AD=6cmの正方形の形をしたケーキがある。このケー キを3等分するところ、お父さんが何を思ったのか、OEと 包丁を入れてしまった。(Oは正方形の中心) 実はお父さんには深遠なる策略があったのだが、それ に気づいてくれない家族は、「お父さんのミス!」とお父さ んを責めるばかり。 怒ったお父さんは、包丁を放り出して、何処かへ行って しまった。 |
果たして、お父さんはケーキをどう切ろうとしたのでしょうか?お父さんの意を汲んで、ケ
ーキの切り方を考えてください。
(答) 下の線に沿って切る。
多分、お父さんは、 6×6÷3=12 と考えて、
(6+AE)×3÷2=12 から、 AE=2 としたのだろう。
らすかるさんは、次のように考えられたそうです。(平成23年5月4日付け)
中心Oから引いた直線で切り分けるとき、 (面積比)=(周囲の長さの比)
なので、 6×4÷3=8 より、8−6=2(cm) のところから包丁を入れ
ればよい。
(コメント) らすかるさんの考え方の方が簡明ですね!
真意が伝わらなくて、かわいそうなお父さんですね!でも、日本のどこの家庭でもこんなこ
とは日常茶飯事に起こっていることかも...。
そもそもケーキがキッチリ6cm×6cmの正方形であることはあまり現実味がない。まして、
そのケーキを3等分するために定規でキッチリ2cmを測るなんてことは普通しない。
一般家庭では、アバウトに目分量で切り分けていると思う。ただ、兄弟が多い場合は、「そ
っちの方が多い!」「こっちは少ない!」などという感情的なバトルが起こることも...。
いかに公平にケーキを切り分けるかのキーポイントは、
ケーキを切る人とケーキを最初に取る人を別にすることである
ということを、最近、次の書籍
芳沢光雄 著 「3」の発想 (新潮選書)
で知ることができた。
こう考えると、上記のお父さんの苦労をしなくても済むわけだ!
◇ 一つのケーキを、A、B の2人で公平に分けたい場合
まず、Aがケーキを切る。Aは2等分していると思っているから、
P、Qのどちらを取ることになっても異論はない。
AがP、Qの2つに切り分けたケーキのうちのどちらかを、Bが
取る。もちろん、Bから異論は出ない。残りをAが取る。
かくして、A、Bの両者に不平不満が出ない形で、公平に2等分されたと考えてよい。
◇ 一つのケーキを、A、B、C の3人で公平に分けたい場合
この場合は、2人のときとは若干異なる手順が必要である。
まず、Aがケーキを切る。Aは3等分していると思っているから、
Pを取ることになっても異論はない。
問題は、B、Cの意見である。2人がともにPが1/3以下と思って
くれれば、AはPを取り、Qについての2等分の問題に帰着される。
まず、Bだけが「Pは1/3より多いんじゃない?」と主張した場合(Cだけのときも同様)
Bに1/3になるようにPを切らせる。すると、Bにとっては、P’は
1/3と思っているから、P’を取ることになっても異論はない。Rは
余りである。そこで、BはP’を取り、Q+Rについての2等分の問
題に帰着される。
次に、BおよびCが「Pは1/3より多いんじゃない?」と主張した場合
Bに1/3になるようにPを切らせる。すると、Bにとっては、P’は
1/3と思っているから、P’を取ることになっても異論はない。Rは
余りである。次に、CがP’を1/3以下と思ってくれれば、BはP’
を取り、Q+Rについての2等分の問題に帰着される。
問題は、Cが「P’はまだ1/3より多いんじゃない?」と主張する場合である。
そのときは、Cに1/3になるようにP’を切らせる。すると、Cにとっては、P”は1/3と思って
いるから、P”を取ることになっても異論はない。Sは余りである。
そこで、CはP”を取り、Q+R+Sについての2等分の問題に帰着される。
(コメント) 異を唱えるものに気が済むまで切り取らせるというのが極意なんですね!最初
の方で切り取った人は、1/3で切り分けたと思っていて、それに余りが加わってく
るので、ほくそ笑むことはあっても異論が出ることはないということですか。