Wythoff のゲーム
P、Q の2つのサークル内に、それぞれ12個と15個、碁石が置いてある。
今、A、Bの2人がこの順に交互に次のルールに従って碁石をサークルから取り除くもの
とする。
ルール : (1) 1つのサークルのみから碁石を取り除く場合は、個数制限なし
(2) 2つのサークルから同時に碁石を取り除く場合は、同数とする
最後に碁石を取り除いた者が、「勝ち」とする。
このゲームは先手必勝であるが、どのような取り方をしたらよいであろうか?
(答) 順に、勝つための条件を考えて行こう。
最後に碁石を取り除いた者が、「勝ち」なので、次のような場合、先手が必ず勝てる。
(P,Q) = (*,0) 、 (0,*) 、 (♯,♯) (← 同数)
逆に言えば、後手は、上記のパターンにして先手に手を渡すと後手必敗なので、後手が
上記のパターンに自らするようなことは決してない。
一般性を失うことなく、碁石の数は、 P<Q であるとしてよい。
上記のパターン以外で、先手が必ず勝てるように後手に手を渡すときの碁石の配置で最
小なものは、(1,2)である。
実際に、次のように後手がどう対応しても、先手必勝のパターンになる。
(1,2)→(0,2) 、 (1,2)→(1,1) 、 (1,2)→(1,0) 、 (1,2)→(0,1)
このように、先手が必ず勝てるように後手に手を渡すときの碁石の配置を考えるとき、
(1,2)の次に最小なものを(P,Q)とすると、Pは、3 でなければならない。
もしも、P が 1 または 2 ならば、後手必勝形(どちらか一方から碁石を取り除き、(1,2)
のタイプにする!)にして先手に手を渡すことができる。
このとき、Q=5 でなければならない。
もしも、Q が 4 ならば、後手必勝形(両方から2個ずつ碁石を取り除き、(1,2)のタイプ
にする!)にして先手に手を渡すことができる。
このようにして、先手が必ず勝てるように後手に手を渡すときの碁石の配置を考えるとき、
次のような系列が完成する。
(1,2)→(3,5)→(4,7)→(6,10)→(8,13)→(9,15)→ ・・・・・・・・
この系列は、次の漸化式により求められる。(Q−Pが自然数列になっていることに注目!)
(P,Q) = (an,bn) (n=1,2,3,・・・) において、
an+1 は、a1、a2、・・・、an や b1、b2、・・・、bn のどれにも現れない最小の自然数
bn+1 = an+1 +( n+1) (n=1,2,3,・・・)
ただし、 a1 = 1 、 b1 = 2 である。
以上の考察から、(P,Q) = (12,15)の場合に、先手が勝つためには、先手はPから
碁石を3個取り除き後手に手を渡せばよい。
後は、上記の必勝パターンになるように後手の取り方に対応すればよい。
(参考) このゲームは、古代中国のゲーム「ツヤンシジィ」とも言われるようだ。HPサイト
「数学の部屋」の中の「今週の問題−第36回」に詳しく述べられている。
(参考文献:アルプレヒト・ボイテルスパッヒャー、ベルンハルト・ペトリ 著
柳井 浩 訳 黄金分割 (共立出版))