空間認識                                  戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
                                        (平成27年4月3日付け)

 平面の認識力に対して、空間での認識力にいつも悩まされている。その弱みにつけ込まれ
る問題に遭遇した。諸氏の挑戦を望む。

[問題] 8個の点(x,y,z) (x、y、z は、0 または 6 )を頂点とする立方体の中に点P(e,π,)
    をとる。立方体の各面の対称点(6個存在)を頂点とする多面体(4角錐が2つ合わさる)
    と元の立方体との共通部分の体積は?


































(答え) DD++さんが考察されました。(平成27年4月3日付け)

 立体を頭の中で思い浮かべて感覚的に解答すると、元の立方体の1/6がはみ出るので180?


 GAI さんからのコメントです。(平成27年4月3日付け)

 正解です。どうして感覚でわかるんですか?中の点P(e,π,)には目もくれないんです
ね。イヤー、半日かけて切り取られる立体の8カ所を一つ一つ計算してその合計を全体から
差し引いて、やっとのことで、「180」に辿り着いたというのに・・・。人により同じものを見てい
ても、認識している内容は全く異なったものを見ているんだな〜。恐れ入りました。


 DD++さんからのコメントです。(平成27年4月3日付け)

 実のところ、立体がどんな形になっているのか正確に描けと言われたら多分答え出した後
の今でも厳しいです。なんとなくで思い浮かべたものしか頭の中にないので。それでも解けた
のは目の前の問題に挑む前に話を簡易化して考えてみたからだと思います。

 まず、二次元で同じようなことを考えてみると、できる四角形がもとの正方形の頂点を掠め
ていくことが想像できます。これに対応する性質が三次元でもきっとあるだろうと考えてみると、
八面体の頂点のうち4つを通るような平面でざっくり切ってやると今の二次元の話と同じ図形
ができるようなので、4点と4辺が3セットつまり立方体の12の辺の途中の点を八面体の12の
辺がそれぞれ掠めているらしいと予想できます。

 で、ここまで考えてから体積計算。

 これもやはりいきなり本丸ではなく分かり易いものから行きました。

 まず、Pが仮に(0,0,0)に限りなく近い場所だった場合、八面体はほとんど直角三角錐と
いえる形になります。辺を掠める場所もほとんど頂点になるはずなので、直角三角錐の各辺
の中点を頂点に持つような立方体という形になっていて、これなら立方体の三頂点を通る断
面で切ったようなものがはみ出ていることはなんとか想像できる範疇です。

 ということで、「ああ、1/6がはみ出たなあ」と。

 で、次に、P(3,0,0)にしてみて、今の話がどう変更されるか考えてみます。

 平面 x=3 で切った方が良さそうなのでどうにか切り分けてみると、しばらく唸った後「あれ、
はみ出るのが2箇所になっただけでさっきと同じじゃないか?」と気づくことになります。

 ということで、本当はここから (3,3,0)、(3,3,3)、(e,0,0)、(e,π,0)、(e,π,) という
順で本丸に至ろうかと思っていたのですが、全部すっ飛ばして、「八分割すれば、枠が立方体
だろうと直方体だろうと、内部の点をどこに取ろうと1/6がはみ出る予感がする!」ということ
で、答えを出しました。

 実は、「そういえばはみ出る形って直角三角錐8個だったのか」となったのは答え書いた後。


 りらひいさんからのコメントです。(平成27年4月5日付け)

 GAIさんが紹介してくださった問題を発展させて次の問題を考えていました。正しいかどうか
確証は持てませんが、自分の中ではすでに解決しました。

[問題] 16個の点(x,y,z,w) (x、y、z、w は 0 または 6 )を頂点とする正八胞体の中に点P
     (e,π,,tan1)をとる。正八胞体の各胞に関するPの対称点(8個存在)を頂点とす
     る十六胞体と元の正八胞体との共通部分の超体積は?

 さらに一般化

 一辺の長さがLのn次元超立方体Gの内部に点Pをとる。Gの各ファセットに関するPの対称
点(2n個存在)を頂点とするn次元ポリトープ(2n個のファセットを持つ)をBとしたとき、BとGと
の共通部分の超体積を求めよ。

※n次元超立方体の代わりに、2次元の長方形、3次元の直方体をn次元へ一般化した図形
 でもいいと思います。(この場合は辺の長さをL1,…,Lnとする。)


 DD++さんからのコメントです。(平成27年4月6日付け)

 正八胞体の半分、648でしょうか。後半は、自信ないですが、Ln・(2n-n)/n! でしょうか。検
算するとn=4までは計算合うので多分あってると思いますが。


 りらひいさんからのコメントです。(平成27年4月6日付け)

 両方とも私が導いた答えと一致していますので、多分あっているのではないでしょうか。
(自信ないですが。)

 私の考え方の道筋も書いておこうと思います。

 Bから超立方体Gの外側に飛び出している部分を引くという方針で行きます。Bの超体積V
は、(2n/n!)・Ln です。

 GのファセットのひとつをF1として、F1がのっているn-1次元超平面でBを切断すると、切り
離された図形はBのひとつの頂点を頂点とするn次元の錐体であり、その錐体の底面に相当
するn-1次元面はF1に内接する図形です。

 F1と平行なもう一つのGのファセットF1’についても同様にすると、Bを切断してできた図形
は錐体になり、その底面はF1の側の錐体の底面と合同になります。

 この二つの錐体の底面を張り合わせてn次元の双錐体を作ると、その図形はBと相似でそ
の相似比は1/2となります。

 よって、この錐体二つ分の超体積は、V・(1/2)nとなります。

 Gには平行なファセットがn組あり、そのすべて同様の議論ができます。また、この切り離さ
れた部分は互いに重なり合ってはいないため、切り離される部分全体の超体積は単純に足
し合わせればよく、V・n/2nとなります。

 よって、求める図形の超体積は、 V・(1-n/2n) = ((2n-n)/n!)・Ln となります。(と思います。