楕円の面積                               戻る

 楕円
     

で囲まれる部分の面積は、

     πab

で与えられる。
   

 この証明は、通常、微分積分を用いて次のようになされる。

 求める面積を S とすると、

    

 上式の定積分の計算は、置換積分を用いてもいいが、軽妙に「四分円の面積」から求め
る方が多数だろう。

 また、この楕円は、半径 a の円を y 軸方向に b/a 倍縮小して得られるという性質を用い
て、
    πa2×b/a = πab

としても得られる。最も、この計算は、上記の定積分の計算が背景に存在する。

 何れにしても、楕円の面積の公式は、微分積分を根拠にしている。

 この問題について、関 孝和(1642?〜1708)は、著書「求積」で、微分積分によらない楕
円の面積の公式の証明を与えている。

  左図は、半径 b の円を底面とする円柱を、A、B を通る平面
 で切断したときの切り口を表したものである。

  このときの円柱の高さを、h(=AC)とすると、円柱の体積は、

       πb2

 である。

  AB=2a とすれば、切り口は、長径が2a、短径が2b の楕
 円を表す。その面積を、S とおく。

  切り口の下側の部分を、左図のように移動させても体積は同
 じである。

  その立体図形の高さを、k(=CD)とすると、その体積は、

       Sk

 である。

 ここで、△ABC ∽ △CBD なので、 AB : AC = CB : CD が成り立つ。

 よって、 2a : h = 2b : k より、  k = bh/a となるので、

     πb2h = Sk = Sbh/a

 したがって、  S=πab となる。

(コメント) 江戸時代に、微分積分を使わないで、上記のような計算で楕円の面積を計算し
      た人が日本にいたということに、ただただ驚嘆するばかりである。

 また、正射影を使えば、次のようにも求められる。

 切り口の平面と底面のなす角を θ とすると、

     S・cosθ=πb2

である。 ここで、cosθ=b/a なので、  S=πab となる。

(コメント) このような解答を見せられても、関 孝和の解法の美しさの前には、ただひれ伏
      すのみである。


 S(H)さんからの出題です。(平成23年5月26日付け)

問題A  x、y、z は、次の2つの条件を満たす実数とする。

     S1 : xy+yz+zx=44/15 、 S2 : x2+y2+z2=5

       

(1) このとき、x の取り得る値の範囲 を求めよ。

(2) 上のR3に於ける2つの超曲面の S1∩S2 を、xy平面上に正射影すると、2つの楕円
   になる。このことを、主軸を求めて示し、図示せよ。

(3) 楕円の面積を求めよ。

問題B  x、y、z、w は、次の2つの条件を満たす実数とする。

     S1 : xy+xz+xw+yz+yw+zw=7 、 S2 : x2+y2+z2+w2=9

(1) このとき、x の取り得る値の範囲 を求めよ。

(2) 上のR4に於ける2つの超曲面の S1∩S2 を、xyz空面上に正射影すると、2つの楕円
   面になる。このことを、主軸を求めて示し、図示せよ。

(3) 楕円体の体積を求めよ。



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