さいころの真実                             戻る 

 最近の家庭で、「さいころ」の実物を見る機会はほとんどといっていい位ないのではない
だろうか?一昔前の子供でも、せいぜい正月休みに双六で遊ぶ位であったが...。一時
期、人生ゲームとか流行ったときには、かすかに活躍した時期もあった。麻雀も一部のマ
ニアを除いて衰退してしまっている今、もしかしたら、もう「さいころ」が日の目を見ることは
ない時代なのかもしれない。

 ただ、「さいころ」の実物は知らなくても、「さいころ」そのものは依然として、コンピュータ
ゲームの中に、しっかり根付いている。

 トランプなども事情は同じである。今の家庭で、さいころやトランプで遊ぶということは、よ
ほど勇気ある方でない限り、家族のものに「遊ぼう!」とはいい難いのが現状ではないだろ
うか?そのせいか、「ウノ」は知っているが、「トランプ」は知らないという子供が少なからず
いる。そういう時代を反映して、教科書に堂々と「トランプ 52枚」の絵を挿絵として載せて
いるところもあるくらいだ。

 このページでは衰退しつつある「さいころ」に焦点を当て、その真実を探り、後世にその
息吹を残していきたいと思う。

 さいころは立方体でできており、各面に「1」から「6」までの数字が書き込まれたものであ
る。
 ただし、そこにはある法則が成り立っている。

(1) 対面の和が「7」の法則
(2) 左回りの法則

 法則の(1)はよく知られている事実であるが、法則(2)については正直に告白すると私
自身初めて知った事である。

 以上2つの法則から、さいころをイメージする場合に次のような絵を思い描けばよいこと
になる。
               

 法則(1)から、数字「1」の対面の数字は「6」で、数字「2」の対面の数字は「5」、数字
「3」の対面の数字は「4」に定まる。また法則(2)から、数字「1」→数字「2」→数字「3」
と左回りに数字が配列されている。

 したがって、法則(1)(2)を満たすさいころは唯一つに数字の配列が定まり、それ以外
はまがい物となる。

 そこで読者の方に問題を残しておこう。

 次の図は、さいころの展開図である。このさいころは正しいさいころと言えるだろうか?

              

(答えは、もう少し下にあります!)
















 正解は、「正しくない」でした。正しいさいころの展開図は下図のようである。
数字「6」の6個の点の配置がポイントである。皆さん、正解できましたか?

              

(追記) 平成25年6月2日付け

 朝日新聞6月2日付け朝刊のコラム「大人にも効く算数サプリ」で、上記のことが話題に取
り上げられた。

 「2」「3」の黒丸の配置は、左回りの法則から自然に理解されると思うが、敢えて法則を追
加すれば、

 「1」の面を下にしたとき、 「2」は右下がり 、「3」は左下がり に黒丸が並ぶ

となる。このとき、「6」の目は、「1」の面を下にして、「2」の面を正面に見たとき、

 黒丸3つの並びが手前と奥に2列並ぶ配置となる。


(コメント) さいころの目の配置を考える問題は、立体図形の空間把握を試すのに最適な
      問題ですね!


(追記) 平成19年6月18日付け

 さいころは、「サイコロ」と記すべきか、「さいころ」のままでよいのか大いに迷うところで
あるが、教科書等では「さいころ」と記述されているので、多分「さいころ」が正しい表記な
のだろう。ただ、朝日新聞では「サイコロ」と記されているが...。

 「ころ」は接尾語なので、正しくは、「さい(賽)」とすべきかな?

 6月4日付け朝日新聞朝刊の「疑問解決モンジロー」で、「なぜ、さいころの1の目が赤い
のか?」ということが話題になった。

 上記でも何の疑問もなく、1の目を赤くしているわけだが...。

 朝日新聞によれば、1の目を赤くするのは日本だけらしい!しかし、日本でも1923年(大
正12年)までは赤くなかったとか。

 目が赤くなった理由には確定したものがなくて諸説いろいろのようだ。

  ・ 日の丸をモデルにした
  ・ さいころの目の配置は、
                   一天地六、東五西二、南三北四
                 (いってんちろく、とうごさいに、なんざんほくし)
   と方角を表し、天を示す1の目は太陽として赤く塗った
  ・ 1926年に和歌山県のサイコロ製造業者が、1の目だけを赤くしたら売り上げが伸
   びて、それが一般的になった
  ・ 大正末期に少年雑誌の付録ですごろくブームが起き、他社に差を付けようと付録の
   さいころの1の目を赤くしたものが定着した

(追記) 当HP読者のK.S.さんより、平成25年6月6日付けで、「さいころの性質」につい
    て、ご教示いただいた。K.S.さんに感謝します。

 サイコロを、転がす方向は、上(N)下(S)、左(W)右(E)のみとする。転がし方が違えば、
同じ位置に転がしても、一般的に同じ状態にならない。

 しかし、特別な場合として、同じ状態になる場合もある。

性質0 同じ方向に4回繰り返すと、元の状態に戻る。 N4=1、S4=1、W4=1、E4=1
性質1 右下を3回繰り返すと、元の状態に戻る。 (ES)3=1
性質2 右下左を4回繰り返すと、元の状態に戻る。 (ESW)4=1
性質3 右右下を2回繰り返すと、元の状態に戻る。 (E2S)2=1
性質4 下右右を2回繰り返すと、元の状態に戻る。 (SE22=1
性質5 右下左右を3回繰り返すと、元の状態に戻る。 (ESWE)3=1
性質6 右右下下と下下右右は同じ状態になる。 E22=S22
性質7 「奇数の正方形の中を転がすと、もとに戻る」

 このとき、性質6と性質0から

    下下右右下下右右=下下右右右右下下=下下下下(=元の状態)

 すなわち、 (S222=S2222=S2222=S44=1


(追記) 鱒さんからのコメントです。(平成28年8月25日付け)

 床に置いたさいころを左右上下の4つの方向に90度ずつ回転させて、始めの状態から与
えられた状態にすることを考えます。この時、六面体群の元のうち右に90度回転させる元を
σ、手前に90度回転させる元をτとした時、このような回転を表す群の生成元になるわけ
ですが、関係式はどのように与えられるのでしょうか?

 これがわかれば群を決定することができますよね...。面白いので考えてみては?
(未解決の最小性の証明に生きてくると思うので...。)


 当HP読者のK.S.さんからの続報です。(平成25年6月11日付け)

 転がした結果を問う問題やルートを問う問題が、公務員試験によく出ます。下図は、さい
ころの目を数字で表したものである。

            

 このとき、縦3×横3の格子図形の、左上から右下に適当に転がすことによって、左の図
の状態から、右の図の状態になるようにすることができるでしょうか?


 答えは、不可能。

 さいころの状態は、上に6通り、横の方向に4通りなので、24通りの状態が考えられる。
格子図形があり、互い違いに白黒と色分けする。

 白い面からスタートして転がしていくと、白い面から白い面へ行くときは、適当な道を行け
ば元の状態に戻すことができるが、白い面から黒い面へ行くときは、どんな道すじを転がし
ても、元の状態に戻すことはできない。

 つまり、偶数回でいけるところは偶数回で変わることができる面の状態(12通り)にするこ
とができるが、奇数回で行けるところは奇数回で変わることができる面の状態(12通り)に
なり、偶数回で変わることができる面にはならない。

 したがって、左下と右下は同色になるので偶数回の回転が必要である。ところが二つの
図の状態は、奇数回でなければ、かわることはできないので不可能である。


(コメント) エレガントな証明ですね!K.S.さんに感謝します。


 よおすけさんから問題をいただきました。(平成28年4月22日付け)

 次の賽の展開図において、6の目の位置を答えよ。

    


(答え) さいころの真実が分かっている方は、「B」と即答でしょう。


(追記) 平成28年5月23日付け

 「ハナタカ優越館」(テレビ朝日系列 5月22日放送 18時57分〜20時58分)で、さいこ
ろのどの目が一番出やすいかが話題になった。日本人の3割しか知らないこととして、「さい
ころの数字はすべて同じ確率で出るわけじゃない!?」という事実が大いに気になった。

 何でも、さいころの表面に彫ってある●の数により重さが変わってしまい、出る目の確率に
も影響を及ぼすとのことで、「2」の目の面の方に重心が偏っている関係から「5」の目が一番
出やすいとのこと。

 我が家にあるさいころを見ると、表面に彫ってある●の数が多ければ●の面積は小さめ
でバランスよくなるように彫られているように感じる。

 「5」の目が本当に出やすいのか、気になったので我が家のさいころを100回投げて実験
してみた。

12 18 21 17 14 18

 わずか100回の実験でどうこう言うわけにはいかないが、少なくとも「5」の目が出やすい
とは言えないような...雰囲気!

 このことは、対面の和が「7」の法則にも関係している。すなわち、対面の和を同じにしてお
くと平行に向かい合った二面から削り取られる部分がどの軸でも等しくなり、数字の出方に
偏りが出にくく成るというのだ。

 やはり、「5」の目が出やすいというのは、もしかしてガセネタ??


(追記) 令和4年5月24日付け

 さいころでは、次の2つの法則が成り立つ。

(1) 対面の和が「7」の法則
(2) 左回りの法則

 この法則によって定まるさいころは唯一無二である。

 それでは、法則(1)が成り立たないようなさいころは、いくつ作られるだろうか?
ただし、さいころの各面の数字は、1〜6の1個ずつとする。

 面の数字が「1」に対して、その対面の数字の可能性は、「2」「3」「4」「5」の4通りある。
このうちの1通り、例えば、 1−2 の場合、残りの数字は、「3」「4」「5」「6」 で、対面の和
が「7」になってはいけないので、組合せは、 3−5 、4−6 または 3−6 、4−5 の2
通りある。これに、法則(2)を考慮すれば、求める場合の数は、

  4×2×2=16 (通り)

となる。


 カルピスさんからのコメントです。(令和4年5月25日付け)

 黒丸の「2と3と6の向き」は、前から気になっていた。決まりがあったのですね。

 立体の状態でどこから見ても、2と3が、まるで両手で1を包み込むよーな向きに。
(1つの輪になるよーな向きに)

 そして、6と4が辺で繋がった時、だんご3兄弟が、だんご5兄弟に変身する。
(だんご3兄弟の歌、覚えてますか? 串に刺さったダンゴ・ダンゴ ♪)

 また、この気になる2・3・6達は、一つの頂点に集まる。爽やかな1・4・5達も、一つの頂点
に集まる。やはり、「類は友を呼ぶ」のですね。

 また、さいころを、コロがした時、どの面の重さも同じになるよーにと、1の穴は、大きく深く
6の穴は、小さく浅く 削って・・・ 彫り出した木屑の重さが全て同じになるよーに。

 いんちきさいころは、中身に仕掛けがしてあって、一つの面を重く作り、その面が出やすく
してあるそーな。。。

 「カルピス模様(水玉模様)の四角い箱」には、いろいろな話が詰まっていますね。。。
そー言えば、最近は、さいころキャラメルが売られていない。これも、諸行無常ですね。。。



  以下、工事中!