2.微分方程式を作る                   戻る

(1) 原点中心、半径rの円の曲線群の満たす微分方程式
円   X+Y=r の両辺をXで微分して、
       X+YY’=0 
   を得る。

   これは、接線方向を表すベクトル(1,Y’)と半径方向を表すベクト
  ル(X,Y)の内積が0であることを示し、接点において接線と半径が
  垂直であることが分かる。
                      接線と半径の関係

 微分方程式は、rを含まない式なので、全ての円に共通な性質
を表している。






(2) 原点を頂点とし、焦点(P,0)の放物線群の満たす微分方程式

放物線群
    Y=4PX の両辺をXで微分して、2YY’=4P で、
  これを上式に代入すると、Y=2YY’X となるので、
      2XY’−Y=0
  を得る。

   これは、接点(X,Y)における接線が左下図のような性質を有
  することを意味する。



放物線の幾何的性質   この性質を知っていれば、例えば、放物線Y=X上の点(1,1)
  における接線の傾きが2であること、Y切片の値が−1であること
  が直ちに分かるので、接線の方程式は、Y=2X−1 となる。

   従来の微分係数を求める方法でもできるが、このような放物線
  特有の性質に着目した解法は、とても美しい。










(3) 角速度ωの単振動
   Y=AsinωX の両辺をXで微分して、Y’=AωcosωX
  この式の両辺をさらにXで微分して、Y”=−AωsinωX
  従って、   Y”=−ω
  を得る。
   これは、直線上を運動する質点に対して原点からの距離に比例した大きさの、原点の
  方に向いた力が働くことを表す。

 以上の例からも分かるように、図形の方程式をみても判然としない、その図形固有の性質
が、微分方程式を作ることにより浮かび上がってくるということに、とても新鮮な感動を覚える。
 次の章では逆に微分方程式を与えて、それを解く方法のいろいろを見てみることにしよう。