双対曲線の話題                             戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「S(H)」さんの投稿内容によく「双対曲線」の話題が
出てくる。一説によると、手計算で双対曲線を求めることはほぼ不可能とも言われるが、土
筆の子さんに触発されて、双対曲線の概略や基本的な計算手法についてはまとめてみたい
と最近思うようになった。

 双対曲線を考える対象は射影平面なので、まずは、射影平面の話から始めよう。

 射影直線は直線に無限遠点を追加したものと考えたように、射影平面もアフィン平面に無
限遠直線を追加したものと考えればよい。しかも、アフィン平面内の平行な2直線は無限遠
直線上の1点で交わるという性質をもつ。

 射影平面は、さらに次のような性質をもつ。

(1) 射影平面の均質性: どの3点も同一直線上にない任意の4点が同様な任意の4点に
                 移す射影変換が存在する

(2) 射影変換により、直線は直線に移り、1直線上の4点の複比は射影変換により不変

(3) 射影平面上の点と直線の双対性


 を複素数体とし、3次元アフィン空間3に対して、3−{(0,0,0)}とおく。

 A内の2点(x0,x1,x2)、(y0,y1,y2)に対して、同値関係〜を次のように定める。

  (x0,x1,x2)〜(y0,y1,y2

   ⇔ あるλ∈−{0}があって、 (x0,x1,x2)=λ(y0,y1,y2

 同値関係〜による同値類を、代表元(x0,x1,x2)を用いて、(x0,x1,x2*で表し、同値
類全体を2=P2)と書き、上の射影平面という。

  2=A/〜 ・・・ 原点を通る直線(原点は除く)全体

      

 (x0,x1,x2*が、射影平面P2上の点である。(x0,x1,x2)は、この点の同次座標という。

 射影平面P2において、 αx0+βx1+γx2=0 (α、β、γ∈−{0})
となる点(x0,x1,x2*の全体を射影直線という。

例 射影直線では、 L0 : x0=0 、L1 : x1=0 、L2 : x2=0 が基本的である。

 L0 は、原点中心、半径1の球面において、

    {(0,x1,x2)|x12+x22=1、x1>0}∪{(0,0,1)}  (0,0,1)*:無限遠点

の部分が該当する。L1 、L2 も同様である。すなわち、

  L1 : {(x0,0,x2)|x02+x22=1、x2>0}∪{(1,0,0)}  (1,0,0)*:無限遠点

  L2 : {(x0,x1,0)|x02+x12=1、x0>0}∪{(0,1,0)}  (0,1,0)*:無限遠点

 これら L0、L1 、L2 は、射影平面P2の座標軸と言われる。

 P2−L0={(1,x1,x2*}は、 (1,x1,x2* ⇔ (x1,x2) により、アフィン平面2
同一視される。その意味で、L0無限遠直線と言われる。

 2つの射影平面 P12、P22において、P12上の直線

  L(α,β,γ): αx0+βx1+γx2=0  ただし、(α,β,γ)≠(0,0,0)

に対して、P22上の点(α,β,γ)*を対応させる。また、P12上の点(α’,β’,γ’)*に対
して、P22上の直線 L(α’,β’,γ’):α’x0+β’x1+γ’x2=0 を対応させる。

 この対応をφとするとき、

 (α’,β’,γ’)*∈L(α,β,γ) ⇔ αα’+ββ’+γγ’=0

                        ⇔ (α,β,γ)*∈L(α’,β’,γ’)
 すなわち、

 (α’,β’,γ’)*∈L(α,β,γ) ⇔ φ(L(α,β,γ))∈φ(α’,β’,γ’)*

 このことから、射影平面P22は、射影平面 P12の直線を点とする射影平面と見なすことが
できる。このように対応づけられた2つの射影平面を、双対射影平面という。

 例というのもおこがましいが、高校生のとき、次のような問題に出会った。

 円 x2+y2=r2 の外部にある点(a,b)から円に接線を引くとき、2つの接点を通る
割線の方程式は、ax+by=r2 で与えられることを証明せよ。


(解) 接点(x1,y1)、(x2,y2)における接線の方程式は、xx1+yy1=r2、xx2+yy2=r2

  これらが点(a,b)を通るので、 ax1+by1=r2、ax2+by2=r2

  このことは、直線 ax+by=r2 が2点(x1,y1)、(x2,y2)を通ることを示す。

 よって、求める割線の方程式は、 ax+by=r2  (終)


(コメント) 高校生のとき、上のような解答を示されて、何とも言えない違和感を感じたことを
      覚えている。双対を考えると言うことは、上記のような感覚を一般化するものなの
      だろうか?


 n次同次多項式 F(X0,Y1,Z2)に対して、F(x0,x1,x2)=0 のとき、(x0,x1,x2*
Fの零点という。Fの零点全体の集合 C={P∈P2|F(P)=0}を射影平面代数曲線、ま
たは、n次代数曲線という。

 F(X0,Y1,Z2)が既約のとき、n次代数曲線は既約と言われる。

 C上の点P=(x0,x1,x2*単純点(通常点)とは、 F0、FX1、FX2のうち少なくとも一
つが0でないときをいう。

 F0、FX1、FX2の全てが0のとき、特異点という。



  以下、工事中!