1×2のタイル | を用いて、次の3×2の図形 |
を埋め尽くすことを考える。1×2のタイルは、縦にも横にもしてよいものとする。
このとき、埋め尽くす方法は、明らかに 3通りある。(ただし、色は区別しないものとする。)
同様にして、3×4の図形
を埋め尽くす方法は、全部で11通りある。
そこで、問題です。
(1) 3×6の図形
を埋め尽くす方法は、全部で何通りあるか?
(2) 3×8の図形
を埋め尽くす方法は、全部で何通りあるか?
(答)(1) 41通り (2) 153通り
3×4の図形
を埋め尽くす方法の数は、上記では漏れなく重複なく数え上げたが、その11通りは、
のように、
と、真ん中でくっきり分断される場合と
のように、真ん中でくっきりとは分断されない場合に場合分けされる。
分断される場合は、3×2の図形の埋め尽くす方法の数 3 通りを用いて、
3×3=9(通り)
分断されない場合は、上図のように2通りあるので、
従って、求める場合の数は、 9+2=11(通り) と求められる。
このような見方、考え方をすれば、3×6の図形の場合も、全てを数え上げなくても計算で
求めることが可能である。
(1)(イ) 分断線が2箇所ある場合
3×2の図形が3連の場合なので、この条件で 埋め尽くされる方法の数は、 3×3×3=27(通り) |
(ロ) 分断線が1ヶ箇所のみの場合
3×2+2×3 =12(通り) |
(ハ) 分断線がない場合
この場合の埋め尽くす方法は、次の2通りしかない。
以上から、3×6の図形を埋め尽くす方法の数は、
3×3×3+3×2+2×3+2=27+12+2=41(通り)
となる。
(2) (1)と同様に分類して、
3×3×3×3+3×3×2+2×3×3+3×2×3+3×2+2×2+2×3+2=153(通り)
であることが分かる。
(追記) 令和3年10月10日付け
上記で
1×2のタイル | を用いて、 |
3×2の図形を埋め尽くす方法の数は、 3通り
3×4の図形を埋め尽くす方法の数は、 11通り
3×6の図形を埋め尽くす方法の数は、 41通り
3×8の図形を埋め尽くす方法の数は、 153通り
であることを知った。
3×1の図形を埋め尽くす方法の数は、明らかに、 1通り であるので、
数列 1,3,11,41,153,・・・ が得られる。
この数列を「オンライン整数列大辞典」に問い合わせると、「A001835」や「A079035」が
ヒットした。
それらのページでは、「ドミノを用いて、3×2nの長方形を埋め尽くす方法の数 an」が調
べられている。(ドミノ=2つの正方形をつなげた形)
数列{an} について、漸化式
a1=1、a2=3、an+2=4an+1−an (n=1,2,3,・・・)
が成り立つという。
例 a3=4a2−a1=4×3−1=11
a4=4a3−a2=4×11−3=41
a5=4a4−a3=4×41−11=153
で、確かに、これまでの結果と一致する。
果たして、この漸化式は、どうやって作ったのだろうか?
(追記) 令和3年10月11日付け
3×2nの図形を1×2のタイルで埋め尽くす方法の数をan通りとおく。
漸化式を考えるために、まず、3×2の図形
を埋め尽くす方法
を、次の2つの場合に分類する。
・ 3つの1×2のタイルがすべて縦1列に並ぶ場合
・ その他の場合
同様にして、3×4の図形
を埋め尽くす方法を、次の2つの場合に分類する。
・ 左端の3つの1×2のタイルがすべて縦1列に並ぶ場合
・ その他の場合で、真ん中でくっきり分断される場合
真ん中でくっきりとは分断されない場合
そこで、
左端の3つの1×2のタイルがすべて縦1列に並ぶときの埋め尽くす方法の数をxn通り
それ以外のときの埋め尽くす方法の数を、yn通りとおくとき、上図の場合から、
3×2の図形について、 a1=3 、x1=1 、y1=2 から、a1=x1+y1 である。
3×4の図形について、 a2=11 、x2=3 、y2=8 から、 a2=x2+y2 である。
このとき、 x2=1×a1=x1+y1 で、 y2=(2x1+2y1)+y1=2x1+3y1 である。
このことから、一般的に、
xn+1=an=xn+yn 、yn+1=2xn+3yn
が成り立つ。 yn=xn+1−xn を代入して、 xn+2−xn+1=2xn+3(xn+1−xn) から、
漸化式 xn+2=4xn+1−xn を得る。
DD++ さんからのコメントです。(令和3年10月12日付け)
分断線の考え方で、一番右の分断線がどこなのを考えれば、
a[n] = 3*a[n-1] + 2*a[n-2] + 2*a[n-3] + …… + 2*a[1] + 2
添字をずらして、
a[n-1] = 3*a[n-2] + 2*a[n-3] + …… + 2*a[1] + 2
これらの差をとると、 a[n] - a[n-1] = 3*a[n-1] - a[n-2] から、
a[n] = 4*a[n-1] - a[n-2]
ですかね。
(コメント) DD++ さん、ありがとうございます。左端の3×2の部分を除いて、分断されない
部分の埋め尽くす方法の数が、いつも2通りというのが急所かな?そうすれば、
連立の漸化式を立てるまでもなかったですね。
(追記) 令和3年10月17日付け
冒頭の問題で、すぐ気がつくことは、1×2のタイル | の面積は2、偶数なので、 |
この1×2のタイルを用いて、3×(2n+1)の図形を埋め尽くすことは絶対に不可能だとい
うことである。
また、3×2nの図形を1×2のタイルで埋め尽くす方法の数をan通りとおくと、数列{an}
1,3,11,41,153,・・・
から、すべての自然数 n に対して、an は奇数であることが推測されるが、漸化式
a1=1、a2=3、an+2=4an+1−an (n=1,2,3,・・・)
から、明らかなことだろう。
実際に、a1=1、a2=3 は奇数で、漸化式より、a3 も奇数となる。以下、帰納的に、
すべての自然数 n に対して、an は奇数であることが分かる。
(厳密には、数学的帰納法による)
以下、工事中!