互いに素な確率
当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
(平成25年1月4日付け)
互いに素な場合を、無限を対象に考える。すなわち、
自然数 N={1,2,3,..,n,....} からランダムに2個の数を選んだとき、それが互いに素である2数
になる確率P1はどれくらいか?
同じく、N={1,2,3,..,n....} からランダムに3個の数を選んだとき、その全ての数を割る1より大
きい因数が存在しない確率P2はいくらか?
例 (2,3,4)、(3,5,6)、(4,5,8)、… など
さらに、3つの数のどの2数も互いに素になっている場合の確率P3はいくらか?
例 (2,3,5)、(3,4,5)、(4,5,7)、… など
(答) HN「V」さんが考察されました。(平成25年1月4日付け)
無限にある自然数からランダムに2個の数を選ぶというのは出来そうにないので、有限個
の自然数からランダムに2個の数を選ぶ場合を考え、その極限値がどうなるかを考えました。
有限個の自然数の取り方にもよると思いますが、2以上の自然数nについて、小さい方から
n番目までの素数で素因数分解でき、各素数の0からn-1乗までになっている自然数からラン
ダムに2個の数を選ぶことを考え、n→∞を考えると、P1=0 となりそうです。
これは、{1,2,3,..,n} からランダムに2個の数を選んだとき、それが互いに素である2数になる
確率をPnとして、limn→∞Pn を考えたときとは異なる可能性もあります。
らすかるさんが考察されました。(平成25年1月4日付け)
2数がともに2で割り切れる確率は (1/2)2
2数がともに3で割り切れる確率は (1/3)2
2数がともに5で割り切れる確率は (1/5)2
・・・
なので、求める確率は、
P1=Πp (1-(1/p)2)=1/ζ(2)=6/π2=0.607927… (Πはすべての素数にわたる)
検索したら、Webサイト「互いに素」にありました。3数のときはP2=1/ζ(3)=0.831907…とな
るみたいです。P3は、
P3=Πp {((p-1)/p)3+3(1/p)((p-1)/p)2}=Πp {1-(3p-2)/p3}=0.286747…
この値は、オンライン整数列大辞典「A065473」にありました。
HN「V」さんからのコメントです。(平成25年1月8日付け)
この問題は、数学セミナー(2013年1月号) P80〜
続・確率パズルの迷宮 無数の中から選ぶ (岩沢宏和 著)
に載っていますね。
「自然数からランダムに2個の数を選んだとき」というだけでは前提不足だが、n以下の自然
数から選ぶときの確率の極限値としてなら・・・・というような記述があります。
GAI さんからの続報です。(平成25年1月5日付け)
整数から任意の数を取り出し、2つの正方行列を作る。
例 M1=|1 2| M2=|-4 7|
|3 9|, |2
-6|
このとき、行列式 M1=det(M1)=9-6=3、行列式M2=det(M2)=(-4)*(-6)-7*2=10 となり、
2つの行列式の値が互いに素となっている。
そこで、一般にこうして作られる2つのn×n行列において(これをXn,Ynと示す。)、
det(Xn)、det(Yn)が互いに素となる確率Pは、はたしてn→∞であるとき、いかなる値に収束し
ているか?
もちろん、X1、Y1での確率は、6/π2=0.6079… となります。
こんなものすごい極限値について調べ上げている人がいました。例のオンライン整数列大
辞典の中に潜んでいますので、探し出してみて下さい。