(1) 眠って解決黒頭巾

 高校時代、よく数学の難しい問題に悩まされた。いくら考えても、全く解法の糸口すらみえて
こない。むなしく時が過ぎるだけ。そんな時は、「下手の考え休むに似たり」と、直ぐ眠ったもの
だ。ところが、朝目覚める頃、ボンヤリと試行錯誤が始まり、何となく解法の糸口がみえてくる。
「これで本当にいいのかな?」と、半信半疑で計算してみると、なんと大正解。その時以来、睡
眠は私にとって数学の問題を解くための必需品になってしまった。こんな風にして、これまでに
何度お世話になったことか数え切れない。そんな不思議な経験を子供たちに伝えたくて、今高
校で数学を教えている。 (1999.3 読売新聞掲載)
 (注)新聞掲載時は、「体験的数学学習法」という見出しでした。

(追記) 2004年1月のYOMIURI ON-LINE の報道によれば、「十分な睡眠は『ひらめき』
を促す」という。ドイツのリューベック大学の研究でわかったそうである。すなわち、上記の私
の体験が、科学的に実証されたわけである。また同時に、同じような経験を持つ人がたくさん
いられるということも保証されたのだろう。ただし、何もしないで寝ても「ひらめき」は得られな
い。寝る前に、ある程度の知識の蓄えが必要である。すなわち、脳の中に、ひらめきのため
の「原料」や「調理法」を仕込むのだ。そうすると、それらが睡眠中に再活性化され、記憶とし
て整理されるときに、知識と記憶が微妙に結びつき、「ひらめき」に通じるらしい。
 今でも、解けない問題を悶々考えて寝ると、翌朝起きる寸前に、突然ひらめくことが多い。
そんな日は、朝から気分爽快である!

(追記) 平成29年9月8日付け
 読書人の雑誌「本」(講談社) ’17年 9月号で、筑波大学教授の櫻井 武さんの書かれ
たコラム「眠りを利用したダリ」を楽しく拝読させていただいた。
 ダリは肘掛け椅子で指の間にスプーンを挟んで仮眠をとったという。眠りに入ったとき脱力
した指からスプーンが落ちて、そのときの音で目覚めるのだという。ノンレム睡眠の4段階の
うち、浅い睡眠の1〜2レベルでの目覚めになる。こうした短時間での睡眠は、認知機能の
リフレッシュに有効らしい。眠りに落ちるか落ちないかの境目でみられる、独特の酩酊状態
のなかでインスピレーションが得られるそうで、ダリはこの儀式を行っていたとのことである。
 人は眠りに落ちたとき、理論的な思考で考えや行動を管理する、脳の前頭前皮質の機能
が低下し、常識にとらわれないシュールレアリスムの世界に近づけると言われる。ダリは、
絵のインスピレーションを得るために、「眠り」を上手く利用していたのだろう。

(2) 見出しに「あれ?」

 朝日新聞社会部教育班 御中
 朝日新聞の一読者です。今日の朝刊をみていて、「あれ?」と思ったことがあります。
Weekly教育の「ゆとりを追う」というコーナーの絶対評価に関する投書の紹介で、「生徒の3分
の1が、相対を支持」という見出しがのっていましたが、投書の内容を読んでいくと、「あれ?」と
なりました。投書では、「生徒の反応は、3対1で相対評価がいいという声が多かった。」とある
ので、正しくは、「生徒の4分の3が、相対を支持」ではないでしょうか?どうして、これが新聞の
見出しのようになるのでしょうか?お尋ねいたします。
(平成14年12月22日(日)朝日新聞朝刊を見て、投稿)

 (注)その後、朝日新聞から紙面の訂正は出ませんでした。 ・・・ (・・?)


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