パズル2019(2)
当HP読者のHN「3156」さんからの出題です。(平成31年1月5日付け)
問題 3辺の長さが a、b、c (a、b、c は自然数で、a<b<c) で、1つの内角が120°の
三角形がある。次を満たす a、b の値を求めよ。
(1) c=19
(2) c=31
(3) c=2019
(答) 題意より、 a2+b2+ab=c2 を満たす a、b の値を求めればよい。
(1) c=19 のとき、 a2+b2+ab=361
a<b なので、 3a2<361 より、 a2<120
a は自然数なので、 a=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10
このうち、 D=1444−3a2 が平方数になるのは、a=5 のみで、このとき、
25+b2+5b=361 すなわち、 b2+5b−336=0
よって、 (b+21)(b−16)=0 より、 b=16
以上から、 a=5 、 b=16
(2) c=31 のとき、 a2+b2+ab=961
a<b なので、 3a2<961 より、 a2<320
a は自然数なので、
a=1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17
このうち、 D=3844−3a2 が平方数になるのは、a=11 のみで、このとき、
121+b2+11b=961 すなわち、 b2+11b−840=0
よって、 (b+35)(b−24)=0 より、 b=24
以上から、 a=11 、 b=24
(3) c=2019 のとき、 a2+b2+ab=4076361
a<b なので、 3a2<4076361 より、 a2<1358787
a は自然数なので、 a=1、2、3、・・・、1165
このうち、 D=16305444−3a2 が平方数になるのは、 a=1131 のみで、
このとき、 1279161+b2+1131b=4076361 すなわち、
b2+1131b−2797200=0
よって、 (b−1200)(b+2331)=0 より、 b=1200
以上から、 a=1131 、 b=1200
(コメント) Excel さんにお手伝いいただいて解きました。
らすかるさんが考察されました。(平成31年1月6日付け)
条件から、 c^2=a^2+ab+b^2 で、両辺を4倍し、 4a^2+4ab+4b^2=4c^2
すなわち、 3a^2+(a+2b)^2=4c^2 から、 3a^2=4c^2-(a+2b)^2 なので、
3a^2={2c+(a+2b)}{2c-(a+2b)}
従って、「足して4c、掛けて3a^2になるような2数の組合せ」がわかれば、答えが導けます。
また、a=b とすると、3a^2=c^2 から a=c/√3 ですから、a<b<c ならば a<c/√3 となりま
す。
そして、 (a+2b)^2=4c^2-3a^2>4c^2-c^2=3c^2 から a+2b>(√3)c なので、
2c-(a+2b)<2c-(√3)c=(2-√3)c により、「足して4c、掛けて3a^2になるような2数」の小さい
方は、(2-√3)c 未満です。
(1) c=19 から 4c=76 で、10<c/√3<11 から a≦10
5<(2-√3)c<6 から2数の小さい方は、5 以下
よって、足して 76、掛けて 3a^2 となる2数(小さい方は、5 以下)は、
(1,75)→a=5となり条件を満たす
(2,74)→積が3で割り切れない
(3,73)→aが√73となり整数にならない
(4,72)→aが4√6となり整数にならない
(5,71)→積が3で割り切れない
により、(1,75) だけであり、a=5、b=(2c-a-1)/2=16 となります。
従って、条件を満たす組は、(a,b,c)=(5,16,19)
(2) c=31 から 4c=124 で、17<c/√3<18 から a≦17
8<(2-√3)c<9 から2数の小さい方は、8 以下
よって、足して 124、掛けて 3a^2 となる2数(小さい方は、8 以下)は、
(1,123)→a=√41でNG
(2,122)→積が3で割り切れない
(3,121)→a=11でOK
(4,120)→a=4√10でNG
(5,119)→積が3で割り切れない
(6,118)→a=2√59でNG
(7,117)→a=√273でNG
(8,116)→積が3で割り切れない
により、(3,121) だけであり、a=11、b=(2c-a-3)/2=24 となります。
従って、条件を満たす組は、(a,b,c)=(11,24,31)
(3) c=2019 から 4c=8076 で、1165<c/√3<1166 から a≦1165
540<(2-√3)c<541 から2数の小さい方は、540 以下
よって、足して 8076、掛けて 3a^2 となる2数(小さい方は、540 以下)を
考えればよいわけですが、8076 が 3 で割り切れることから、2数と a は
いずれも 3 の倍数となりますので、最初から 3 で割って、「足して 2692、
掛けて 3(a/3)^2 となる2数(小さい方は、180 以下)」で考えます。
これを総当たりしていくのは少々大変ですので、候補の2数を挙げて絞
る方式にします。
2692=2^2×673 なので、2数のいずれかが 2、3 以外の素因数 p を奇
数個持つと、他方は p で割り切れず、3(a/3)^2 の形になりません。
よって、2数は、2^p×3^q×(自然数)^2 の形だけ考えれば十分です。
2数の p は、(0,0)、(1,1) のいずれかの組、2数の q は、(0,1) と考えて
差し支えありません。
(素因数 2 や 3 を2個以上持つような場合は、正の偶数個分は(自然数)
に含めて考えられます。)
小さい方が、180 以下なので、大きい方は、2512〜2691 となりますが、
この範囲で、平方数は、51^2=2601 のみ、2×平方数は、2×36^2=2592
のみ、3×平方数は、3×29^2=2523 のみ、6×平方数は、6×21^2=2646
のみですから、大きい方の候補は、2523、2592、2601、2646 の4個です。
すると、小さい方は順に、169、100、91、46 となり、91 と 46 は、
2^p×3^q×(自然数)^2 の形になっておらず不適、100は、
100×2592=10^2×2×36^2≠3(a/3)^2 で不適ですから、(169,2523) だけ
が適解として残ります。
従って、169×2523=13^2×3×29^2=3×(13×29)^2 から
a=13×29×3=1131、b=(2c-a-169×3)/2=1200
なので、条件を満たす組は、(a,b,c)=(1131,1200,2019) となります。
GAI さんからのコメントです。(平成31年1月6日付け)
解答はらすかるさんが出されておりますが、この3つの c の値は共通な部分として、
19=2^2+2*3+3^2
19^2=5^2+5*16+16^2
19^3=17^2+17*73+73^2
19^4=185^2+185*231+231^2
・・・・・・・・・・・・・・・
31=1^2+1*5+5^2
31^2=11^2+11*24+24^2
31^3=90^2+90*109+109^2
31^4=455^2+455*649+649^2
・・・・・・・・・・・・・・・
の様に、一般に、 c^k=a^2+a*b+b^2 (k=1,2,3,・・・・) とできる自然数 a、b が存在している。
また、素数ではないが、2019(=3*673) も
2019=13^2+13*37+37^2
2019^2=1131^2+1131*1200+1200^2
2019^3=26247^2+26247*74703+74703^2
2019^4=160839^2+160839*3993561+3993561^2 (最後の等式の数値を探すのに苦労した。)
・・・・・・・・・・・・・・・
と、いずれも見事に他のべき乗にも対応している。
(コメント) 見事な対応ですね!
らすかるさんからのコメントです。(平成31年1月6日付け)
2019^2=1131^2+1131*1200+1200^2 なので
2019^4=(1131×2019)^2+(1131×2019)*(1200×2019)+(1200×2019)^2
=2283489^2+2283489×2422800+2422800^2
ですね。(2019^3の26247,74703は13×2019,37×2019です)
よって、c と c^2 がa^2+ab+b^2の形で表されれば、c^(3以上)はすべて表されます。
#「cがa^2+ab+b^2の形で表される」と「c^2がa^2+ab+b^2の形で表される」の関係が気になっ
て調べましたが、包含関係はないですね。
例えば、c=3 のとき、c は、a^2+ab+b^2 の形で表せて、c^2 は表せず、c=14 のときは、c
は、a^2+ab+b^2 の形で表せませんが、c^2 は表せます。
GAI さんからのコメントです。(平成31年1月7日付け)
c=14 のときは、c は、a^2+ab+b^2 の形で表せませんが、c^2 は表せます。
このタイプを集めると、
14、26、35、38、42、56、62、65、70、74、77、78、86、95、98、・・・
ですが、OEISでは取り扱っていませんですね。
共通点は、6k+1型の素数を含んでいることですかね?
(でも21が入っていないことが説明できない。)
らすかるさんからのコメントです。(平成31年1月7日付け)
a^2+ab+b^2 の形で表せる条件が、 p×q×r^2
ここで、p: 1または3 、q: 6k+1型の素数の積または1 、r:6k+1型以外の素数の積または1
※ ただし、p=q=1 は除く
だと思いますので、c が a^2+ab+b^2 の形で表せず、c^2 が表せる数は、
・6k+1型の素数を1個以上含む
・3k+2型の素数で指数が奇数のものを含む
の2条件を満たす数だと思います。
その逆の、c が a^2+ab+b^2 の形で表せて、c^2 が表せない数は、
3×(6k+1型以外の素数の積または1)^2
ですね。
DD++さんからのコメントです。(平成31年1月7日付け)
(a^2+ab+b^2)(x^2+xy+y^2) = (ax+ay+bx)^2 - (ax+ay+bx)(ay+bx+by) + (ay+bx+by)^2
という恒等式を見つけました。これにより、負の数を許してよいなら、a^2+ab+b^2 という形に
書ける数同士の積は、また、 a^2+ab+b^2 という形に書けることがわかります。
(負号はaかbの符号反転で吸収できる)
しかし、正の数限定となると右辺の負号が邪魔になってしまうのであまり役には立たないか
なあ。
HN「3156」さんからのコメントです。(平成31年1月7日付け)
多くの方に解いていただき、ありがとうございます。
c が素数のとき、c≡1 (mod 3) であることが、3辺の長さが a、b、c (a、b、c は自然数で、
a<b<c) で、1つの内角が120°の三角形が(ただ一つ)存在するための必要十分条件で
ある
と記憶しております。(整数環Z[ω]が関係していたと思います。)
今年の現れる数字が偶然、3で割ると1余る素数、または、その3倍であったために、この
ような問題を作問してみました。