平方数を作る
1から15までの15個の整数を、次の条件を満たすように並べかえて下さい。
条件 : 隣り合う2数の和は、常に平方数
どのように並べたらいいのでしょうか?
(答) 平方数の可能性は、 4 、9 、16 、25 の4通りしかない。
ところで、各数について、平方数となる組合せを調べると下表のようになる。
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左の表を眺めていると、「8」と「9」が特 別な数であることに気づく。 平方数となりうる数の組合せが1組し かないことから、15個の数を並べたとき 「8」と「9」は両端にくることが分かる。 しかも、最初が「9」で始まれば、最後 は、「8」であり、最初が「8」であれば、 最後は、「9」であり、それらは互いに対 称の関係にある。 |
1つの並べ方を例示すれば、次のようになる。
9 、7 、2 、14 、11 、5 、4 、12 、13 、3 、6 、10 、15 、1 、8
( 6 のところで、1を選ぶ可能性もあるわけだが、この場合は不適である。)
(注) このような性質をもつ数列は、14以下では絶対に作れないことが知られている。
「隣り合う2数の和が平方数」という条件から、「 1 から n (n≧2)までの整数」について
考えるのが自然であろう。
いま、1 から n (n≧2)までの整数について、隣り合う2数の和は、常に平方数であるよ
うに並べられるものとする。そのように並べられた数列を、 A = { an } とおく。
n≧2 より、 2∈A なので、 2に隣り合う数で平方数になるものが存在するためには、
7∈A でなければならない。
よって、 { 1、2、3、4、5、6、7 }⊂A である。
このとき、 4+5=9 (平方数)で、4 または 5 に対して、9 以外の平方数が存在する
必要があるので、 少なくとも 11∈A でなければならない。 すなわち、 n≧11
よって、 { 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11 }⊂A である。
ここで、 n≦14 と仮定する。
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左の表によると、「8」と「9」と「10」 が特別な数であることに気づく。 平方数となりうる数の組合せが1組し かないことから、14個の数を並べたとき 「8」と「9」と「10」は両端にくることが分 かる。 しかるに、そのような性質を持つ数が 3つあることはありえない。 よって、 n ≧ 15 でなければならな い。 |
(参考文献:数学オリンピック財団 編 数学オリンピック1998〜2003 (日本評論社))
(追記) 平成22年10月26日付け
当HPがいつもお世話になっているHN「FN」さんが、上記の問題の拡張を考えられた。
n を自然数とする。1から n までの n 個の自然数を隣り合う2数の和が常に平方
数になるように並べかえることが可能であるのは、n がどのような数であるときか。
n が14以下のとき不可能であることは証明されている。(もっとも、n=1
のときは、隣り
合う2数はないから可能とみなすこともできるが...。)
上記で、n=15 のとき可能であることは示されている。そのときの両端が9と8なので、
16、17をその隣におけば、その隣り合う2数は平方数になるので、n=16、17のときも
可能である。 n=18、19、20 あたりは不可能なようである。
n=15、16、17 以外にこのような並べかえが可能な n はあるのだろうか?あるとす
れば、それはどのような数であろうか?
この問いかけについて、FNさんが考察された。(平成22年11月 3日付け)
n≧18 で考えるが、まず、18≦n≦24 とする。
n=18 のとき
18の隣にくるのは、7しかない。従って、18は端で、その隣は7である。このとき、
左端が18で、その隣が7としてよい。 18、7、・・・
16の隣にくるのは、9と20しかない。(n=18、19のときは、9のみ)
20の隣にくるのは、5と16しかない。
9の隣にくるのは、7と16しかない。
7の隣にくるのは、18以外では、2と9しかない。
9が右端にくるか、そうでなければ、7、9、16 と続くしかないから、次のどちらかである。
(1) 18、7、2、・・・、5、20、16、9
(2) 18、7、9、16、20、5、・・・
何れにしても、「20」はないから、n=18のときは不可能。
(コメント) n=18のとき、不可能であることは、下図のグラフを見れば一目瞭然である。
端点が3個存在するので、一筆書きで各数字を結ぶことはできない。
n=19 のとき
19の隣にくるのは、6と17の2つあり、19は並びの途中に出現する。従って、n=18の場
合と同様で、次のどちらかである。
(1) 18、7、2、・・・、5、20、16、9
(2) 18、7、9、16、20、5、・・・
何れにしても、「20」はないから、n=19 のときは不可能。
n=20 のとき
5の隣は、20以外では、4、11だけである。
11の隣は、5以外では、14だけであるから、11は5につづけるか右端しかないから、次
のどれかである。
(1) 18、7、2、・・・、14、11、5、20、16、9
(2) 18、7、9、16、20、5、11、14、・・・
(3) 18、7、9、16、20、5、4、・・・、14、11
2の隣は既に使われている7、14以外では、23だけである。
よって、n=20 のときは、「23」はないから、(1)(2)(3)の何れも不可能である。
同様にして、n=21、22 のときも不可能である。
以上で、n=18、19、20、21、22 では不可能であることがわかったが、n=23 のと
きは可能である。例えば、
18、7、2、23、13、12、4、21、15、10、6、19、17、8、1、3、22、14、11、5、20、16、9
(他にも解はあります!)
n=24 は不可能なようです。しかしもう少し書き方を工夫しないと大変長くなってしまい
そうです。n≧25は、ほとんど考えていません。n が大きくなるほうが楽になるような気は
しますから、可能である場合が多そうですが、わかりません。
(コメント) FNさんに感謝します。
n=30 までの平方数になる数の組合せの表を作ってみた。
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左の表によると、「18」 が特別な数であることに 気づく。 平方数となりうる数の組 合せが1組しかないことか ら、「18」は両端にくること が分かる。 ただし、n≦30 |
果たして、n≦30の範囲に可能な場合はあるのだろうか?
これに対して、らすかるさんが調査されました。(平成22年11月4日付け)
n=40 ぐらいまで計算して、数列サイトで検索しました。
http://www.research.att.com/~njas/sequences/A071983
n=15〜45の解が何通りあるかが書かれています。解の一例を以下に書きます。32以
上では巡回解(先頭と末尾の和も平方数)がありますので、巡回解の一例を書いています。
15:8
1 15 10 6 3 13 12 4 5 11 14 2 7 9
16:8 1 15 10 6 3 13 12 4 5 11 14 2 7 9
16
17:16 9 7 2 14 11 5 4 12 13 3 6 10 15 1 8 17
23:9 16 20 5 11 14 22 3 1 8 17 19 6 10 15 21 4 12 13 23 2 7 18
25:9 16 20 5 4 21 15 10 6 19
17 8 1 3 22 14 11 25 24 12 13 23 2 7 18
26:9 16 20 5 11 25 24 12 4 21 15
1 8 17 19 6 10 26 23 13 3 22 14 2 7 18
27:18 7 2 14 11 5 20 16 9 27 22 3
13 23 26 10 6 19 17 8 1 15 21 4 12 24 25
28:18 7 2 14 11 5 20 16 9 27 22
3 6 19 17 8 28 21 4 12 13 23 26 10 15 1 24 25
29:18 7 29 20 16 9 27 22 3
13 12 4 5 11 14 2 23 26 10 6 19 17 8 28 21 15 1 24 25
30:18 7 29 20 16 9
27 22 3 13 12 4 5 11 14 2 23 26 10 6 30 19 17 8 28 21 15 1 24 25
31:1 15
10 6 30 19 17 8 28 21 4 5 31 18 7 29 20 16 9 27 22 3 13 12 24 25 11 14 2 23
26
32:1 8 28 21 4 32 17 19 30 6 3 13 12 24 25 11
5 31 18 7 29 20
16 9 27 22 14 2 23 26 10 15
33:1 8 28 21 4 32 17 19 30 6 3 13 12 24 25
11
5 20 29 7 18 31 33 16 9 27 22 14 2 23 26 10 15
34:1 3 13 12 4
32 17 8 28 21 15 34 30 19 6 10
26 23 2 14 22 27 9 16 33 31 18 7 29 20 5
11 25 24
35:1 3 6 19 30 34 2 7 18 31 33 16 9 27 22 14 11
25 24 12
13 23 26 10 15 21 28 8 17 32 4 5 20 29 35
36:1 3 6 19 30 34 2 23 26 10 15
21 4 32 17 8 28
36 13 12 24 25 11 5 20 29 7 18 31 33 16 9 27 22 14
35
37:1 3 22 14 35 29 20 5 11 25 24 12 37 27 9 16 33
31 18 7 2 34
15 21 4 32 17 19 30 6 10 26 23 13 36 28 8
38:1 3 33 16 9 7 18 31 5 20 29
35 14 22 27 37 12
13 36 28 8 17 32 4 21 15 10 6 19 30 34 2 23 26 38 11
25 24
39:1 3 22 14 2 7 18 31 33 16 9 27 37 12 24 25 39
10 6 19 30
34 15 21 4 32 17 8 28 36 13 23 26 38 11 5 20 29 35
40:1 3 6 19 30 34 2 7
18 31 33 16 9 40 24 25 39 10
15 21 28 36 13 23 26 38 11 5 20 29 35 14 22
27 37 12 4 32 17 8
41:1 3 6 10 39 25 24 12 37 27 22 14 35 29 20 5 11
38
26 23 13 36 28 8 41 40 9 16 33 31 18 7 2 34 30 19 17 32 4 21
15
42:1 3 6 10 15 21 4 32 17 19 30 34 2 14 22 27 37 12 24
25 39
42 7 18 31 33 16 9 40 41 8 28 36 13 23 26 38 11 5 20 29 35
43:1 3 6 10 15
21 43 38 26 23 2 34 30 19 17 32 4 5 11 14
22 42 39 25 24 40 41 8 28 36
13 12 37 27 9 7 18 31 33 16 20 29 35
44:1 3 6 10 15 21 43 38 26 23 2 34
30 19 17 32 4 5 11 14
22 27 9 16 33 31 18 7 42 39 25 24 40 41 8 28 36 13
12 37 44 20 29 35
45:1 3 6 10 15 21 43 38 26 23 13 12 24 25 39 42 22 14
11 5
44 37 27 9 40 41 8 28 36 45 4 32 17 19 30 34 2 7 18 31 33 16 20 29
35
46:1 3 6 10 15 21 43 38 26 23 13 12 24 25 39 42 22 14 11 5
44
37 27 9 40 41 8 28 36 45 4 32 17 19 30 34 2 7 29 20 16 33 31 18 46
35
47:1 3 6 10 15 21 43 38 26 23 13 12 4 32 17 47 2 34 30 19 45
36 28 8 41 40 9 7 29 20 16 33 31 18 46 35 14 11 5 44 37 27 22 42 39 25
24
48:1 3 6 10 15 21 43 38 26 23 13 12 4 32 17 47 2 34 30 19 45
36 28 8 41 40 9 7 29 20 16 48 33 31 18 46 35 14 11 5 44 37 27 22 42 39 25
24
49:1 3 6 10 15 49 32 4 5 11 14 2 7 9 27 22 42 39 25 24 40 41 8
17 47 34 30 19 45 36 28 21 43 38 26 23 13 12 37 44 20 29 35 46 18 31 33 16
48
50:1 3 6 10 15 49 32 4 5 11 14 50 31 18 46 35 29 7 9 27 22 42
39
25 24 40 41 8 17 47 2 34 30 19 45 36 28 21 43 38 26 23 13 12 37 44 20
16 33 48
(コメント) n=25、26、27、28、29、30、・・・ と解は存在するんですね!らすかるさん
に感謝します。
上記で、FNさんは、n=23のときの一つの並び
18、7、2、23、13、12、4、21、15、10、6、19、17、8、1、3、22、14、11、5、20、16、9
をあげられ、「他にも解はあります!」とのことだった。らすかるさんのあげられた並びは、
FNさんのものと同じである。
他の解を探索するために、上記で求めた表をグラフ化してみた。(ただし、n=23)
このグラフを用いると、他の並びとして、
18、7、9、16、20、5、11、14、22、3、1、8、17、19、6、10、15、21、4、12、13、23、2
18、7、9、16、20、5、11、14、2、23、13、12、4、21、15、10、6、19、17、8、1、3、22
の2つがあることが分かる。
以下工事中