等比数列の和
ある整数 A をある数 r ( r>1)倍してできる整数を B とし、さらに、B
を r 倍してできる
整数を C とする。
このとき、 A+B+C=3700000
となるように、A、B、C の値を定めよ。
(答) A=900000、B=1200000、C=1600000
(解は、これただ一つのみ。らすかるさんに検証いただきました!謝謝!)
また、らすかるさんは、上記の解とはならないが、ほぼ解に等しいものとして、次の3つ
の数を見いだされた。
A=758938、B=1161985、C=1779077
公比は、ほぼ 1.5310670963・・・ で、違いは、881874571930分の1
しかない
という。何となく、こちらの数の方が味があっていいですね!
(追記) 平成20年2月17日付け
最近、上記の問題を、
ある整数 A をある数 r (r>1)倍してできる整数を B とし、さらに、
B を r 倍して
できる整数を C とする。
このとき、 A+B+C=37 となるような A 、 B 、 C の組はただ一つしかない。
このとき、 A の値を求めよ。
という形にして、塾生達に手計算で求めさせてみた。
何人かの塾生が、山勘(?)で、「 A=9 、 r=4/3 」を見いだしていた。頼もしい限り
である。
この問題を手計算で求めることは、かなり大変だ!以下に、その計算の実際を掲げてお
くことにしよう。
「条件を満たすような A 、 B 、 C の組はただ一つしかない!」という前提で解を進める。
この前提がないと、途端に途方に暮れてしまう。
いま、 r が自然数と仮定すると、 A+B+C=A(1+r+r2)=37 において、
1≦A<37 、 1+r+r2 は自然数で、 37が素数であることから、
A=1 、 1+r+r2=37
このとき、 r2+r−36=0 を満たす自然数は存在しない。これは、r が自然数と仮定
したことに矛盾する。よって、条件を満たす r は自然数ではありえない。
次に、 r が有理数と仮定する。このとき、
r=q/p ( p、q は互いに素な自然数で、q>p を満たす)
と書ける。 A(1+r+r2)=37 に代入して整理すると、
A(p2+pq+q2)=37p2
1≦A<37 で、 37が素数であることから、 p2+pq+q2 は37の倍数となる。
いま、 p2+pq+q2=37 としてみると、 p に関する2次方程式
p2+pq+q2−37=0
は整数解、すなわち、実数解を持つので、
判別式 D=q2−4(q2−37)=148−3q2≧0
上記を満たす q の値は、 q=2、3、4、5、6、7 である。
q=2 のとき、 p2+2p−33=0 この式を満たす自然数解はない。
q=3 のとき、 p2+3p−28=0 より、 (p+7)(p−4)=0 なので、 p=4
q>p が成り立たないので不適。
q=4 のとき、 p2+4p−21=0 より、 (p+7)(p−3)=0 なので、 p=3
q>p が成り立つので、これが求める解である。
以上から、 r=4/3 で、 A=p2=9 となる。
(追記) 平成22年5月30日付け
いま、上記の解を見直してみると、「条件を満たす組はただ一つしかない!」という前提で
解いていることに、やはり違和感を感じる。
このことについて、当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんから一般的な証明を
ご教示いただいた。(平成22年5月28日付け)
ある整数 A をある数 r (r>1)倍してできる整数を B とし、さらに、
B を r 倍して
できる整数を C とする。
このとき、 A+B+C=37 となるような A 、 B 、 C の組はただ一つしかない。
このとき、 A の値を求めよ。
(解) A、B、C は整数なので、r は有理数である。よって、
r=q/p (p、q は互いに素な自然数で、q>p)
とおける。このとき、 B=Ar=Aq/p 、C=Br=Aq2/p2 となる。
A+B+C=37 なので、 A(1+q/p+q2/p2)=37 すなわち、
A(p2+pq+q2)=37p2
ここで、 Aq2=(37p−Ap−Aq)p において、p、q は互いに素なので、
A=A’p (A’は整数)
とおける。上式に代入して、 A’pq2=(37p−A’p2−A’pq)p から、
A’q2=37p−A’p2−A’pq=(37−A’p−A’q)p
よって、同様に、 A’=a・p (a は整数) とおける。
このとき、 a・p2(p2+pq+q2)=37p2 から、 a・(p2+pq+q2)=37
p2+pq+q2>1 で、37は素数であることから、 a=1 でなければならない。
ここで、 p2+pq+q2=37 より、 3p2<37 なので、 p=1、2、3
p=1 のとき、 1+q+q2=37 より、 q2+q−36=0
この方程式を満たす自然数解は存在しない。
p=2 のとき、 4+2q+q2=37 より、 q2+2q−33=0
この方程式を満たす自然数解は存在しない。
p=3 のとき、 9+3q+q2=37 より、 q2+3q−28=0
(q+7)(q−4)=0 から、 q=4
したがって、求める3数 A、B、C は、
A=a・p2=9 、B=A・(4/3)=12 、C=B・(4/3)=16 (終)
(コメント) FNさん、ありがとうございます。スッキリしました!
FNさんの解に対して、らすかるさんが別解を考えられた。(平成22年5月29日付け)
(別解) 公比を、r=q/p (p、q は互いに素な自然数で、q>p)とおくと、
A(p2+pq+q2)=37p2
B(p2+pq+q2)=37pq
C(p2+pq+q2)=37q2
右辺の最大公約数は素数37であり、A、B、C<37 なので、 p2+pq+q2=37
よって、 A=p2 、B=pq 、C=q2 と書ける。
このとき、 p2+pq+q2=37 において、
q=3 で、p=2 としてみると、 p2+pq+q2=22+2・3+32=19<37
q=6 で、p=1 としてみると、 p2+pq+q2=12+1・6+62=43<37
なので、 q=4 または q=5 であることが分かる。
q=5 とすると、 p2+pq+q2=p2+5p+25
ここで、 p=1、2、3、4 を代入してみると、 p2+pq+q2=37 を満たすものは
ない。
q=4 とすると、 p2+pq+q2=p2+4p+16
ここで、 p=1、2、3、4 を代入してみると、 p2+pq+q2=37 を満たすものは
p=3 のときのみである。
以上から、 A=9 、B=12 、C=16 である。 (終)
FNさんの解を受けて、らすかるさんが冒頭の問題の解法のアプローチを示された。
(平成22年5月29日付け)
ある整数 A をある数 r ( r>1)倍してできる整数を B とし、さらに、B を r 倍して
できる整数を C とする。
このとき、 A+B+C=3700000 となるように、A、B、C の値を定めよ。
(解) 公比を、r=q/p (p、q は互いに素な自然数で、q>p)とおくと、
A(p2+pq+q2)=3700000p2
B(p2+pq+q2)=3700000pq
C(p2+pq+q2)=3700000q2
ここで、 p2+pq+q2 は、2でも5でも割り切れない。
実際に、p、q は互いに素なので、少なくとも一方は奇数である。
このとき、p2+pq+q2 は、奇数なので、2では割り切れない。
また、p、q は互いに素なので、両方とも5の倍数であることはない。
p、q の一方のみが5の倍数のとき、p2+pq+q2 は明らかに5で割り切れない。
p、q の両方とも5の倍数でないとする。
p≡q (mod 5)のとき、
p2+pq+q2≡3p2 (mod 5) となり、5で割り切れない。
p≡q (mod 5)でないとき、 p3≡q3 (mod 5)でないので、
(p−q)(p2+pq+q2)=p3−q3 は、5で割り切れない。
よって、 p2+pq+q2 は5で割り切れない。
したがって、A、B、C は、100000の倍数となり、「A+B+C=37」の問題に帰着
される。
よって、解は、A=900000、B=1200000、C=1600000 のみである。 (終)
(コメント) らすかるさん、ありがとうございます。冒頭の問題が、何も考えずに作った問題
に帰着されるなんて不思議な気分です!
上記の解で、「 p2+pq+q2 は5で割り切れない」ことは、次のようにしても示される。
p、q は互いに素なので、両方とも5の倍数であることはない。
p、q の一方のみが5の倍数のとき、p2+pq+q2 は明らかに5で割り切れない。
そこで、 p≡1、q≡1 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡3 (mod 5)
p≡1、q≡2 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡2 (mod 5)
p≡1、q≡3 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡3 (mod 5)
p≡1、q≡4 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡1 (mod 5)
p≡2、q≡1 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡2 (mod 5)
p≡2、q≡2 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡1 (mod 5)
p≡2、q≡3 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡4 (mod 5)
p≡2、q≡4 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡3 (mod 5)
p≡3、q≡1 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡3 (mod 5)
p≡3、q≡2 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡4 (mod 5)
p≡3、q≡3 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡2 (mod 5)
p≡3、q≡4 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡2 (mod 5)
p≡4、q≡1 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡1 (mod 5)
p≡4、q≡2 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡3 (mod 5)
p≡4、q≡3 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡2 (mod 5)
p≡4、q≡4 (mod 5) のとき、 p2+pq+q2≡3 (mod 5)
よって、何れの場合も、p2+pq+q2 は5で割り切れない。
(コメント) 16通りに場合分けして示すよりも、らすかるさんの証明の方が素敵ですネ!