点の回転                                   戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからの出題です。
                                       (平成24年5月9日付け)

  座標平面上の点A(5,3)を原点のまわりに60°回転した点Bの座標を求めよ。







































(答) 点A(5,3)に対応する複素数は、5+3i  この点を60°回転させるということは、5+3i

  と cos60°+isin60°との積に等しい。

   したがって、 (5+3i)(cos60°+isin60°)

          =(5+3i){(1/2)+(/2)i}

          ={(5/2)-(3/2)}+i{(3/2)+(5/2)}

   よって、点Bの座標は、 ((5-3)/2,(3+5)/2)


 空舟さんからのコメントです。(平成24年5月10日付け)

 原点を中心とする点の回転の話題は、三角関数の加法定理が密接に関わっていると思い
ます。複素数や行列による計算でも、普通は三角関数の加法定理によってその妥当性を得
ていると思います。

 では、三角関数の加法定理の証明はというと、チャートでは確か余弦定理を使った証明が
載っておりました。個人的には「回転写像の線形性」が重要かと思います。

 点X(5,0)と点Y(0,3)を60度回転させた点をそれぞれX'、Y'とすると、(長方形OXAYを60度
回転させたものがOX'BY' ということになります)

 ベクトルOX'+ベクトルOY' = ベクトルOB

となります。X'、Y'の座標は(三角関数の定義などから)容易に得られるでしょう。このように
点の回転を加法定理によらずに得ることができて、むしろ、ここから加法定理を導くような手
順が面白いのではないかと思います...


 S(H)さんからのコメントです。(平成24年5月10日付け)

 空舟さんの「『回転写像の線形性』が重要かと思います。」が一番本質的だと具現しており
ます。線形性のみを使い、加法定理を是非導出して下さい。(瞬時に叶います)

 直線: t(7,5,3) を含む平面を、例えば、145x + 1432y - 2725z=0 をH とする。H上の点
P(7,5,3) をH上でθ回転 した点r(θ)(P) を求めたい。
(向きに注意して、法線ベクトル(145,1432,- 2725)を参考にし、自ら定め)

(1) r(π/3)(P)を求めて下さい。

(2) r(60度+15度)(P)を求めて下さい。

 もう1次元あげて、類似の問を創作し解いて下さい。

 (1)を解いた発想で、

 座標平面上の点A(5,3)を原点のまわりに60°回転した点Bの座標を求めて下さい。


よおすけさんからのコメントです。(平成24年5月10日付け)

 空舟さん、S(H)さん、解答ありがとうございます。えっと、原点のまわりに60°なので、複素
平面や行列を習っていない場合の解法を・・・

 問題文には、原点、点A、点Bとあるので、この3点で三角形OABが作れます。原点から点

Aまでの距離と、原点から点Bまでの距離は等しいので、OA2=OB2=52+32=34

 また、∠AOB=60゜から残りの2角の∠OABと∠OBAの和は120°

 ここで、 OA=OB なので、∠OAB=∠OBA=60°から、三角形OABは正三角形。

 ここで、点B(x,y)とすると、 x2+y2=34・・・(1)  (5-x)2+(3-y)2=34・・・(2)

 (1)、(2)より、 x2+y2=(5-x)2+(3-y)2・・・(3) を整理して、-10x-6y=-34 即ち、5x+3y=17

 yについて変形すれば、 y=(17-5x)/3・・・(4)

 (1)に代入して整理すると、 34x2-170x-17=0 より、 2x2-10x-1=0

 これを解いて、 x=(5+3)/2、(5-3)/2

(4)に、xの値を代入して、それぞれ、 y=(3-5)/2、(3+5)/2

よって、Bの座標は、 ((5+3)/2,(3-5)/2) または ((5-3)/2,(3+5)/2)

 しかし、点Aは第1象限の点なので、その位置から正の方向に60°回転だと点Bの座標は

第1象限または第2象限の点になるはずだから、y>0 で、前者は不適、後者は適となる。

 以上から、点Bの座標は、 ((5-3)/2,(3+5)/2)


 よおすけさんからのコメントです。(平成24年5月13日付け)

 ひょっとしたら、点A(a,b)を原点のまわりに60°回転の場合、Bの座標は、

   B((a-b)/2,(b+a)/2)

のようになると思います。

 ただし、a=0、b=0の場合、原点と一致するので回転できないから、A(0,0)を除く。

(コメント) B=R(π/3)A なので、よおすけさんの結果は合っていますね!


 よおすけさんからのコメントです。(平成24年9月14日付け)

 もう1つ解法がありました。

 (5,3)=(rcosθ,rsinθ) (ただし、r>0)とおくと、r=√34より、cosθ=5/√34、sinθ=3/√34

 求める点の座標は、((√34)cos(θ+60°),(√34)sin(θ+60°))であるが、加法定理より、

 cos(θ+60°)=cosθcos60°-sinθsin60°=(5/√34)(1/2)-(3/√34)((√3)/2)

 sin(θ+60°)=sinθcos60°+cosθsin60°=(3/√34)(1/2)+(5/√34)((√3)/2)

よって、点Bは、((5-3√3)/2,(3+5√3)/2)

 (※) この解法は、数学U(新課程)の青チャートにも載っています。