確率の良問                                  戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「GAI」さんからの出題です。
                                       (平成31年3月6日付け)

 1個のサイコロを3回投げて、出た目を順に a、b、c とする。2次方程式 ax2+bx+c=0
の2つの解 z1、z2 を表す複素平面上の点をそれぞれP1(z1)、P2(z2)とする。

(1) P1とP2が一致する確率は?

(2) P1とP2が共に単位円上にある確率は?

(3) P1とOを通る直線をL1とし、P2とOを通る直線をL2とする。
  L1、L2のなす鋭角が60°である確率は?
































(答) 東北大学前期理系(2015)っぽい雰囲気で、これらは2019年度の問題なのだろう
   か?単純に数え上げるだけの問題ですが...挑戦してみました。

 起こりうる全ての場合の数は、 6×6×6=216(通り)

(1) P1とP2が一致するときは重解なので、その必要十分条件は、 b2=4ac

  b=1 のとき、 4ac=1 で、解なし

  b=2 のとき、 ac=1 で、(a,c)=(1,1) の1通り

  b=3 のとき、 4ac=9 で、解なし

  b=4 のとき、 ac=4 で、(a,c)=(1,4)、(2,2)、(4,1) の3通り

  b=5 のとき、 4ac=25 で、解なし

  b=6 のとき、 ac=9 で、(a,c)=(3,3) の1通り

 以上から、求める場合の数は、 1+3+1=5(通り) で、その確率は、 5/216

(2) P1とP2が共に単位円上にあるための必要十分条件を求める。

  2次方程式 ax2+bx+c=0 が実数解をもち、その解が単位円上にあるのは、

  1が重解 、 −1が重解 、 2つの解が1と−1

 の何れかの場合である。

 1が重解のとき、 a(x−1)2=0 であるが、a、b、cは自然数なので起こりえない。

 −1が重解のとき、 a(x+1)2=0 で、 a*x2+2a*x+a=0

  すなわち、 b=2a 、c=a

  このとき、(a,b,c)=(1,2,1)、(2,4,2)、(3,6,3) の3通り

 2つの解が1と−1のとき、 a(x+1)(x−1)=0 であるが、a、b、cは自然数なので起こ
りえない。

 2次方程式 ax2+bx+c=0 が虚数解をもち、その解が単位円上にあるとすると、

 解は、 cosθ+i・sinθ 、 cosθ−i・sinθ で、 解と係数の関係より、

   2cosθ=−b/a 、 1=c/a すなわち、 b=−2acosθ 、c=a (cosθ≠±1)

 このとき、 −2a<b<2a に注意して、

(a,b,c)=(1,1,1)、(2,1,2)、(2,2,2)、(2,3,2)、(3,1,3)、(3,2,3)、
       (3,3,3)、(3,4,3)、(3,5,3)、(4,1,4)、(4,2,4)、(4,3,4)、
       (4,4,4)、(4,5,4)、(4,6,4)、(5,1,5)、(5,2,5)、(5,3,5)、
       (5,4,5)、(5,5,5)、(5,6,5)、(6,1,6)、(6,2,6)、(6,3,6)、
       (6,4,6)、(6,5,6)、(6,6,6)
                              の27通り

 よって、求める確率は、 (3+27)/216=30/216=5/36

(3) 題意を満たすためには、 2つの解 z1、z2 は虚数で、互いに共役で、

   z1=(−b+i・√(4ac−b2))/2a

  arg(z1)=θ とおくと、題意より、 θ=120°または 150°の場合である。

 θ=150°の場合は、 √(4ac−b2) : b=1 : √3 で、 b2=3ac

 この式を満たす自然数 a、b、c は、

(a,b,c)=(1,3,3)、(2,6,6)、(3,3,1)、(3,6,4)、(4,6,3)、(6,6,2)

の6通り。

 θ=120°の場合は、 √(4ac−b2) : b=√3 : 1 で、 b2=ac

 この式を満たす自然数 a、b、c は、

(a,b,c)=(1,1,1)、(1,2,4)、(2,2,2)、(3,3,3)、(4,2,1)、(4,4,4)、
       (5,5,5)、(6,6,6)

の8通りなので、求める確率は、(6+8)/216=14/216=7/108  (終)


(コメント) 解答を修正しました。GAIさん、ご指摘ありがとうございました。


 ハンニバル・フォーチュンさんからのコメントです。(平成31年3月18日付け)

 (2)について、以下のように考えましたが、大雑把にすぎるでしょうか?

 α=x+iy 、β=x-iy とします。これらが、条件(x^2+y^2=1)のもとで、zについての二次方程

式 z^2+(b/a)z+(c/a)=0 の解であるわけです。

《 a,b,cについて条件(x^2+y^2=1)がどのように効いてきているかを探ります。》

 αβ=(x+iy)(x-iy)=x^2+y^2=1 ですから、解と係数との関係により、 (c/a)=αβ=1 です。

すなわち、a=c ならば、よさそうです。よって、求める確率は、 1/6 です。


 らすかるさんからのコメントです。(平成31年3月18日付け)

 例えば、x^2+6x+1=0 の解は、x=-3±2√2 なので単位円上にありません。相異なる実数

解が解になってしまうとまずい(-1と1が解になることはないから)ので、必要十分条件は、

  a=c かつ D≦0 すなわち a=c かつ b≦2a

となり、30/216=5/36 ではないでしょうか。

(a=c かつ D=0 のとき、重解は、x=-1 なので、単位円上にある)