接線の問題
接線の問題は、平面幾何や解析等で話題になる常套問題である。このページでは、接線
の問題を収集していこうと思う。
手頃な接線に関する問題が、東北大学 文系(1966)で出題されている。
問題 直線 y=2(x−1) が曲線 y=ax3+(1−2a)x (a≠0) に接するように a の値を
定めよ。
(解) 接点( t ,at3+(1−2a)t)における接線の方程式は、
y=(3at2+(1−2a))(x−t)+at3+(1−2a)t=(3at2+(1−2a))x−2at3
この式が y=2(x−1) と一致するので、 3at2+(1−2a)=2 、−2at3=−2
第2式より、 a=1/t3 で、これを第1式に代入して、 3/t−2/t3=1
よって、 t3−3t2+2=0 より、 (t−1)(t2−2t−2)=0 から、 t=1、1±
t=1 のとき、 a=1
t=1± のとき、 a=1/(10±6
)=(−5±3
)/4 (終)
次のような解法も考えられる。
(別解) 題意より、 ax3+(1−2a)x=2(x−1) から、
ax3−(1+2a)x+2=a(x−α)2(x−β) と因数分解できる。
係数比較して、 2α+β=0 、−1−2a=a(α2+2αβ) 、2=−aα2β
β=−2α を第2式、第3式に代入して、 −1−2a=−3aα2 、1=aα3
a=1/α3 より、 −1−2/α3=−3/α から、 α3−3α2+2=0
よって、 α=1、1± から、 a=1 、(−5±3
)/4 (終)
さらに、次のような解法も考えられる。
(別解) F(x)=ax3−(1+2a)x+2 とおくと、 F(x)=0 、F’(x)=0 は共通解を持つ。
F’(x)=3ax2−(1+2a)=0 から、a=1/(3x2−2)
よって、 x3/(3x2−2)−(1+2/(3x2−2))x+2=0 より、
x3−(3x2−2+2)x+2(3x2−2)=0 すなわち、 x3−3x2+2=0
よって、 x=1、1± から、 a=1 、(−5±3
)/4 (終)
よおすけさんから問題をご提供いただきました。(令和6年7月8日付け)
問題 2つの2次関数 F(x)=−x2+2x−1、G(x)=x2 について、次の問いに答えなさい。
(1) 放物線 y=F(x) 上の点(a,−a2+2a−1)における接線の方程式を求めなさい。
(2) (1)の接線が放物線 y=G(x) にも接するように a の値を定めなさい。
(出典)第125回実用数学技能検定2級2次問題7
(解)(1) 接線の方程式は、y=(−2a+2)(x−a)−a2+2a−1=(−2a+2)x+a2−1
(2) x2=(−2a+2)x+a2−1 から、 x2+2(a−1)x−a2+1=0
判別式をDとすると、 D/4=(a−1)2+a2−1=2a2−2a=2a(a−1)=0
よって、 a=0、1 (終)
(追記) 令和6年9月29日付け
次の東北大学 理系(1981)の問題は漸化式を作って解く問題である。
問題4 数列 {an} を次のようにして定める。初項 a1 (a1≠0、a1≠2)は与えられた実数
である。次に、anが与えられたとき、曲線 y=1/x−1上に、x 座標がanである点Pをとる。
Pにおいて、この曲線に引いた接線が x 軸と交わる点をQとすると、Qの x 座標がan+1で
ある。(n=1、2、3、・・・)
(1) an+1−1とan−1との関係を調べよ。
(2) anをa1の式で表し、limn→∞ an を求めよ.
(解)(1) y’=−1/x2 なので、点Pにおける接線の方程式は、
y=−{1/an2}(x−an)+1/an−1=−{1/an2}x+2/an−1
y=0 とおいて、 x=2an−an2 より、 an+1=2an−an2
よって、 an+1−1=−(an−1)2
(2) an−1=−(an-1−1)2=−(an-2−1)4=・・・=−(a1−1)^(2n-1) (ただし、n≧2)
よって、 −1<a1−1<1 すなわち、 0<a1<2 のとき、an−1 → 0 (n → ∞)
a1<0 、2<a1 のとき、an−1 → −∞ (n → ∞)
したがって、 0<a1<2 のとき、limn→∞ an=1
a1<0 、2<a1 のとき、limn→∞ an=−∞ (終)
(追記) 令和6年11月30日付け
次の東北大学 理系(1987)の問題は、易しい問題だろう。
問題3 a を 0 でない実数とする。2つの曲線 y=ex および y=ax2 の両方に接する直線
の本数を求めよ。
(解) 曲線 y=ex 上の接点(t,et)における接線の方程式は、y=et(x−t)+et
これが、曲線 y=ax2 に接するので、 ax2=et(x−t)+et すなわち、
ax2−etx+(t−1)et=0 が重解を持つので、 (判別式)=e2t−4a(t−1)et=0
すなわち、 et=4a(t−1) において、 t≠1 なので、 a=et/(4(t−1))
y=et/(4(t−1)) のグラフは、y’=(t−2)et/(4(t−1)2) より、
したがって、 a<0 、a=e2/4 のとき、接線の本数は、1本
0<a<e2/4 のとき、接線の本数は、0本
a>e2/4 のとき、接線の本数は、2本 (終)
(追記) 令和7年3月27日付け
次の東北大学 後期文系(1990)の問題は、与えられた条件をどう使うのかがポイントだ
ろう。
問題 xy平面の原点をO、放物線 y2=x 上の点をP、放物線 y=x2 上の点をQ、Qにお
ける y=x2 の接線と x 軸の交点をRとする。PとQをP≠O、Q≠O、OP⊥OQとなるよ
うに動かし、位置ベクトルORをOR=pOP+qOQ (p、q は実数) と表す。
pとqの関係を求め、点(p,q)の描く図形をかけ。
(解) P(t2,t)、Q(s,s2) とおくと、OP⊥OQより、 st2+s2t=0 なので、t+s=0
よって、Q(−t,t2) と書ける。 y’=2x より、Qにおける接線の方程式は、
y=−2t(x+t)+t2=−2tx−t2 となるので、y=0 とおいて、 x=−t/2
よって、R(−t/2,0) となる。
OR=pOP+qOQ (p、q は実数) より、
(−t/2,0)=p(t2,t)+q(−t,t2) すなわち、 pt2−qt=−t/2 、pt+qt2=0
t≠0 なので、 pt=q−1/2 、p+qt=0
t=−p/q を第1式に代入して、 −p2/q=q−1/2 すなわち、 p2+q2−(1/2)q=0
より、 p2+(q−1/4)2=1/16
よって、点(p,q)は、中心(0,1/4)で半径1/4の円周上にある。ただし、p≠0 より、
(0,0)、(0,1/2)は除く。
(終)
(追記) 令和7年4月8日付け
次の東北大学 後期理系(1991)の問題は、与えられた条件をどう使うのかがポイントだ
ろう。
問題 傾きが正の直線Lが2つの放物線
C1:y=ax2+1/(3a3) 、C2:y=bx2+1/(3b3) (a>0、b>0、a≠b)
に接している。このとき、次の問に答えよ。
(1) LとC1の接点を(p,q)とするとき、p、q を a、b を用いて表せ。
(2) X=limb→a p、Y=limb→a q とする。X、Yを求め、さらにYをXの式で表せ。
(3) a が正の実数全体を動くとき、点(X,Y)を描く曲線の概形をかけ。
(解)(1) y’=2ax より、(p,q)における接線の方程式は、
y=2ap(x−p)+q=2apx−2ap2+ap2+1/(3a3)=2apx−ap2+1/(3a3)
y=bx2+1/(3b3) と連立して、 bx2−2apx+ap2−1/(3a3)+1/(3b3)=0
接することから、判別式D/4=a2p2−abp2+b/(3a3)−1/(3b2)=0
よって、 a(a−b)p2=1/(3b2)−b/(3a3)=(a−b)(a2+ab+b2)/(3a3b2) より、
p2=(a2+ab+b2)/(3a4b2) から、 p=(√(a2+ab+b2))/(a2b)
また、 q=ap2+1/(3a3)=(a2+ab+2b2))/(3a3b2)
(2) b→a のとき、
X=limb→a (√(a2+ab+b2))/(a2b)=1/a2
Y=limb→a (a2+ab+2b2))/(3a3b2)=4/(3a3)
なので、 Y=(4/3)X^(3/2) (X>0)
(3) 点(X,Y)を描く曲線の概形は、
(終)
以下、工事中!