円のある性質2                            戻る

 同じ長さをもつ、すべての閉じたなめらかな曲線の中で最大の面積を囲むものが「円周」
であることはよく知られた事実である。素朴な図形である円であるが、このほかにもいろい
ろな性質を秘めている。

   例えば、ただ漠然と長方形と円を交わらせても、特徴
  ある性質は浮かび上がってこないが、意図的に、円が
  長方形を切り取る弦(赤色の部分)の長さが等しい場合
  に注目してみると、ある性質の成り立つことが分かる。
 右図において、 PQ=RS が成り立つとき、

      AP = AR

が成り立つ。
     

 証明は易しい。

(証明) 方べきの定理より、 AP・AQ=AR・AS なので、PQ=RS=K とおくと、

        AP・(AP+K)=AR・(AR+K)

    AP2+AP・K=AR2+AR・K  より、 (AP−AR)(AP+AQ+K)=0

    AP+AQ+K≠0 なので、 AP−AR=0 すなわち、 AP=AQ (証終)


 証明からも分かるように、この性質は長方形という性質に依らない。すなわち、一般の四
辺形において成り立つ性質である。すなわち、次の事実が成り立つ。

    左図のように、四辺形ABCDに円が交わっている。
   ただし、4つの弦PQ、TU、VW、RSの長さは全て等
   しいものとする。

    このとき、  AB+CD=BC+DA

   が成り立つ。

 証明は、明らかであろう。


(追記) 令和4年1月10日付け

 円の中心を求める方法は、2つの弦の垂直2等分線の交点など、いくつか知られている。

   

 手っ取り早い方法として、次の方法はどうだろうか。

 円に2つの角で内接する長方形を考える。

  

 このとき、円の中心は、2本の赤線の交点として求められる。

  

 証明は、赤線が円の直径であることから明らかだろう。