無限級数                                  戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
                                        (令和4年3月18日付け)

 数列 {an} を an=tan(π/2^(n+3))/2^n で定義しておく。このとき、

無限級数 n=1 an の値は?





































(答) らすかるさんが考察されました。(令和4年3月18日付け)

tan(π/2^(n+3))/2^n

={tan(π/2^(n+3))}^2/{2^n*tan(π/2^(n+3))}

=1/{2^n*tan(π/2^(n+3))}-{1-{tan(π/2^(n+3))}^2}/{2^n*tan(π/2^(n+3))}

=1/{2^n*tan(π/2^(n+3))}-1/{2^(n-1)*2tan(π/2^(n+3))/{1-{tan(π/2^(n+3))}^2}}

=1/{2^n*tan(π/2^(n+3))}-1/{2^(n-1)*tan(π/2^(n+2))} (← 正接の倍角の公式)

と階差の形に変形されたので、

Σn=1 tan(π/2^(n+3))/2^n

n=1 {1/{2^n*tan(π/2^(n+3))}-1/{2^(n-1)*tan(π/2^(n+2))}}

=-1/{2^0*tan(π/2^3)}+limn→∞ 1/{2^n*tan(π/2^(n+3))}

=-1/tan(π/8)+limn→∞ 2^3/π・cos(π/2^(n+3))・{π/2^(n+3)}/sin(π/2^(n+3))

=-1/tan(π/8)+8/π・1・1

=8/π-1-


(コメント) なかなか迫力ある式変形ですね!


 GAI さんからのコメントです。(令和4年3月19日付け)

 らすかるさんって本当に凄い人ですね。変形の仕方って山ほどあると思うのですが、こうし
ていくといいだろうと、何によって導かれて進められているんですか?何となく?、こういう見
通しがあるのでそちらへ向かう?、色々やってみてこれを採用した?。

 自分も無限級数で収束するには部分分数に分けるみたいな事が必要かな?とまでは思う
んですが、それを見つけ出す回路が働きません。コンピュータでも数値だけは小数点付きの
ものは手に入れられるのですが、それの明示的式は分かりませんでした。それが正に上記
のものです。

 普通、8をπで割るなんて(πを8で割ることはあるかも)起こらないし(しかし、OEISには、
A132698」で記録されている。)、ましてこれに無理数が絡むなんて・・・・、この式を手に
入れるには色々なものを巧みに組み合わせて導く以外方法がない。いやー、これをあの短
時間でやられる手腕に感激です。


 らすかるさんからのコメントです。(令和4年3月19日付け)

 全然凄くないです。今回はちょっとズルしました。WolframAlphaに

  sum tan(pi/2^(n+3))/2^n,n=1 to inf

と入れたら部分和の式が出ましたので、その部分和の式から逆算しました。


 DD++ さんからのコメントです。(令和4年3月19日付け)

 Σn=1 tan(θ/2^n)/2^n = - cotθ + 1/θ ですかね?θ=π/8 とすれば、今回の問題
の値が得られます。

 実際に、0<θ<π として、

 sinθ = 2*sin(θ/2)*cos(θ/2)

 sin(θ/2) = 2*sin(θ/4)*cos(θ/4)

 sin(θ/4) = 2*sin(θ/8)*cos(θ/8)

  ……

 sin(θ/2^(N-1)) = 2*sin(θ/2^N)*cos(θ/2^N)

 これら全てを乗じて整理すると、

  Πn=1N cos(θ/2^n) = (sinθ/sin(θ/2^N))/2^N

 これより、 Σn=1N {- log(cos(θ/2^n))} = - log(sinθ) + log(sin(θ/2^N)) + Nlog2

 両辺を θ で微分して、

 Σn=1N tan(θ/2^n)/2^n = - cotθ + cot(θ/2^N))/2^N

 ここで、N->∞ として、 Σn=1 tan(θ/2^n)/2^n = - cotθ + 1/θ が得られる。


 GAI さんからのコメントです。(令和4年3月19日付け)

 なるほど一気に畳みかけられる訳ですね。思ってもいなかった別視点です。