2012年 part4                            戻る

 方程式
       

は、1 ≦ x ≦ y を満たす自然数の解の組( x , y )をちょうど2012個持つという。

 そのような自然数 n をすべて求めよ。


































(答) 方程式の分母を払って整理すると、 xy−nx−ny=0

    このとき、 (x−n)(y−n)=n2

   1 ≦ x ≦ y なので、 1−n ≦ x−n ≦ y−n

  ここで、 1−n ≦ x−n ≦ y−n<0 と仮定すると、(x−n)(y−n)≦(n−1)2 で、

   (x−n)(y−n)=n2 より、 n2≦(n−1)2  これは矛盾である。

  よって、 (x−n)(y−n)=n2>0 より、 x−n と y−n は同符号なので、

    0 < x−n ≦ y−n  であると言える。( x−n=0 は起こりえないことに注意!)

  自然数解が2012個あるためには、n2 の約数を小さい順に並べた場合、約数がちょう

 ど a1、a2、・・・、a2012(=n)、a2013、・・・、a4022、a4023 の4023個あるときで、

 そのとき、自然数解の組は、

  ( a1 , a4023 )、 ( a2 , a4022 )、・・・、 ( a2011 , a2013 )、 ( a2012 , a2012

の2012個となる。

 n2 の素因数分解を、

   n2 =p・・・r (p<q<・・・<r は素数で、a、b、・・・、cは自然数)

とすると、n2 の約数の個数は、 (a+1)(b+1)・・・(c+1)

 よって、 (a+1)(b+1)・・・(c+1)=4023=33×149

以上から、起こりうる場合は次のようになる。

(1) a+1=4023 すなわち、 a=4022  このとき、 n=p2011

(2) a+1=3 、b+1=1341 すなわち、 a=2 、b=1340

   このとき、 n=pq670

   a+1=1341 、b+1=3 すなわち、 a=1340 、b=2

   このとき、 n=p670

(3) a+1=9 、b+1=447 すなわち、 a=8 、b=446

   このとき、 n=p4223

   a+1=447 、b+1=9 すなわち、 a=446 、b=8

   このとき、 n=p2234

(4) a+1=27 、b+1=149 すなわち、 a=26 、b=148

   このとき、 n=p1374

   a+1=149 、b+1=27 すなわち、 a=148 、b=26

   このとき、 n=p7413

(5) a+1=3 、b+1=3 、c+1=447 すなわち、 a=2 、b=2 、c=446

   このとき、 n=pqr223

   a+1=3 、b+1=447 、c+1=3 すなわち、 a=2 、b=446 、c=2

   このとき、 n=pq223

   a+1=447 、b+1=3 、c+1=3 すなわち、 a=446 、b=2 、c=2

   このとき、 n=p223qr

(6) a+1=9 、b+1=3 、c+1=149 すなわち、 a=8 、b=2 、c=148

   このとき、 n=p4qr74

   同様にして、 n=p474r 、n=pq474 、n=p744r 、n=p74qr4 、n=pq744

(7) a+1=3 、b+1=3 、c+1=3 、d=149

   すなわち、 a=8 、b=2 、c=2 、d=148

   このとき、 n=p4qrs74

   同様にして、 n=p4qr74s 、n=p474rs 、n=pq4rs74 、n=pq474s 、

           n=p744rs 、n=pqr474 、n=pq744s 、n=p74qr4s 、

           n=pqr744 、n=pq74rs4 、n=p74qrs4

 以上から、求める自然数 n は、p<q<r<s を素数として、

  p2011 、pq670 、p670q 、p4223 、p2234 、p1374 、p7413 、pqr223 、

 pq223r 、p223qr 、p4qr74 、p474r 、pq474 、p744r 、p74qr4 、pq744 、

 p4qrs74 、p4qr74s 、p474rs 、pq4rs74 、pq474s 、p744rs 、pqr474 、

 pq744s 、p74qr4s 、pqr744 、pq74rs4 、p74qrs4  の全28パターン


(コメント) こんなにパターンが多くては、パズルになりませんでしたね!


(追記) 平成25年2月11日付け

 数学関連の雑誌を眺めていたら、次の問題が目にとまった。上記の関連問題である。

 n は2以上の自然数とする。方程式

       

を満たす自然数の解の組( x , y )がちょうど25組あるとき、n は平方数であることを示せ。

(これは、私の敬愛する安田 亨先生(駿台予備校)出題のものである。)

 上記の解法にならって解いてみよう。

(解) 方程式の分母を払って整理すると、 xy−nx−ny=0 より、 (x−n)(y−n)=n2

   1 ≦ x 、 y なので、 1−n ≦ x−n 、1−n ≦ y−n

  ここで、 x−n<0 、 y−n<0 と仮定すると、(x−n)(y−n)≦(n−1)2 で、

   (x−n)(y−n)=n2 より、 n2≦(n−1)2  これは矛盾である。

  よって、 (x−n)(y−n)=n2>0 より、 x−n と y−n は同符号なので、

    0 < x−n 、0 < y−n であると言える。( x−n=0 は起こりえないことに注意!)

  自然数解が25組あるためには、n2 の約数を小さい順に並べた場合、約数がちょう

 ど a1、a2、・・・、a13(=n)、a14、・・・、a24、a25 の25個あるときで、

 そのとき、自然数解の組は、

  ( a1 , a25 )、 ( a2 , a24 )、・・・、 ( a12 , a14 )、 ( a13 , a13

  ( a25 , a1 )、 ( a24 , a2 )、・・・、 ( a14 , a12

の25組となる。

 n2 の素因数分解を、

   n2 =p・・・r (p<q<・・・<r は素数で、a、b、・・・、cは自然数)

とすると、n2 の約数の個数は、 (a+1)(b+1)・・・(c+1)

 よって、 (a+1)(b+1)・・・(c+1)=25=52

以上から、起こりうる場合は次のようになる。

(1) a+1=25 すなわち、 a=24  このとき、 n=p12

(2) a+1=5 、b+1=5 すなわち、 a=4 、b=4  このとき、 n=p22

 以上から、求める自然数 n は、p<q を素数として、n=p12 または、n=p22 と表され、

平方数である。  (終)


(コメント) この問題は模擬試験に出題され、大変出来が悪かったそうです。