多項式の微分・積分                          戻る

 当HPがいつもお世話になっているHN「よおすけ」さんからの出題です。
                                      (令和6年1月11日付け)

 整式 F(x) が次の恒等式を満たすとき、(1)、(2)のそれぞれについて、F(x) を求めよ。

(1) F(x)+∫-11(x−y)2F(y)dy=2x2+x+5/3

(2) F(x)F’(x)+∫1F(t)dt=(4/9)x−4/9


(出典)(1)は、京都大学前期文系(2023)、(2)は、京都大学前期文系・理系(1976)

補足:(2)の F’(x) は、F(x) の導関数
































(答)(1) F(x)+∫-11(x−y)2F(y)dy=2x2+x+5/3 より、

 F(x)+x2-11F(y)dy−2x∫-11yF(y)dy+∫-112F(y)dy=2x2+x+5/3

 ここで、∫-11F(y)dy=a、∫-11yF(y)dy=b、∫-112F(y)dy=c とおくと、

F(x)+ax2−2bx+c=2x2+x+5/3 から、F(x)=(2−a)x2+(2b+1)x+5/3−c

このとき、

a=∫-11((2−a)y2+(2b+1)y+5/3−c)dy

 =2∫01((2−a)y2+5/3−c)dy=2(2−a)/3+2(5/3−c)

よって、 5a+6c=14 ・・・ (*)

b=∫-11((2−a)y3+(2b+1)y2+(5/3−c)y)dy

 =2∫01(2b+1)y2dy=2(2b+1)/3

よって、 b=−2

c=∫-11((2−a)y4+(2b+1)y3+(5/3−c)y2)dy

 =2∫01((2−a)y4+(5/3−c)y2)dy=2(2−a)/5+2(5/3−c)/3

よって、 6a+25c=86/3 ・・・ (**)

 (*)×6−(**)×5 より、 c=2/3 、a=2 である。

したがって、 F(x)=−3x+1 である。


(2) F(x)F’(x)+∫1F(t)dt=(4/9)x−4/9 において、F(x)の最高次の項を ax

すると、(n次)(n−1次)+(n+1次)=(1次) から、n=1は矛盾するので、

F(x)は、定数関数、または、2次関数である。

 よって、求めるF(x)は、 F(x)=ax2+bx+c とおける。

このとき、

 (ax2+bx+c)(2ax+b)+a(x3−1)/3+b(x2−1)/2+c(x−1)=(4/9)x−4/9

すなわち、

 (2a2+a/3)x3+(3ab+b/2)x2+(b2+2ca+c−4/9)x+bc−a/3−b/2−c+4/9=0

x の恒等式なので、

 2a2+a/3=0 ・・・ (*)

 3ab+b/2=0 ・・・ (**)

 b2+2ca+c−4/9=0 ・・・ (***)

 bc−a/3−b/2−c+4/9=0 ・・・ (****)

(*)より、 a=0 、a=−1/6

 a=0 のとき、 (**)から、b=0 、(***)から、c=4/9 、これは、(****)も満たす。

 a=−1/6 のとき、 (**)からは、bは定まらない。(***) および (****)より、

 b2+2c/3−4/9=0 、bc−b/2−c+1/2=0

第1式より、 c=2/3−(3/2)b2 なので、これを第2式に代入して、

 (2/3)b−(3/2)b3−b/2−2/3+(3/2)b2+1/2=0

 (3/2)b3−(3/2)b2−(1/6)b+1/6=0

すなわち、 b3−b2−(1/9)b+1/9=0 より、 9b3−9b2−b+1=0

因数分解して、 (b−1)(3b+1)(3b−1)=0 より、b=1、−1/3、1/3

 b=1 のとき、 c=2/3−(3/2)b2=−5/6

 b=−1/3 のとき、 c=2/3−(3/2)b2=1/2

 b=1/3 のとき、 c=2/3−(3/2)b2=1/2

以上から、求める関数F(x)は、

 F(x)=4/9 、(−1/6)x2+x−5/6 、(−1/6)x2−(1/3)x+1/2 、

 (−1/6)x2+(1/3)x+1/2  (終)


(コメント) なかなか計算がハードでしたね!関数の恒等式から、関数の次数を求めることは
     一昔前の大学入試の定番問題でした。



  以下、工事中!