おみくじの数理
おみくじの数理というと、「大吉」や「中吉」、「小吉」、「末吉」はたまた「大凶」などの出現
する割合の話かと想像されるかもしれないが、このページで取り上げるのは、
「おみくじを綺麗に折ると、正5角形ができる」
というものである。
この事実は昔から有名で、実際に折ってみると確かに正5角形っぽくなる。これまで、そ
のことを証明しようと思わなかったが、「正5角形っぽい」という表現が嫌いなので、証明し
てみようと思い立った次第である。
神社のおみくじのサイズは全て約23.5cm×約5.8cmと決まっているらしい。長形3号
封筒のサイズが23.5cm×12.0cmなので、だいたいその半分ぐらいの大きさだ。
神社のおみくじ売り場の近くには大抵木が植えられていて、その木におみくじを結ぶよう
になっている。(もしかしたら参拝者が勝手に使用済みのおみくじを結んでいるだけかも?)
いま、おみくじを長辺に平行に折って、下図のような長方形ができたとしよう。
次のように折って、結び目を作る。
このとき、結び目がちょうど「正5角形」になっているというわけである。
このことを証明するには、次の性質(※)が基本である。
長方形を線分MNで折り曲げるとき、 ∠BNM=∠DMN である。
上図で、∠BNMと∠DMNは平行線の錯角なので等しいことは明らかだろう。
さて、本題の証明に取りかかろう。
(証明) 折り方の対称性から、PQ=PT としてよい。このとき、性質(※)より、
△PQS、△PTR、△PSRは 二等辺三角形である。 PS=QS 、 PS=PR 、 PR=TR が成り立つので、 PS=QS=PR=TR よって、 △PSQ≡△TRP そこで、∠PSQ=・ とすると、 |
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∠TRP=・ となる。 このとき、平行線の錯角は等しいので、 ∠PSQ=∠TRP=∠SPT=∠STR=∠SQR=∠QPR=・ となる。 また、PQとTRは平行なので、∠PQS=∠TZS よって、 △PQS∽△SZT となり、 ∠ZST=∠QPS ∠PQS=∠QPS なので、 ∠PQS=∠ZST より、四角形PQSTは等脚台形となる。 よって、 PQ=TS が成り立つ。 このとき、 PT=TS となり、△PTSは二等辺三角形。 このことから、 ∠PST=∠SPT=・ となる。 平行線の錯角は等しいので、 ∠PST=∠SPR=∠PRQ=・ となる。(上図参照) したがって、 5角形PQRSTの内角がすべて等しくかつ5辺の長さもすべて等しくなるので、 正5角形と言える。 (証終) |
(コメント) この話題は、当HPがいつもお世話になっている、らすかるさんが他所のHPで考
えられていたものを参考にさせていただいた。らすかるさんに感謝いたします。