水の分配
いま、10リットルの容器に水が一杯に満たされている。この容器とは別に、7リットルと3
リットルの空の容器が一つずつある。
これらの容器のみを用いて、5リットルと5リットルに分けたい。どうしたらよいか?
(答) この問題は、真面目に考えれば、次のような手順になるであろう。
回 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 リットル | 10 | 3 | 3 | 6 | 6 | 9 | 9 | 2 | 2 | 5 |
7 リットル | 0 | 7 | 4 | 4 | 1 | 1 | 0 | 7 | 5 | 5 |
3 リットル | 0 | 0 | 3 | 0 | 3 | 0 | 1 | 1 | 3 | 0 |
または、次のような手順もある。
回 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
10 リットル | 10 | 7 | 7 | 4 | 4 | 1 | 1 | 8 | 8 | 5 | 5 |
7 リットル | 0 | 0 | 3 | 3 | 6 | 6 | 7 | 0 | 2 | 2 | 5 |
3 リットル | 0 | 3 | 0 | 3 | 0 | 3 | 2 | 2 | 0 | 3 | 0 |
このような表を用いた解法とは違って、グラフを巧妙に用いた人がいる。
1939年、ツィーディー(M.C.K.Tweedie)は次のような方法を考案した。。
X軸は、7リットルの容器に入っている水の量を表し、Y軸は、3リットルの容器に入ってい
る水の量を表す。また、斜めの線は、10リットルの容器に入っている水の量を表す。
初期状態(0,0)から線に沿って移動し、点(5,0)に至る道を求めればよい。
例えば、手数 9回の表は、次のようなグラフで表される。
でも、ちょっと考えると、次のようにやる方が最も手順は少ない。
10リットルを、7リットルと3リットルの容器に、それぞれ注ぎ分ける。
7リットルと3リットルの容器を傾けて、容積を半分にする。
3リットルの容器に残った水を、7リットルの容器の方に移せば、ちょうど、5リットルと5リ
ットルに分けられたことになる。
果たして、これは、どちらが正解なのだろうか?
(参考文献:ナギビン 著 山崎 昇・宮本敏雄 訳 数学玉手箱 (東京図書)
高木茂男 著 油分け算(数学100の問題 (日本評論社))
(追記) 広島工業大学の大川研究室からコメントをいただいた。
別のページで直方体の容器を傾けるテクニックが書いてありましたが、ここは直方体と
断ってないので、最後の方法は邪道?では無いでしょうか?
確かに、上記の便法が可能なのは、直方体や円柱などのような立体の場合である。容器
というと、なぜかしら、ビーカーなどがイメージにあって、作問と解答にあたったが、当然、非
対称な容器も存在するわけで、その場合は、冒頭のような方法で考えるしかない。
(コメント) 令和5年3月9日付けで、当HP読者のHN「kino」さんからメールで次のようなご
指摘をいただいた。
そもそも傾けることが成立するのであれば、10リットルを傾けることで5リットルを得るの
が1手であり、もっとも少ない手順であると感じましたが、いかがでしょうか。
確かに、「傾ける」ことが可能ならば、1手で十分でしたね!ただし、容器が直方体や円柱
などのような立体の場合に限られますが...。