円に内接する四角形                          戻る

   正三角形は円に内接し、正三角形の重心は外接円の中心(外心)
  となるという性質は有名だろう。

   このページで注目する事象は、この素朴な性質を出発点とする。


  左図において、 ∠AOP=θ とおくと、 ∠BOP=2π/3−θ

  このとき、 ∠APB=π−θ/2−(π/3−θ/2)=2π/3

  これは、円に内接する四角形の性質からも明らかだろう。



 θの値に関わらず、∠APBが一定という自然な性質が示された。

 このような点Pを、弧BC上、弧CA上にとると、面白い性質がクローズアップされる。

           

 上図において、 ∠AOP=∠BOQ=∠COR=θ とおくと、

   ∠PAR=π/3+θ/2+(π/3−θ/2)=2π/3

同様にして、 ∠PBQ=2π/3 、 ∠QCR=2π/3

 以上から、6角形APBQCRの6個の頂角はすべて等しい。

 ここで、θ=π/3 ならば、6角形APBQCRは正6角形となるが、θ≠π/3 のときは、

正6角形とは言えない。

 上記の構成法を考えると、一般に次の事実が成り立つことは明らかだろう。

 頂角がすべて等しく、円に内接する2n角形の中には正2n角形にならないものが
存在する


 ところが、これに対して次の驚くべき事実が知られている。

 頂角がすべて等しく、円に内接する2n+1角形は、必ず正2n+1角形になる

 偶数と奇数。この差はどこから来るのだろう?

 偶数の場合は、
        

からも分かるように、△OAP、△OPB、、△OBQ、△OQC、△OCR、△ORA と合同な
三角形が一つおきに出現し、△OAPと△ORAが合同になることは、θ=π/3 のときを
除き、起こり得ない。

 それに対して、奇数のときは、合同な三角形が一つおきに出現し、必然的にすべての三
角形が合同にならざるを得ない状況になる。これが、偶数の場合と奇数の場合の状況の
差である。

 頂角がすべて等しい、円に内接する5角形の場合を見てみよう。

  左図において、頂角の大きさをθとすると、

     ∠OBC=θ−α

  で、∠OED=θ−α から、 ∠OAE=∠OEA=α

  このとき、頂角Aにおいて、 α+α=θ から、 α=θ/2

   よって、 ∠OBC=θ/2


 したがって、2等辺三角形OAB、OBC、OCD、ODE、OEAはすべて合同となる。

  このとき、 AB=BC=CD=DE=EA より、5角形ABCDEは正5角形となる。

 上記の議論を、「頂角がすべて等しく、円に内接する2n+1角形」に拡張するのは容易だ
ろう。

 辺の数が奇数の場合は、隣り合う三角形同士が合同となり、結果として、辺の長さがすべ
て等しくなり、「正2n+1角形」にならざるを得なくなる。これが辺の数が偶数の場合との決
定的な違いである。



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