背理法                                   戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからの出題です。
                                      (平成25年9月10日付け)

 三角関数 sin x は、x の整式として表せないことを証明せよ。(出典:1970年 名古屋大学)







































(答) らすかるさんが考察されました。(平成25年9月10日付け)

 もし、x の整式で表せたとすると、limx→∞ (x の整式)=±∞ なので矛盾。


(コメント) 「x の整式」という表現を、「有限次数の多項式」と考える。

 三角関数 sin x が、x の整式で表されるとすると、

   sin x = ax+bxn-1+・・・+cx2+x (a、b、・・・、c は定数で、a≠0)

と書ける。

 ここで、 sin 0=0 なので、定数項はない。limx→0 sin x /x=1 から、x の係数は、1

 両辺をn回微分して、 sin(x+nπ/2)=a・n!  これは、矛盾。

 よって、 三角関数 sin x は、x の整式として表せない。

※ らすかるさんの背理法の方がエレガントですね!


 よおすけさんからのコメントです。(平成25年9月10日付け)

 解答ありがとうございます。手元にある、数学ワンポイント双書22 三角関数 栗田稔著の
76ページにもこの問題が載っています。確か、巻末にある問題の答えとヒントには、

 sin x =0 となる x は無数にあるが、整式ではそのようなことはない。limx→∞ を考えて
もよい

と記されていますので、らすかるさんと方針は同じと思われます。


 S(H)さんからのコメントです。(平成25年9月10日付け)

 例えば、 sin x = a7x7+a6x6+a5x5+a4x4+a3x3+a2x2+a1x+a0 ならば、8回微分すると

左辺=sin x 、右辺=0 と、とんでもないことになり矛盾。(右辺が n次でも 同様)

 または、無限乗積 sin x = x Πn=1 (1 - x2/(n2π2)) で、整式なら有限積(体C での

零点を用い)。等しければ、とんでもないことになり、矛盾。


 空舟さんからのコメントです。(平成25年9月10日付け)

 いろいろな示し方があり、面白いと思いました。例えば、範囲を制限して

-π/2≦x≦π/2 の区間全体で、sin x と値が一致する x の整式が存在しないことを示せ

という問題にしてみると、方法がより制限されると思いました。S(H)さんがすでに提示した微
分を使う方法がこの場合にも有効です。