AIF=27° となる。
ところで、 ∠IAE=90°−36°=54° なので、
θ=180°−(27°+54°)=99° (終)
第11問 下図の直方体ABCD-EFGHについて、辺AD、AE、EFの長さはそれぞれ 1cm、
2cm、1cm です。また、点 I は辺CDの真ん中の点です。3点A、F、I を通る平面で、こ
の直方体を切り分けたとき、点Cを含む方の立体の体積は、他方の立体の体積の何
倍ですか。
(解) xyz空間に図形を埋め込むと、
3点A(1,0,2)、F(1,1,0)、I(0,1/2,2)を通る平面の方程式を
ax+by+cz+d=0 (a、b、cの何れかは0でない)
とおくと、 a+2c+d=0 、a+b+d=0 、(1/2)b+2c+d=0
これより、 b−2c=0 すなわち、 b=2c で、 3c+d=0 より、 c=−(1/3)d
よって、 b=−(2/3)d となり、 a=−(1/3)d
このとき、−(1/3)dx−(2/3)dy−(1/3)dz+d=0 となり、両辺を−(1/3)d で割って
x+2y+z−3=0
この平面は、各軸と、(3,0,0)、(0,3/2,0)、(0,0,3) で交わる。
この3点と点Hで作られる三角錐の体積は、 3・(3/2)・(1/2)・3・(1/3)=9/4
この体積から、黄色部分の3つの三角錐の体積を差し引けば、点Cを含まない方の立体の
体積が求められる。すなわち、x=0、y=1 のとき、z=1 に注意して、
9/4−2・1・(1/2)・2・(1/3)−1・(1/2)・(1/2)・1・(1/3)−1・(1/2)・(1/2)・1・(1/3)
=9/4−2/3−1/12−1/12=17/12
ここで、直方体の体積は、 1・1・2=2 なので、点Cを含む方の立体の体積は、
2−(17/12)=7/12
以上から、点Cを含む方の立体の体積は、他方の立体の体積の
(7/12)÷(17/12)=7/17(倍) である。 (終)
(コメント) 立体を、平面 z=1 で切断すると、算数的な解法ができそうである。
(別解)
1辺が1の立方体が縦に2個積まれていると考える。この立体を、3点A、F、I を通る平面
でせつだんするとき、上の段の立方体は、同体積2個の立体に分割され、下の段の立方体
は、三角錐と他の立体に分割される。
よって、点Cを含む方の立体の体積は、
1/2+(1/2)・1・(1/2)・1・(1/3)=1/2+1/12=7/12
直方体の体積は、 1・1・2=2 なので、点Cを含まない方の立体の体積は、
2−7/12=17/12
よって、点Cを含む方の立体の体積は、他方の立体の体積の
(7/12)÷(17/12)=7/17(倍) である。 (終)
第12問 ある立体の展開図は下図のようになっています。この立体の体積を求めよ。
ただし、同じ記号がかかれた辺の長さは等しいとします。
(解) 展開図をもとにもとの立体を復元すると、
正六角形が立方体の各辺の中点を結んで得られることから
求める体積は、 3×3×3÷2=13.5 (終)
(2日目)
第1問 10以上の整数に対して、各位の数をかけ合わせる操作1回を記号→により表しま
す。この操作を繰り返し、10より小さくなると終了します。
(1) 2桁の整数Aで、A→0 となるものは全部で何個あるか。3桁の整数Bで、B→0 となる
ものは全部で何個あるか。
(2) 3桁の整数Cで、C→D→2 となるものを考えます。ただし、Dは整数です。
(ア) このような整数Cのうち、最も小さいものと最も大きいものを求めよ。
(イ) このような整数Cは全部で何個ありますか。
(解)(1) 2桁の整数Aで、A→0 となるものは、「*0」のタイプで、*=1〜9 の9通り
3桁の整数Bで、B→0 となるものは、「*00〜*09」のタイプで、*=1〜9 の90通り
または、「*10〜*90」のタイプで、*=1〜9 の81通り で、計90+81=171(通り)
(2)(ア) Dの可能性は、
12 、21 、112 、121 、211 、1112 、1121 、1211 、2111 、・・・
であるが、1112=2・2・2・139 、1121=19・59 、1211=7・173 、2111(素数)
なので、Cが3桁の整数ということから、起こりえない。
112=2・2・2・2・7=2・8・7=4・4・7 より、
278、287、728、782、827、872、447、474、744
121=11・11 より、該当するCは存在しない。
211(素数) より、該当するCは存在しない。
12=2・2・3=1・2・6=1・3・4 より、
126、162、216、262、612、621、223、232、322、134、143、314、341、
413、431
21=1・3・7 より、 137、173、317、371、713、731
以上から、該当する整数Cで最も小さいものは、126 で、最も大きいものは、872
(イ) (ア)の計算から、整数Cの起こり得る可能性は、
278、287、728、782、827、872、447、474、744、126、162、216、262、
612、621、223、232、322、134、143、314、341、413、431、137、173、
317、371、713、731
以上の 30通りある。 (終)
第2問 製品Pは、1日につき、工場Aで2000個、工場Bで3000個生産されます。工場A
で生産された製品Pから1000個取り出して検査すると7個不良品が見つかります。また、
工場Bで生産された製品Pから1000個取り出して検査すると12個不良品が見つかりま
す。工場Aと工場Bで生産された製品Pはすべて検査場に入荷され、検査の前によく混ぜ
られます。
たとえば、工場Aで生産された製品Pが3000個あったとき、その中の不良品の個数は
3000×(7/1000)=21(個)と推測されます。実際には、21個より多いことも少ないこ
ともあり得ますが、このように推測します。この例にならって、次の問いに答えなさい。
(1) ある期間、工場A、工場Bはどちらも休まず稼働しました。その期間に検査場に入荷
された製品Pから不良品が1000個見つかったとき、その1000個の不良品のうち工場A
で生産された不良品の個数を推測せよ。
(2) ある年の4月、工場Aは休まず稼働しましたが、工場Bは何日か休業となりました。そ
の1ケ月に検査場に入荷された製品Pから10000個取り出して検査したとごろ、不良品
が80個見つかりました。その80個の不良品のうち工場Aで生産された不良品の個数は
何個と推測されますか。
(解)(1) 工場Aで2000個、工場Bで3000個生産すると、不良品の個数は、
2000×(7/1000)+3000×(12/1000)=14+36=50(個)
不良品の個数が1000個なので、その1000個の不良品のうち工場Aで生産された不良
品の個数は、 1000×(14/50)=280(個)
(2) 10000個のうち、工場Aで生産された製品Pの個数を x 個とすると、題意より、
x・(7/1000)+(10000− x )・(12/1000)=80
これより、 7x+120000−12x=80000 なので、 5x=40000 より、 x=8000
よって、80個の不良品のうち工場Aで生産された不良品の個数は、
8000×(7/1000)=56(個) (終)
第3問 (1) 下図の正方形ABCDにおいて、△AEFの面積を求めよ。また、4つの面がそ
れぞれ△ABE、△ECF、△FDA、△AEFと合同な三角錐の体積を求めよ。
(2) 下図のような、1辺の長さが20cmの立方体 GHIJ-KLMN があります。点PはGPの長
さが10cmとなる辺GJ上の点、点QはGQの長さが15cm となる辺GH上の点、点RはKRの
長さが3cmとなる辺KL上の点です。
(ア) 3点P、Q、Rを通る平面と辺KNが交わる点をSとします。このとき、KSの長さを求めよ。
また、3点P、Q、Rを通る平面で立方体GHIJ-KLMNを2つの立体に切り分けたとき、Gを含
む方の立体の体積を求めよ。
(イ) 4点G、P、Q、Rを頂点とする三角錐の、△PQRを底面とみたときの高さを求めよ。
(ウ) 4点M、P、Q、Rを頂点とする三角錐の、△PQRを底面とみたときの高さを求めよ。
(解)(1) △AEF
=25−3・5・(1/2)−2・3・(1/2)−2・5・(1/2)=25−31/2=19/2(cm2)
求める三角錐は、
なので、体積は、 5×3×(1/2)×2×(1/3)=5(cm3)
(2)(ア) PQ‖SR なので、 KS/3=10/15=2/3 より、 KS=2(cm)
△GPQを底面とする三角錐の高さhは、 (h−20) : 3=h : 15 より、h=25
よって、求める体積は、
10・15・(1/2)・25・(1/3)−2・3・(1/2)・5・(1/3)=620(cm3)
(イ) (ア)より、GKの延長上に、GT=25 となる点Tをとる。
赤線の三角錐は、(1)で考えた三角錐で、 △TSR=19/2 である。
△TSR∽△TPQ で相似比が 1 : 5 であることから、 △TPQ=(19/2)×25=475/2
求める高さを h とおくと、三角錐T-GPQの体積に着目して、
(475/2)×h×(1/3)=10・15・(1/2)・25・(1/3) より、
h=10・15・25/475=150/19(cm)
(コメント) 当初、次のように計算した。
G(0,0,0)、P(10,0,0)、Q(0,15,0)、R(0,3,20)として、
3点P、Q、Rを通る平面の方程式は、 (1/2)x+(1/3)y+(1/5)z−5=0 となるので、
G(0,0,0)と平面の距離は、 5/√{(1/2)2+(1/3)2+(1/5)2}=150/19
#誘導を無視してはいけないですね...。
(ウ) (1)と同様にして、
△MSR=400−18・20・(1/2)−17・20・(1/2)−2・3・(1/2)=47
なので、求める高さを h とおくと、三角錐T-SRMの体積に着目して、
(19/2)×h×(1/3)=47×5×(1/3) より、 h=470/19 (終)
第4問 (1) 下図のような長方形ABCDがあり、辺BC上に点E、辺CD上に点Fがあります。
△AEFが直角二等平三角形であるとき、△AEFの面積を求めよ。
(2) 1辺の長さが12cmである正方形GHIJがあります。下図のように、辺HI の延長上に
点Kがあり、GKとIJが点 Lで交わっています。また、半後が3cmである半円が△GJLに
ぴったり収まっています。このとき、△GHKにぴったり収まる円の半径と辺HKの長さを求
めよ。
(解)(1) 題意より、△AEFは、∠AEF=90°、AE=FE の直角2等辺三角形である。
よって、△ABE≡△ECF より、CE=4、EB=1 となる。
このとき、 AE2=42+12=17 なので、 △AEF=AE2・(1/2)=17/2
(別解) FC=1、DF=3 なので、
△AEF=20−15/2−2×2=17/2
(2) 円外の1点から円に引いた接線の長さは等しく、その点と円の中心を結ぶ線分は、2接
線のなす角を2等分する。
よって、∠OGO’=45°が分かる。また、∠GOP=90°なので、△GOO’は、長方形
GRR’J内の直角2等辺三角形となる。(1)と同様に考えて、
RO+R’O=12、GR=R’O、RO=R’O’、GR=R’O’+3 より、
R’O=GR=R’O’+3=RO+3 なので、 2RO+3=12 より、 RO=9/2
以上から、△GHKにぴったり収まる円の半径は、9/2(cm)である。
このとき、△KOJ’∽△GO’J より、KJ’ : OJ’=GJ : O’J すなわち、
KJ’ : 9/2=12 : 3=4 : 1 より、 KJ’=18
以上から、 HK=18+9/2=45/2(cm) (終)
(コメント) (1)のヒントの出し方が心憎いですね!(2)に直接効いてきます。
第5問 下図のような的があり、Aから I の9つの場所に、1、2、3、4、5、6、7、8、9 の
9つの数が1つずつ書かれています。また、同じ数は2つ以上の場所に書かれることはあ
りません。
(1) 太郎さんがポールを3つ投げると、A、E、I に当たり、当たった場所に書かれた数の和
は10になりました。次郎さんもポールを3つ投げると、C、E、G に当たり、当たった場所に
書かれた数の和は10になりました。
(ア) Eに書かれた数が5であるとき、的に書かれた9つの数の並びは全部で何通りありますか。
(イ) 的に書かれた9つの数の並ぴは、(ア)の場合を含めて全部で何通りありますか。
(2) 太郎さんがボールを3つ投げると、的のどの縦列にも1回ずつ、どの横列にも1回ずつ
当たり、当たった場所に書かれた数の和は10になりました。次郎さんもポールを3つ投げ
ると、的のどの縦列にも1回ずつ、どの横列にも1回ずつ当たり、当たった場所に書かれた
数の和は10になりました。また、太郎さんが当てて次郎さんが当てなかった場所がありまし
た。このとき、的に書かれた9つの数の並ぴは、(1)の場合を含めて全部で何通りあります
か。
(解)(1)(ア) E=5 より、A+I=5 となる(A,I)の組は、
(1,4)、(2,3)、(3,2)、(4,1) の4通りで、そのうちの1通り、
例えば、(A,I)=(1,4)に対して、(C,G)=(2,3)、(3,2) の2通りで、そのうちの1通り、
例えば、(C,G)=(2,3)に対して、残りのB、D、F、Hに、5、6、7、8 を割り振ればよい。
よって、求める場合の数は、 4×2×4!=192(通り)
(イ) E=1 のとき、A+I=9 となる(A,I)の組は、
(2,7)、(3,6)、(4,5)、(5,4)、(6,3)、(7,2) の6通りで、そのうちの1通り、
例えば、(A,I)=(2,7)に対して、(C,G)=(3,6)、(4,5)、(5,4)、(6,3) の4通り
で、そのうちの1通り、例えば、(C,G)=(3,6)に対して、残りのB、D、F、Hに、4、5、8、9
を割り振ればよい。そのときの場合の数は、 6×4×4!=576(通り)
E=2 のとき、A+I=8 となる(A,I)の組は、
(1,7)、(3,5)、(5,3)、(7,1) の4通りで、そのうちの1通り、
例えば、(A,I)=(1,7)に対して、(C,G)=(3,5)、(5,3) の2通り
で、そのうちの1通り、例えば、(C,G)=(3,5)に対して、残りのB、D、F、Hに、4、6、8、9
を割り振ればよい。そのときの場合の数は、 4×2×4!=192(通り)
E=3 のとき、A+I=7 となる(A,I)の組は、
(1,6)、(2,5)、(5,2)、(6,1) の4通りで、そのうちの1通り、
例えば、(A,I)=(1,6)に対して、(C,G)=(2,5)、(5,2) の2通り
で、そのうちの1通り、例えば、(C,G)=(2,5)に対して、残りのB、D、F、Hに、4、7、8、9
を割り振ればよい。そのときの場合の数は、 4×2×4!=192(通り)
E=4 のとき、A+I=6 となる(A,I)の組は、
(1,5)、(5,1) の2通りで、(C,G)に当てはまるものがないので、この場合は起こらない。
E=5 のとき、(ア)から、場合の数は、 192通り
E=6 のとき、A+I=4 となる(A,I)の組は、
(1,3)、(3,1) の2通りで、(C,G)に当てはまるものがないので、この場合は起こらない。
E=7 のとき、A+I=3 となる(A,I)の組は、
(1,2)、(2,1) の2通りで、(C,G)に当てはまるものがないので、この場合は起こらない。
E=8 のとき、A+I=2 となる(A,I)の組は存在しないので、この場合は起こらない。
E=9 のとき、A+I=1 となる(A,I)の組は存在しないので、この場合は起こらない。
以上から、求める場合の数は、 576+192×3=1152(通り)
(2) 3つの数の和が10になる場合は、(1,2,7)、(1,3,6)、(1,4,5)、(2,3,5)
これらは、互いに1つの数を共有しているので、「太郎さんが当てて次郎さんが当てなかった
場所がありました」とのことから、(1)のように、太郎さんと次郎さんが両方当てたところが
1ヶ所あって、残りはバラバラに当たったということである。すると、4つのフリースペースが
出来るので、求め方は(1)と全く同様である。
太郎さんと次郎さんが両方当てたところの場合は9通りで、そのうちの1通りに対して、
的に書かれた9つの数の並びは全部で1152通りあることから、求める場合の数は、
9×1152=10368(通り) (終)
(追記) 令和7年1月29日付け
令和7年度灘中学の入試は、1月18日・19日の両日行われた。1日目・2日目と2日間
行われた。(1日目)は速く正確に処理できる力、(2日目)は確かな論証力を見る問題で、
算数に強い小学生を集めたいという学校の思惑が十分くみ取れる入試問題となっている。
いくつか面白い問題を、受験生になったつもりで解いてみた。問題は一部改題されている。
(1日目)
第2問 容器Aに食塩水が100g、容器Bに濃度5.4%の食塩水が30g入っている。容器
Aから70gの食塩水を容器Bに移してよくかき混ぜたあと、容器Bから50gの食塩水を容
器Aに移してよくかき混ぜたところ、容器Aの食塩水の濃度が8%になった。
容器Aの食塩水の濃度は最初いくらだったか?
(解) 容器Aの食塩水の最初の濃度をx%とする。食塩の量に着目して考える。
A→Bの操作後のBの食塩量は、70・(x/100)+30・(5.4/100)=0.7x+1.62
B→Aの操作後のAの食塩量は、
0.3x+(0.7x+1.62)・(50/100)=0.65x+0.81
したがって、濃度は、 (0.65x+0.81)÷80×100=8 より、 0.65x=5.59
すなわち、 x=8.6 より、容器Aの食塩水の濃度は最初 8.6%であった。 (終)
第3問 商品の定価から仕入れ値と経費を差し引いた金額が利益である。以下では、定
価、仕入れ値、経費、利益はすべて1個あたりのものを考える。
2022年の商品の定価は1000円で、2023年も定価は1000円だったが、仕入れ値が
2022年より2割高くなり、経費は変わらなかったため、利益が2022年の68%になった。
2024年は仕入れ値は2023年と変わらなかったが、経費が2023年より4割高くなったの
で、利益を2022年と同じにするために商品の定価を220円高くした。
2022年の利益はいくらか。
(解) 2022年の商品の仕入れ値、経費、利益をそれぞれ x、y、z とおくと、題意より、
x+y+z=1000 ・・・ (1)
1.2x+y+0.68z=1000 ・・・ (2)
1.2x+1.4y+z=1220 ・・・ (3)
(2)−(1) より、 0.2x−0.32z=0 すなわち、 x=1.6z
(3)−(2) より、 0.4y+0.32z=220 すなわち、 y=550−0.8z
これらを(1)に代入して、 1.6z+550−0.8z+z=1000 より、 1.8z=450
よって、 z=250 より、求める利益は、250円 (終)
(コメント) 3元連立一次方程式の解法は、中学受験では常識なのだろうか?
第4問 2025は9の倍数でも25の倍数でもあり、4つの位の数のうち1つだけが0である。
4桁の整数のうち、9の倍数でも25の倍数でもあり、4つの位の数のうち1つだけが0であ
るものは、2025を含めて全部で何通りあるか。
(解) 0の場所に着目して場合に分ける。
*0** のとき、25の倍数になるためには、*025、*075
各位の数の和が9の倍数であればよいので、求める数は、 2025、6075
**0* のとき、25の倍数は存在しない。
***0 のとき、25の倍数になるためには、**50 が9の倍数であればよい。
各位の数の和が9の倍数であればよいので、求める数は、
1350、2250、3150、4950、5850、6750、7650、8550、9450
したがって、求める場合の数は、 2+9=11(通り) (終)
第5問 A駅ではB駅行き、C駅行き、D駅行きの3種類の電車が、それぞれ一定の間隔で
発車する。ある日、3種類の最初の電車が同時に発車し、3種類の最後の電車も同時に
発車し、B駅行きは、169本、C駅行きは、71本、D駅行きは、41本発車した。
(1) 3種類の電車が同時に発車したのは、最初と最後を含めて全部で何通りあるか。
(2) 3種類のうち、2種類の電車のみが同時に発車したのは全部で何通りあるか。
(解)(1) B駅行き、C駅行き、D駅行きの3種類の電車の運航間隔数は、それぞれ一定の
間隔で発車することから、168、70、40等分になる。この最小公倍数は、840 である。
したがって、B駅行きの電車は、840÷168=5 から、間隔5毎に出発する。
C駅行きの電車は、840÷70=12 から、間隔12毎に出発する。
D駅行きの電車は、840÷40=21 から、間隔21毎に出発する。
5、12、21 の最小公倍数は、420 である。
したがって、3種類の電車が同時に発車したのは、最初と最後を含めて全部で
840÷420+1=3(本)
(2) B駅行き、C駅行きの電車が同時に発車したのは、最初と最後を含めて全部で、
5、12 の最小公倍数が60であるから、 840÷60+1−3=12(本)
B駅行き、D駅行きの電車が同時に発車したのは、最初と最後を含めて全部で、
5、21 の最小公倍数が105であるから、 840÷105+1−3=6(本)
C駅行き、D駅行きの電車が同時に発車したのは、最初と最後を含めて全部で、
12、21 の最小公倍数が84であるから、 840÷84+1−3=8(本)
したがって、3種類のうち、2種類の電車のみが同時に発車したのは全部で、
12+6+8=26(本) (終)
第6問 下図は、1×1から9×9の81個の数を表にしたものである。
太線の長方形の中に書かれたすべての数の和は315である。この表の罫線で囲まれた
長方形は全部で2025個あるが、そのうち、中に書かれたすべての数の和が315であるも
のは、太線の長方形を含めて全部何個あるか。ただし、正方形は長方形に含まれる。
(解) 315=32・5・7 なので、長方形の縦の長さ x 、横の長さ y とすると、起こり得る場
合は、(x,y)=(7,45)、(9,35)、(15,21)、(21,15)、(35,9)、(45,7) の6通り
(x,y)=(7,45) のとき、
x=7 となるのは、 7 、3+4 の2通りで、そのうちの1通りに対して、
y=45 となるのは、 1+2+3+4+5+6+7+8+9 の1通り なので、
2×1=2(個)
(x,y)=(9,35) のとき、
x=9 となるのは、 9 、4+5 、2+3+4 の3通りで、そのうちの1通りに対して、
y=35 となるのは、 5+6+7+8+9、2+3+4+5+6+7+8 の2通り なので、
3×2=6(個)
(x,y)=(15,21) のとき、
x=15 となるのは、 7+8 、4+5+6、1+2+3+4+5 の3通りで、そのうちの1通
りに対して、y=21 となるのは、 6+7+8、1+2+3+4+5+6 の2通り なので、
3×2=6(個)
(x,y)=(21,15) のとき、(x,y)=(15,21) のときと同様にして、 6(個)
(x,y)=(35,9) のとき、(x,y)=(9,35) のときと同様にして、 6(個)
(x,y)=(45,7) のとき、(x,y)=(7,45) のときと同様にして、 2(個)
以上から、求める場合の数は、 2+6+6+6+6+2=28(個)
第7問 8個の数 3、4、5、6、7、8、9、0 を並べ替えて、A、B、C、D、E、F、G、H となった。
5桁の整数 1ABC2 をDて割ると割り切れ、商が4桁の整数 EFGH になるという。このとく、
整数 EFGH を求めよ。
(解) 起こりうる場合は、(D,E,H)=(3,5,4)、(3,6,4)、(4,3,8)、(6,3,7) に
絞られる。
(D,E,H)=(3,5,4) のとき、 1ABC2=5FG4×3
使える数字は、6、7、8、9、0 で、 5FG4 は3の倍数なので、起こり得る場合を列挙す
ると、
5694×3=17082 (適)
5964×3=17892 (不適)
5604×3=16812 (不適)
5064×3=15192 (不適)
5784×3=17352 (不適)
5874×3=17622 (不適)
5904×3=17712 (不適)
5094×3=15282 (不適)
(D,E,H)=(3,6,4) のとき、 1ABC2=6FG4×3
使える数字は、5、7、8、9、0 で、 6FG4 は3の倍数なので、起こり得る場合を列挙す
ると、
6594×3=19782 (不適)
6954×3=20862 (不適)
6504×3=19512 (不適)
6054×3=18162 (不適)
6894×3=20682 (不適)
6984×3=20961 (不適)
6804×3=20412 (不適)
6084×3=18252 (不適)
(D,E,H)=(4,3,8) のとき、 1ABC2=3FG8×4
使える数字は、5、6、7、9、0 で、8×4=32 から、 G×4+3 の一の位がCとなる
場合は、(C,G)=(7,6) のみで、A、B、F に使える数字は、5、9、0
3568×4=14272 (不適)
3968×4=15872 (不適)
3068×4=12272 (不適)
(D,E,H)=(6,3,7) のとき、 1ABC2=3FG7×6
使える数字は、4、5、8、9、0 で、 3FG7 は3の倍数なので、起こり得る場合を列挙す
ると、
3597×6=21582 (不適)
3957×6=23742 (不適)
3897×6=23382 (不適)
3987×6=23922 (不適)
3507×6=21042 (不適)
3057×6=18342 (不適)
3087×6=18522 (不適)
3807×6=22842 (不適)
以上から、求める数は、 5694 (終)
(コメント) 地道に場合を尽くして求めましたが、もっと上手い解法はないんですかね?
第8問 下図のように、平行四辺形ABCDがあり、点E、Fは辺BCを3等分し、点G、H、I は
辺ADを4等分している。3直線BD、El、FGで囲まれた△PQRの面積は平行四辺形ABCD
の面積の何倍か。
(解) 平行四辺形ABCDの面積をSとおくと、
△BEP=(1/2)S×(1/3)×(4/7)=(2/21)S 、△BFP=2△BEP=(4/21)S
また、 △BFQ=(8/17)△BFG=(8/17)×(2/3)×(1/2)S=(8/51)S なので、
△PFQ=△BFP−△BFQ=(4/21)S−(8/51)S=(4/119)S
よって、 △PGQ=(9/8)△PFQ=(9/238)S より、
△PFG=(4/119)S+(9/238)S=(1/14)S なので、
△PFR=(1/14)S×(2/5)=(1/35)S
以上から、△PQR=(4/119)S−(1/35)S=(3/595)S となる。 (終)
第9問 下図のように、AFを直径とする半円の周(太線部分)を点B、C、D、E が5等分して
いる。また、直線ADと直線BEは点Gで交わっている。六角形ABCDEFの面積が60cm2
のとき、黄色部分の五角形CDEFGの面積を求めよ。
(解) 四角形OFEGは平行四辺形なので、 △OFG=△EGF=△EOF
六角形ABCDEFの面積が60cm2なので、△EOF=12cm2 より、 △OFG=12cm2
よって、求める面積は、 12×3−12=24(cm2) (終)
(コメント) 求める面積は、四角形OCDEの面積に等しいので、 12×2=24(cm2) と
した方が速いかもしれない。
第10問 固定された1辺の長さが6cmの正方形(緑色部分)があり、下図のように1辺の
長さが6cmの正方形ABCDが@の位置に置かれている。
正方形ABCDを頂点Dの周りに180°回転させ、Aの位置に移動させる。さらに、正方形
ABCDを1つの頂点の周りに180°回転させ、Aの位置からBの位置に、Bの位置からC
の位置に移動させる。
この移動において、辺CDが通過する部分の面積は、1辺の長さが6cmの正三角形の面
積よりいくつ大きくなるか。
(解) 水色部分の面積は、 36π×(2/3)=24π(cm2)
黄色部分の面積は、図形ADCの半分をCDAに付け替えて、
π(6)2×(1/2)−36π×(1/2)=18π(cm2)
よって、求める面積は、 42π(cm2) (終)
第11問 下図の太線で表された立体は、五角形を底面とする五角柱を1つの平面で2つ
に分けたうちの1つてある。この立体の体積を求めよ。ただし、長さの単位は、cmとする。
(解) 底面の五角形の各頂点における立体の高さを求めると、
したがって、求める立体の体積は、
18×(2+7+15+10)/4+9×(7+16+15)/3=153+114=267(cm3) (終)
第12問 2つの立体A、Bがある。左下図は立体Aの展開図、右下図は立体Bの展開図であ
る。立体A、Bの辺の長さはすべて1Ocmである。また、黄色部分の四角形はすべて正方形
で、黒丸をつけた角の大きさはすべて60°である。このとき、立体Aの体積は立体Bの体
積の何倍か。
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(解) 左下図の図形の半分(黄色部分と緑色部分)
で立体図形を組み立てると、下図のようになる。
1辺の長さが10の立方体で、ピンク色の四角形は、1辺の長さが10の正方形となる。
等積変形を行うことにより、上記立体の体積は、 10×10
×5
=1000
なので、左下図の図形で作られる立体Aの体積は、 2000 となる。
一方、右下図の立体Bの体積は、 10×10×5×(1/3)=(500/3)
よって、2000÷(500/3)
=12 より、
立体Aの体積は立体Bの体積の12倍となる。 (終)
(2日目)
第1問 3366m離れたA町とB町の間に地点C、地点Dがある。花子は何個かの荷物を
持ってA町を出発しB町へ、太郎は荷物を持たずにB町を出発しA町へ向かって進む。
2人が同時に出発したところ、2人は地点Cで出会った。そこで、花子は持っていた荷物の
ちょうど半分の個数を太郎に渡した。太郎も花子も、持っている荷物が1個減るごとに進む
速さは分速1m速くなり、1個増えるごとに進む速さは分速1m遅くなる。
地点Cで荷物を受け渡したあと、花子と太郎はそれぞれB町へ向かって進んだ。先に太郎
が B町に到着し、荷物をすべて置いて、最初の速さでA町へ向かって進んだ。その後、2人
は地点Dで再び出会った。
花子は残りの荷物をすべて太郎に渡して、A町へ引き返し、A町に到着した後はそこに留
まった。太郎はB町へ向かって進み、B町に到着した後はそこに留まった。
下のグラフは、2人が同時に出発してからの時間と2人の間の距離の関係を表したもので
ある。なお、荷物を置く時間や受け渡しの時間は考えないものとし、持っている荷物が一定の
個数のときは進む速さも一定とする。
(1) はじめ、花子は何個の荷物を持ってA町を出発したか。また、太郎は、分速何mでB町
を出発したか。
(2) T1、T2 は出発してから何分後か。
(解)(1) 題意より、花子と太郎の行動をそれぞれまとめて下図を得る。
花子、太郎の分速をそれぞれ「花」、「太」で表す。また、花子が2A個の荷物を持ってA町
を出発したとする。題意より、
((花−2A)+太)×33=3366 より、 (花−2A)+太=102
また、 ((花−A)+太)×10=1080 より、 (花−A)+太=108 なので、 A=6
したがって、はじめ、花子は12個の荷物を持ってA町を出発した。
このとき、 花+太=114 である。
また、 (太−A)×36−(花−A)×36=1080 から、 太−花=30 なので、
2太=144 から、 太=72 すなわち、太郎の分速は、72m/分 である。
このとき、花子の分速は、 42m/分 となる。
(2) BD間の距離は、1080−(42−6)×10=720(m) なので、
T1=79+720÷(72−6)=79+120/11=989/11(分)
AD間の距離は、3366−720=2646(m) なので、
T2=79+2646/42=142(分) (終)
第2問 黒板にいくつかの整数が書かれているとき、次のような2つの整数を線で結ぶこと
にする。
「一方の整数のいずれか1つの位の数字を消すと他方の整数になる」
ただし、最も大きい位の数字が0になるような消し方はしないものとする。また、3桁の整数
の十の位を消すときは、もとの整数の百の位とーの位をつなげて2桁の整数と考える。
たとえぱ、黒板に 3、4、24、34、204、234 が書かれているとき、
3と34、4と24、4と34、24と204、24と234、34と234を線で結ぶので、線の本数は
6本である。
(1) 黒板に10から99までの90個の整数と123と455の、あわせて92個の整数が答か
れているとき、線の本数は全部で何本か。
(2) 黒板に1から99までの99個の整数が書かれているとき、線の本数は全部で何本か。
(3) 黒板に10から999までの990個の整数が書かれているとき、線の本数は全部で何
本か。
(解)(1) 123→12、13、23 、455→45、55 より、線の本数は、5本
(2) 10→1 、11→1 、12→1、2 、13→1、3 、14→1、5 、15→1、5
16→1、6 、17→1、7 、18→1、8 、19→1、9 の18本
同様にして、20〜29 の線の本数は、18本
30〜39 の線の本数は、18本
40〜49 の線の本数は、18本
50〜59 の線の本数は、18本
60〜69 の線の本数は、18本
70〜79 の線の本数は、18本
80〜89 の線の本数は、18本
90〜99 の線の本数は、18本
したがって、求める線の本数は、 18×9=162(本)
(3) (2)と同様に考えて、
100〜109 の線の本数は、 19本
110〜119 の線の本数は、 19本
120〜129 の線の本数は、 2+3×9=29(本)
130〜139 の線の本数は、 2+3×9=29(本)
140〜149 の線の本数は、 2+3×9=29(本)
150〜159 の線の本数は、 2+3×9=29(本)
160〜169 の線の本数は、 2+3×9=29(本)
170〜179 の線の本数は、 2+3×9=29(本)
180〜189 の線の本数は、 2+3×9=29(本)
190〜199 の線の本数は、 2+3×9=29(本)
よって、 100〜199 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
同様にして、
200〜299 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
300〜399 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
400〜499 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
500〜599 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
600〜699 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
700〜799 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
800〜899 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
900〜999 の線の本数は、 19×2+29×8=270(本)
したがって、求める線の本数は、 270×9=2430(本) (終)
第3問 (1) 下図の四角形ABCDは、1辺の長さが3cmの正方形で、AE、BF、CG、DH
の長さはすべて1cmである。このとき、黄色部分の面積を求めよ。
(2) 左下図は、1cm幅のます目を用いて3個の平行四辺形をかいたものである。この図形
を点Pのまわリに時計回りに90°回転させて、もとの図形と重ねると、右下図のようになる。
もとの3個の平行四辺形と回転させた3個の平行四辺形が重なる部分全体(右下図の緑色
部分)の面積を求めよ。
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(3) (2)の左下図の図形を点Qのまわりに時計回りに90°回転させて、もとの図形と重
ねたとき、もとの3個の平行四辺形と回転させた3個の平行四辺形が重なる部分全体(右
下図の緑色部分)の面積を求めよ。
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(解)(1) △BQE∽△BPA で、相似比が 2 : 3 より、△BQE : △BPA=4 : 9 より、
△BQE=4S とおくと、 四角形EQPA=5S となる。同様に、
△APH=△DSG=△CRF=4S 、四角形HPSD=四角形GSRG=四角形FRQB=5S
四角形PQRSは正方形である。
△EBC=13S=3 より、 S=3/13
よって、 正方形ABCD=36S+四角形PQRS=9 より、
四角形PQRS=9−108/13=9/13
したがって、求める面積は、 20S+四角形PQRS=60/13+9/13=69/13(cm2)
(2) (1)の結果から、四角形PQRSを4個分差し引けばよいので、
69/13−(9/13)×4=33/13(cm2)
(3) (2)の結果より、Pのまわりの4つの台形の面積は、33/13−9/13=24/13 なので、
そのうちの一つの台形の面積は、 (24/13)÷4=6/13 となる。
よって、左上の2つの三角形の面積の和は、 1×(3/2)×(1/2)−6/13=15/52
したがって、求める面積は、 (15/52)×2+(9/13)×2=51/26(cm2) (終)
第4問 下図のように、1辺の長さが6cmの立方体ABCD-EFGH がある。点 I、J、K はそ
れぞれ辺CD、AE、FG上にあり、DI、AJ、GKの長さはそれぞれ1cm、2cm、2cmである。
3点 I、J、Kを通る平面で、この立方体を切る。
(1) 切り分けた2つの立体のうち、点Hを含む方の立体の体積を求めよ。
(2) 切り口の面積は三角形IJKの面積の何倍か。
(解)(1) xyz 空間で考える。
3点 I(0,1,6)、J(6,0,4)、K(2,6,0)を通る平面の方程式を ax+by+cz=d と
おくと、
b+6c=d 、6a+4c=d 、2a+6b=d なので、b=2a 、c=2a 、d=14a
a≠0 なので、平面 IJKの方程式は、 x+2y+2z=14
よって、U(0,0,7)、S(14,0,0)、T(0,7,0) となる。
また、直線STの方程式 x+2y=14 より、Q(6,4,0)
直線TUの方程式 y+z=7 より、R(0,6,1)
直線USの方程式 x+2z=14 より、P(2,0,6)
したがって、三角錐U-STHの体積は、 14・7・(1/2)・7・(1/3)=343/3
また、三角錐U-PIDの体積は、2・1・(1/2)・1・(1/3)=1/3
三角錐J-SQEの体積は、8・4・(1/2)・4・(1/3)=64/3
三角錐R-KTGの体積は、2・1・(1/2)・1・(1/3)=1/3
以上から、求める立体の体積は、 343/3−1/3−64/3−1/3=277/9
(2) IJ=(6,−1,−2) 、IK=(2,5,−6) より、
IJ2=41、IK2=65、IJ・IK=19 なので、△IJK=(1/2)√(41・65−192)=24
H(0,0,0)と平面 x+2y+2z=14 の距離は、 14/3
三角錐U-STHの体積は、343/3 なので、 △STU・(14/3)・(1/3)=343/3 より、
△STU=147/2 となる。
また、△SQJ∽△STU なので、△SQJ : △STU=42 : 72=16 : 49 より、
△SQJ=(16/49)△STU=24 となる。
同様に、 △SQJ∽△PIU なので、△SQJ : △PIU=42 : 12=16 : 1 より、
△PIU=(1/16)△SQJ=3/2 同様に、 △KTR=3/2
したがって、切り口の面積は、 147/2−24−3/2−3/2=93/2
よって、93/2÷24=31/16 より、切り口の面積は三角形 IJKの面積の31/16倍 (終)
(コメント) 空間座標の技を用いて解いたのだが、ちょっと小学生っぽくないかも?でも、
灘中学の受験生の中には、上記のように解いた人がきっといるだろう。
以下、工事中!