室生寺五重塔・・・・・奈良 室生寺にて              戻る

     室生寺五重塔
 土門拳さんの写真や春の石楠花(シャクナゲ)で有名なお寺、室生寺。この寺は
女人禁制だった高野山に対して女人の入山を許していた「女人高野」として名高い。
天武天皇九年(681)役行者によって開かれ、後に弘法大師の手で伽藍の整備が
行われたという。写真の五重塔は、本堂脇の高い石段の上に立つ。

 奈良県と三重県の県境にあるが、奈良市から車をかなり走らせないと辿り着けな
い。あたりは深山幽谷のようで鬱蒼と茂る杉木立に囲まれている。

 平成10年9月22日、奈良地方を襲った台風7号の強風により杉の巨木が倒壊し、
そのあおりで五重塔背面の庇が損傷した。新聞等にも大きく取り上げられて世の関
心を集め、平成12年9月に無事復興した。

 復興の様子が気になって来よう来ようと思っていたが、ようやく23年ぶりに再訪す
ることができた。五重塔以外は、時が止まったように昔のままだった。

 清らかな流れの上に架かる太鼓橋を渡ると、 そこはもう表門である。
表門には堂々と「女人高野」の字が見える。 ばん字池を曲がって五重塔はすぐ。

 室生寺というと五重塔が印象深いが、見所は実は仏像のすばらしさにある。金堂
には釈迦如来立像(国宝)、薬師如来像、地蔵菩薩像(重文)、文殊菩薩像(重文)、
十一面観音菩薩像(国宝)、十二神将像(重文)が並び、平安初期の雰囲気に圧倒
される。金堂そのものも国宝で、奈良の山奥で静かに至福のひと時を味わうことが
できる。非常に贅沢な時間といえよう。