5.微分方程式の力学的応用             戻る

 ケプラーは、1609年に惑星の運動に関して、3つの法則を発見した。
  (1) 惑星は、太陽を焦点とする楕円軌道上を運動する
  (2) 太陽の周りの惑星の面積速度は一定である
  (3) 惑星の公転周期の2乗は、軌道の長径の3乗に比例する
 この法則をもとにしてニュートンは、
  万有引力の法則
:質量を持つ2つの物体間には、質量の積に比例し、
              距離の2乗に反比例する引力が働く
を導いた。
 このページでは、微分方程式の力学的応用ということで、ケプラーの第2法則:面積速度一定
について、まとめてみたい。

面積速度  軌道上のPの位置にあった惑星が、時間Δt の間にQまで移動し
 たとする。(ただし、Oは太陽)
  このとき、動径OP(=r)は左図の水色の部分を描く。
       OP⊥QH とすると、△OPQ=(1/2)r・QH
  Δt が十分小さいとき、Δθ も十分小さいので、QH≒rΔθ
  よって、ΔS=△OPQ とするとき、
            ΔS≒(1/2)rΔθ
                  となる。
 したがって、面積速度(areal velocity)は、
               
で与えられる。

 以上の準備のもと、いよいよ本論に入る。
太陽は動かないものとし、また、他の惑星の影響は無視する。惑星の初速度と太陽を含む平
面を考えると、惑星は常にこの平面内で運動する。 惑星の運動 

   左図のように、太陽を原点とする直交座標系において、惑
  星の位置を(X,Y)とする。惑星が太陽から受ける万有引力
  をF、惑星の質量をm とすると、ニュートンの運動方程式から
 
  が成り立つ。この2つの式から、Yを消去して、
          
 ここで、
          
であるので、
          
がいえる。ただし、Cは任意定数。
 このとき、X=rcosθ、Y=rsinθ を上式に代入して、
          
すなわち、
          
である。したがって、
          
が成り立ち、「惑星の面積速度は一定」であることが示された。